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王妃マルゴ/文藝春秋
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世界最高の大衆小説家は、フランスの文豪アレクサンドル・デュマなのではないか。

そう思えてならない作品でした。

私が読んだのは、なんと

鹿島茂編訳のもの。

鹿島茂氏の翻訳を読むのは、もしかしたら初めてかもしれません。

王妃マルゴ。

マルグリッド・ド・ヴァロア。

アンリ二世とカトリーヌ・ド・メディシスの娘。

フランソワ二世、シャルル九世、アンリ三世の妹。

そして、ナヴァール王アンリ、後のアンリ四世の妻。

もっといえば、スコットランド女王メアリ・スチュアートの義理の妹。

(フランソワ二世妃だったため)

マルグリッドはちょうどシェイクスピアの時代に生きた人物で、

専門柄関係してくるのもうれしい限り。

事実は小説よりも奇なり、と思わず言いたくなる当時の歴史。


デュマによる脚色もあったりと細かい点は史実と異なったりもしますし、一応これはフィクションということになっていますが

全体的には史実通り。

途中で鹿島氏による補足説明があったりするので、

どのあたりが史実と異なるのか、まったく知識がなくともついていけるようになっています。


ただ、本当にいきなり解説が出てくるから字体を変えるなりなんなりしてほしかったけれど。


注意を要するのは、私も読み始めてから知ったのですが、

これは『王妃マルゴ』の全訳ではなく、半分等にまとめた抄訳であるということ。



その段階で読むのをやめようかと思いつつも、鹿島サンの訳は読んでみたかったしね。


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訳がよくない、とブロガーさんに伺った気もしますが、

こちらはおそらく全訳?

いずれはちゃんと全訳で読んでみたいと思います。



半分くらいに削ったにしては、特に不自然なところはありませんでしたよーー。



単行本で560ページくらいあるので、原作はかなり長いみたい。

でも、デュマを読まれた方ならご存知でしょうけれど、デュマって何十冊でも読めますよね♪


マルグリッド・ド・ヴァロアは、フランス一、二を争う姦婦として有名・・・・だと思います。

ロシアのエカテリーナ二世並みな気がする。

なんてったって、兄3人と関係をもったという人物です。



しかしデュマは、その部分をできる限り消し去り、

強く美しく教養あふれる女性、愛人ラ・モールを愛しぬき、歴史に翻弄された悲運な王妃として描いています。

デュマお得意のパターン。


王妃マルゴというタイトルだけれども、

当然母カトリーヌや兄たちの権力争いもあり。


なぜ、そこまでして、王位が欲しいのかがどうしてもわからないのだけれど・・・・・。


マルゴが斬首されたラ・モールの首をもらいにいく場面がありますが、

この場面がスタンダール『赤と黒』にも生かされているのだそう。



ラ・モール家の末裔である令嬢マチルド。


マチルドの本名は、マルグリッド・ド・ラ・モール。

そしてマルグリッドが、恋人ジュリアン・ソレルの首を埋葬することになっています。


『赤と黒』。

高校時代に読んだきりでそんな細部まで覚えていませんでした。

そのまんまなのに!!


余談ですが、

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シェイクスピアの『恋の骨折り損』のナヴァール王はアンリ四世を、フランス王女はマルグリッド・ド・ヴァロアをモデルにしたといわれています。

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上記のよう、マルゴはメアリ・スチュアートの義妹ということになるので、

これは関連作かな。


内容的には『メアリ・スチュアート』のほうがおもしろかったですが、

デュマは相当なメアリより(フランス人だから当然なんだけど)で、

史実とは結構異なってるので(というか、あまりにも悲劇のヒロイン像)

今回の『王妃マルゴ』のほうが史実にそってるかな?という気がしました。

デュマって翻訳がないものたくさんあるから、ぜひぜい翻訳を頑張っていただきたいものです。


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イザベラ・アジャーニの演じた『王妃マルゴ』。


これはなかなかよくできていました。