前回レポートに追われている・・と書きましたが、本日1つ終わらせましたラブ

幾つかの本から選べる、というものだったのですが・・・私好みなものは何も無く、単にこれは書きやすそうだと不順な理由からスタート。

 元々、奴隷制に非常に興味がありましてそういう意味でもいいかなぁ・・と。(なんて言ったら誤解されそうですねあせる)大好きな『風と共に去りぬ』を読んで『アンクル・トムの小屋』が気になり→読んでみて、奴隷制の描き方の違いが凄く気になって以前それを論文にしたことがあります。何十冊も文献調べてみたけど、結局調べれば調べるほど「うーん・・・」なんですよね。


 それはさておき、この小説は最初のグレート・アメリカンノーベルと言われている小説で、マーク・トウェイン著の『トム・ソーヤ』シリーズの続編にあたります。私自身マーク・トウェインの本ってこれが初めてでトムソーヤの方は全く読んだ事がないのですが、あらすじを知っている程度。でも、それでも十分楽しめますよ上げ上げヘミングウェイも絶賛した小説です。因みに、ウォルト・ディズニーは『トム・ソーヤ』大好きなんですよね。実は、相当ディズニーマニアな私。

 

 マーク・トウェインは1835年生まれで1910年に没しているため南北戦争(1861~65)や奴隷解放宣言(1862)を経験している事となるんですよね。更に、彼の出身はミズーリ州。彼の作品にはミシシッピ川が出てくる事は有名ですよね。ミズーリ州といえばミズーリ協定なのですが、これは1820年にミズーリ州設置の際に自由州とするか奴隷州にするかで南北が対立して、結局ミズーリ州を奴隷州とするけれども今後は北緯36度30分以北には奴隷州を一切認めないと定めた協定の事。これまでは自由州も奴隷州も11つで均衡が取れていたのに、南北のバランスが崩れる事となるのでとても問題になったんです。・・・なので、ミズーリ州ってことはただならない影響を彼は受けてきた・・・筈なのですが結局彼の奴隷制への見解は分からずじまい。


 前置きが長くなってしまいましたが、簡単なあらすじです。

トムとの冒険で大金持ちになったハックルベリー(通称ハック)。ハックは父親がいわゆるアル中で、それはもう散々な目に遭う。ハックは未亡人の家に預けられることになるのだが、彼にとっては退屈で仕方が無い。金がほしくてたまらないハックの父親は、ハックの保護権を獲得しようと躍起になる。

 そして、家族との生き別れを恐れた逃亡奴隷のジムと出会い、2人共に逃亡する事となる。ミシシッピ川を下り、またトムと出会い、詐欺師やらに出会い、暴風雨にも襲われる。

 

「このことを考えれば考えるほど、僕の良心はますます僕を苦しめ、ますます自分が悪い、卑しい、厭らしい者に思えてきた。ついに突然、こういうことが僕の頭にひらめいた。(中略)僕に二心あるからなのだ。僕は罪をやめるような振りをしたが、心の中では一番大きな罪にしがみついていたのだ。口では正しいこと潔いことをします、そして、あの黒ん坊の持ち主に黒ん坊の居場所を手紙で知らせます、などといいながら、心の奥ではそれが嘘であるということを承知しているのだ。神もそのことを承知しているのだ。」

 ジムは逃亡奴隷である。彼には200ドルもの賞金がかけられ、逃亡奴隷を手助けすることがどういうことを意味しているのかハック自身も分かっている。だから、一旦はジムの居場所を手紙に記し教えようとする。しかし、思い出すのはジムに悪感情を抱いた場合が思い浮かばず、その反対の場面ばかりが浮かんでくるのだった。


 子供が読む小説にしてはちょっと難しい気がするが、是非小学生くらいのうちに1回読んでおいて大人になってからまた読んでみて欲しい小説です。ハックの葛藤が、よく分かります。

 『トムソーヤ』の方には殆どと言っていいほどあまり毒の無い冒険物になっている(らしい)けれど、こちらは読み込んでいくと政治的批判や皮肉が結構詰まっているのでなかなか面白いです(-^□^-)


ハックルベリー・フィンの冒険〈上〉 (岩波文庫)/マーク トウェイン

¥588
Amazon.co.jp

ハックルベリ・フィンの冒険/マーク・トウェイン
¥2,940
Amazon.co.jp