映画感想「ピンクとグレー」:ネタバレです
ピンクとグレー
ピンクとグレーの上映が始まりました。
おおむね好評で嬉しい限りなのですが、厳しい批評をしている人たちが多いので、
私なりの感想を記しておこうかなと思いました。
以下、ネタバレになりますので、映画を見ていない人は読まないように。
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全編にわたって主役はりばちゃん。
ピンク(カラー)の映像内はリばちゃん視点の自分とごっち、サリーの青春。
そりゃもうキラキラしてて、かわいいったらなかったです。
映画を見た方の感想でも言われていたのが「グレーの映像」の方。
「グレーが長い」「グレーはいらない」「ピンクの方だけで終わって欲しかった」などなど。
確かにピンクに比べてグレーの内容はドロドロしていて、見ていて辛かったです。
この「観ていて辛い」という感情は、りばちゃんに自分がシンクロしていたからでしょう。
同じ道を歩いてみることで、自分が今まで見てきたごっちと言うものが、
りばちゃんにとっては虚構だったように見えてきてしまうからです。
ごっちと同じように芸能界を歩いていこうとするリばちゃんの迷いが、
ベッドシーンなりにたくさんあらわれていると思ったのですよ。
だから、いらないシーンではないと思いました。
りばちゃんはごっちではないから、やっていることが無理をし過ぎていて見ていて辛いんですね。
ごっちが自殺した理由は本当に本人にしか分かりませんが、
「やれることをやる」道を歩いていって死んでしまったお姉さんと、
同じ道を歩くと同じようになると分かりながらたどっていったという風に解釈しました。
決して近親相姦ではないと思いますけどね。
最後にごっちが現れるのは幽霊ではなく、りばちゃんの心の中のごっちでしょう。
りばちゃんの心のが整理された瞬間なんだと思いました。
だから、色が戻ってピンクの世界になるのでしょう。
夜明けの町の中でサリーを探すんだねと言う風に考えられる終わり方は秀逸です。
ごっちの看板にライターを投げるのも、関西弁で言うところの突っ込みなのではないでしょうか。
「しょーもな!」
ごっちの遺書が作った世界をたどるりばちゃんが、その世界に対して「しょーもな!な世界を作りやがって」
と突っ込んだんだと思いました。
あくまでも明るい気持ちでね。だってその遺書を選んだのはりばちゃんだから。
もちろん、死の理由も「しょーもな!」だったのかもしれませんが。
りばちゃんとサリー、二人の未来が明るくなるのはラストで見えていると思うのですが…。
最後にスタッフの皆さん!すごい!
行定監督、あんな風な映像になるなんて驚きです。
映画の表現って、CGだけじゃないということを改めて思い知らされました。
娯楽映画も好きなのですが、最近は娯楽ばかりだったのでこういう考える映画は新鮮でした。
しかも映像の妙がそこかしこに…。すごいと思いました。
中島くんのピンクの時の演技のとまどい、グレーの時は違和感がなかったのでこれ演じているのならすごい!と思いましたよ。
わざと下手に演じたんでしょ?
菅田くん!もう何も言えないくらい演技が上手い!ピンクの時の純情なりばちゃんも、グレーの意地悪な広瀬も好き!
夏帆ちゃんも驚くぐらい!可愛かったサリーなのに、あんなに変わっちゃうなんて!
良い映画をありがとうございます!
そうそう、原作のしげちゃんもすごい!原作も是非読んでみようと思いました。