池田氏は、私を犯罪者呼ばわりした記事で、

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暫定規制値(野菜の場合セシウム137が500Bq/kg)は実効線量係数(1.3×10-8)をかけると6.5μSv/kgだから、人体に危険とされる100mSvの放射線を浴びるには1年に15t食わなければならない。さらに先日のニコ生でも松田裕之氏が批判していたように、農水省は4月から規制値を100Bq/kgに引き下げる。これによって救済されるのは、1年間に野菜だけで75t以上食う人だけである。
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という計算をしているが、これは間違っている。何が間違っているかというと、放射線被曝の閾値の存在が立証されない限りは、線形閾値無し仮説で計算せねばならない。そうなると、

総被爆量=人×被爆量

で計算しないといけない。何人シーベルトで1人死ぬか、という係数をαとすれば、総被爆量/α で死者の期待値が出る。ゴフマンの係数では、2.68人シーベルで、一人が死ぬ。もちろん、これが正しいかどうか、私は知らない。

池田氏の計算では、15トンで 100mSv だから、これなら 1500トンで 10Sv になるから、四人弱が死ぬ、と期待される。日本人は、年間、ざっと100キロの野菜を食べるから、15000人で1500トンである。ということは、15千人で4人死ぬ、と期待されるわけである。もちろん、誰が放射性物質のせいで死んだのか、わからない。ゴフマンの係数が厳しいとしても、その四分の一に値切っても、このレベルの野菜を一年間食べれば、15千人に1人は死の宝くじに当たる。15百万人が食べれば、100人である。この数値をどう解釈するかは、そこから先の問題であるが、私は、政府や東京電力が、「どうせそのくらい死ぬだろうから、関係ねー」と開き直るのは卑怯だ、と言っている。

池田氏は、頭から、閾値仮説を勝手に前提しているので、上のような荒唐無稽な計算をしてみせるのであるが、それは彼が勝手に想定していることである。線形閾値なし仮説はICRPの基本原則であり、例の「ニコニコしている人には放射能は来ない」で有名な山下俊一教授でさえ支持しており、池田氏の大好きな中川恵一准教授だって、時には支持している。

影浦峡東京大学教育学研究科教授の指摘するように、どこかの親父が「少量のアルコールを子どもが飲めば健康に良い(あるいは、影響はない)」と勝手に信じて、自分の子供や近所の子供にアルコールを飲ませたら、犯罪である。そういう冊子を作って配ってもいけない。

池田氏がやっているのは、そういう行為である。