月を見つけたチャウラ: ピランデッロ短篇集 (光文社古典新訳文庫)/光文社
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ピランデッロ。ご存知ですか?

20世紀前半のイタリアで活躍した、ノーベル賞受賞作家。

あんまり時間がないので、簡単に。


ヨーロッパの中でのイタリア文学ってややマイナーではありますが、

これがなかなか!面白いじゃないか、と気づいてきました。

今まで読んだことのあるイタリア文学は、思いつく限りでは

ダンテ、ボッカッチョ、ツィンツィオ、マキャベリ・・・・くらい・・・・・?

なにか面白いイタリア文学があれば、ぜひ教えてください(*^▽^*)


初めてのピランデッロは、最近光文社から出た短篇集。


方言で「チャウラ」はカラスのことらしいですね。この表題作はそんなにいいと思わなかったのですが、

たまらなく好き!と思えたのが、

「パッリーノとミミ」




生まれた時の姿が鞠のように丸かったから、ということで「手毬」を意味するパッリーノと名付けられた小犬。

5匹の兄弟がいるうち、パッリーノだけが助けられたのですが・・・・

その犬にだけが尻尾がありませんでした。

飼い主たちはそのことに後で気づいてしまい、急に愛情が薄れていき・・・・

その名のごとく、邪魔になると蹴飛ばされ、暴力を振るわれ、仕舞には追い出され、

動物をこよなく愛する肉屋に拾われます。

その後、もう若いとは言えない未婚のアメリカ人女性が連れてきたミミという牝犬に出会い・・・・。

ああ、短編のあらすじって書きにくい。

結末がとても好みです。

ぱっとしない話も当然あるものの、人間や物事の見方がなんとなーーく、モーパッサンらしい、かな?

という気がしました。


他にいいな、と思ったのは

「紙の世界」

本が好きで好きでたまらないのに、ある事件がきっかけで失明してしまった男の物語。

私は「本」の中に書いてあるもの、が好きなのであって

相当に惚れ込んだ本くらいでないと「手元におきたい」とは思わないので

「本」そのものに対しての入れ込みというのはそこまでないとは思いますが、

それでも・・・・・本好きの人間にとっては、いろいろと考えさせられるのでは。




「笑う男」

寝ている最中に、大笑いをする夫。

自分はこんなに不幸なのに、死にかけているっていうのに、美しい女性に囲まれてるんだわ!

キスをされてるんだわ!愛を交わそうとしているんだわ!

なんて、悶々と嫉妬を感じてくる妻。

ここ、妙にリアル。


夢など見ていないのに、自分は何にそんなに大笑いをしているのか?

よっぽど楽しい夢なんだろう、それなのにどうして目覚めたとき、自分は何も覚えていないのか?

――――酷いではないか! この世とも知れぬ快楽に酔いしれいるかもしれないのに、それを覚えていないとは!



結末が秀逸。

人間って、そんなものでは。



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ピランデッロは、シチリアの出身らしく、シチリアを舞台にした短篇集。




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それよりも気になるのが、このピランデッロの戯曲!
ひとまずこの1巻を予約中。

ピランデッロって、作品数の割にあんまり翻訳はないみたいですねー。




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『エンリーコ四世』は2巻に収録。

ただ、シェイクスピア『ヘンリー四世』は全く関係ないみたい。