突然ですが「派遣社員」と言って、一般的にはどういうイメージを持つでしょうか?
派遣切り?使い捨て?そんな、なんとなく良いイメージを持つ人は少ないと思います。
正直、昔は私もそう思っていました。
ところが、ある時をきっかけに、実は派遣っていうのは、
ことCG、アニメ業界においては「情報強者」なのではないかと思うようになりました。
どういうことかというと
私は、ある時、某作品のCGディレクターをしており、とにかく人が足らないから
人を増員してくれと社長に頼み、どこにも人員がおらず、派遣という選択肢を選びました。
その派遣社員に支払う金額は月額30万円、その他に派遣会社に中抜き分を払っていました。
当時自分の給料は、25万円位だったでしょうか。CGディレクターなのにその給料はどうなの?っていうのはさておき、アニメCGで、社員に25万円だったら全体の予算考えるとまあ、低いかもしれないけど、20代で若かったし、そこそこでしょうか。
とはいえ、その派遣の人は、定時に来て、定時に帰って、残業分はその分支払われてる訳です。
下手すると月40万を超える月もあったと思います。
仕事量はというと、言うまでもなく、圧倒的に私の方が上、2~3倍はこなしていたと思います。
もう時間単価も圧倒的にその派遣の方が上な訳です。
この事実を知った時は、それはそれは嫉妬したものです。
なぜこのようなことが起きてしまうのか?
私はあることに気づきました。
それは、経営者には「金を出したくないツボ」と「金を出したくなるツボ」があるようだということです。
★まずは「金を出したくないツボ」を解説します。
経営者は、当たり前ですが、毎月の支出を計算しています。
社員の給料、電気代、水道、家賃、毎月、必ずかかる費用です。
その、必ず払わなければならないものを「固定費」といいますね。
そして、最も経営者を脅かすものが、この「固定費」なのです。
サラリーマンは逆ですよね?毎月の給料が安定してる方が安心ですよね?
「経営者はサラリーマンの真逆」なのです。ここの心情を理解しておくことが、とても重要です。特にCG会社は。
ある知人の社長は「固定費」を流血として表現していました。
「会社はね。毎月、血を流しながら歩いているようなもんなんだよ」と。
この発言が、全てを物語っていますね。
さて、今度はCG会社の経営者が、「お金を出したくなるポイント」も押さえておきましょう。
どういうケースがあるか、以下、例を挙げましょう。
★受注案件の状況がヤバイ時。
・なんとしてでも、納期に間に合わせたい時。会社求人に「急募」と書いてあったら、
金額交渉のチャンスだと思って間違いないです。しれっと応募して、ふっかけてみましょう。
・クオリティ的に自社の社員じゃクライアントの望むクオリティが出せない。
こういう時は、経営者は自社の名誉を守る為に、金を惜しみなく注ぎます。
「金は払うから何とかしてくれ」
そういう光景を何度も見てきました。
経営者とは、そういう生き物なのです。
こういう時も、日頃の積み重ねがモノを言いますが、もちろん金額交渉のチャンスです。
CGディレクターを募集している会社は、人材が来ないことを意味していますので、結構困っていることが多いのです。
★つまり、この2つの視点を持てば、自分の時間単価を上げられるヒントになる訳です。
・経営者は自分の悩みやピンチを「解決してくれる人」に高給を支払います。
・経営者は、「金になる仕事をこなしてくれる人」に高給を支払います。
・経営者は、「面子を立ててくれる人」に高給を支払います。
・経営者は「生産効率の高い人」に高給を支払います。
★そして、興味深いことに、会社の経営者は、上のようなことを「持続してくれる人」には高給を支払わないのです。
え?逆なんじゃないの?
って思った人は、まだ完全に理解出来ていません。
経営者は良い人材を「サラリーマン」として囲おうとします。どういうことか?
それはズバリ、良い人材の「時間単価を下げようとする行為」なのです。
なぜ、こんなオレらより出来の悪い外注にウチの社長が高い金を払うのか?
そう、考えたことのある元請け会社の社員のアナタ。
その答えは単純です。
その外注さんは、必ず毎月支払うという制約が無い、つまり「固定費にならない」からです。
それは、経営者にとってありがたいのです。ありがたい存在には、高い金を支払うのです。
★時間単価を上げる具体的な方法。
CG業界の時間単価で言ったら
1. サラリーマン<2. 派遣社員<3. フリーランス<4. 経営者
になるかと思います。
左がリスクが少なく安定しており、右に行くほどリスクが高まり不安定になります。
ここから分かることは、身も蓋もないですが、自分を労働時間で売らないことです。
つまり、サラリーマンを辞めることです。
あなたが、ワークライフバランスとか、安定が欲しいのであれば左を選び、
しんどくても時間の切り売りはしたくないと考える人は右を選べばいいと思います。
ただ、時間単価というポイントにおいては、駄目な選択ということなのです。
★まとめ
もし、時間単価を上げたい、と考えるのであれば、あなたの稼ぐお金の出所。
多くのケースは、会社の経営者という事になると思いますが、その立場に立って考えてみることが大事です。
そして、ことCG、アニメ業界において、派遣の人は経済的にも労働環境にも意外に恵まれているってことです。