26日、関東での伴大介さんファンの集い「伴さん会」の新年会がおこなわれました。今回は『人造人間キカイダー』での子役・光明寺マサル役や『大鉄人17』の主人公などで有名な、神谷まさひろさんをゲストに呼んでの開宴です。
 当日はハプニングといいますか事故といいますか、ちょっと心配なことが起きてしまい、それをここへ書くのは現段階では差し障りがあるかもなので自粛します(揉めごとがあったとか、誰かに嫌なことをされたとかではないです)が、それ以外のことは書いておこうと思います。

 この日は初参加という方も何人かいました。そのなかでも少々変わった方がおられまして、その方のことを中心に書きます。
 
 まず、この方(通称:I氏)は現在の伴さんの顔を知りませんでした。なんでも、もう20年以上・・・ヘタすると30年近く「♪ハァ~、テレビもねえ、ネットもねえ」な生活をされてまして、唯一の情報はラジオだけという方です。
 会の最初に伴さんが挨拶されてる際、その上のほうに設置されてるテレビには『キカイダー』第1話のオープニング映像が流されていました。その方にとってはリアルタイム以来、まさに40年ぶりに目にするものなわけです。
「うわぁ、懐かしい~!」
 ここに集いし30名以上の面々は、ある程度、作品に対する知識が豊富な方々が大半です。もちろん映像も、ビデオやらCSやらで相当観ているツワモノも多いはず。ところがI氏の場合、そういったものを観る手段をいっさい持っておらず、そのうえ本などで学習することもなかったらしい。よって、この場でこういう反応をする方というのはきわめて珍しいのであります。
 そしてキャスト紹介のところで「ジロー・キカイダー・伴大介」と表示されました。
「ばんだいすけって、誰ですか?」
 なんじゃそりゃあ! あんた、さっき握手してもらったじゃん! というか、ここが何するところだと思って来たのよ?
「あそこにいる人ですよ。さっき握手してもらったとき、わかってなかったんですか?」
「ええっ、あれがキカイダー?」
「キカイダーっていうか・・・ジローですけど」
「エエエッ、ぼく、本物のキカイダーに握手してもらっちゃってたんですか!」
 おいおい、大丈夫かなあ(笑)。

 やがて、こちらのテーブルに伴さんがやってきました。興奮したI氏が伴さんに話しかけます。
「ぼく『キカイダー』と『仮面ライダーV3』が好きでした! 仮面ライダーといえばV3です。『ウルトラセブン』は幼かったのでわかりにくかったんですが『ウルトラマンA』は街を破壊するシーンが多くて好きだったんです・・・!」
 これこれ、伴さんにライダーやウルトラマンの話をするのはどうかと思うぞ。 ヾ(・・;) 笑顔でありつつも若干、困惑したような表情にも見える伴さん。
「やっぱり格好いいですねぇ!」
 あらためて伴さんと握手してもらうI氏。
「ぼく、もう一生、手を洗いませんよ~!」
 ものすごく嬉しそう。

 

 私もね、伴さんとお話させてもらったわけですけど。また先日の舞台(※前回の記事参照 )の話題をしたのですが。
 とにかくオープニングで若い女優さんが歌われてた『爪』を大・大絶賛しておられましてね。そこばっかり褒めてるんですよ(笑)。
「オレ忘れてたよ、あの曲!」
 思うに、懐メロの定番曲ではなく、本当に記憶から消えかけていたものをチョイスされたことでツボを突かれたかたちになったのではないかと推測します。
 私が、歌った女優さんのブログを発見した旨を報告してみたところ、「よろしく言っといて!」とのこと。伴さんのツボを突いた『トノ、何がしたいんだ?』の演出をされた平山さん、おそるべし。

 

 伴さんがよその席へ移動してからもI氏の興奮は止まりません。が、次に耳を疑うような発言が。
「そういえば、よくキカイダーが耳を押さえて苦しんでる場面があったじゃないですか。あれ何なんですか?」
 ああ、
そのレベル なのね・・・(苦笑)。しかたがない、基礎中の基礎的な知識ですが、説明しないと。
「あれこそはキカイダーの持つ最も重要なファクターといいますかアイデンティティといいますか・・・かくかくしかじか・・・」

 

 次に、またしても思いついたように質問してきます。
「いま菊容子さんて、どうされてるんですか?」
 ううう、まるで横井庄一さんと話をしているような気分です。これについてはテーブルに相席していた映画に詳しい方にご講釈いただくことにして、私は他の方と会話することにしました。
 しばらくしてI氏に話しかけようとすると、ヘッドフォンつけて目を閉じてるんですよ。
「ちょ、ちょっと待ってください」
 私の呼びかけに応じてくれません。菊容子さんについてご講釈くださった方の好意で、YouTubeの『好き!すき!!魔女先生』の主題歌に聴き入ってるもよう。
「いま、ぼく泣きそう・・・」
 そういえばI氏は熟女好きで、西恵子さんへの想いも異常に熱い方。きっと菊さんにも、もし生きておられたなら・・・と妄想しているに違いない。
 さらに同番組の動画に目をやるI氏。
「うおー、これ○▽%●@$#☆~!」
 文明の利器に触れること自体が珍しいゆえのリアクションだろうか。もはやブッシュマンぽくもある。
「ぼく、このマスク姿の菊さんにムチで打たれたいですよ! Mだから」
 もう酔っ払って壊れかけてます。菊さんがドロンジョ様に見えるらしい。そして神谷さんが持参してきた、若き日の水の江じゅんさんのブロマイドを見るやいなや目の色を変えなすった。
「これ、ぼくにくれないですかね!」
 それはダメでしょ。
「このおねえちゃん、連れてきてくださいよ~」
 知らんがな。できるんなら、もう誰かがやってますって。
 こんな調子(笑)。


 でも、一応、現実のキカイダーワールドに戻ってはくるみたい。景品が当たるジャンケン大会ではキカイダーと神谷さんが写っているツーショット写真をゲットしたI氏(私は伴さんと神谷さんのツーショットをもらいました)。
「これ、もう一生の宝ですよ!」
 そう言いつつも、欲が出てきたのか「ぼくと伴さんと神谷さんとスリーショット写真、撮れないかなあ!」と何度も繰り返すI氏。
 スリーショットにつきましては先ほど書きましたハプニングが起こりまして今回は叶いませんでしたが、伴さんとのツーショットだけはカメラマンの倉井さんの快諾を得て何とかゲットできたI氏。カメラを持ってきてないので、無理を言って倉井さんにお願いし、プリントしたものを次回いただくということになったわけ。もう、この時点で何十年分かの幸せを一手にしたかのような喜びようです。

 

 会の終了間際で『クレヨンしんちゃん』のムトウユージ監督、参上。
 監督さんは常連なのですが、二次会からの参加が多かった私とはいつもすれ違いで、今回が初遭遇となります。この日、ムトウ監督は二次会(カラオケ)へもご参加の運びとなりました。

 

 カラオケでは、定番になりますが『キカイダー』の主題歌からスタート。伴さんもマイクを持ち、これを歌われるのは最近では珍しい。
 伴さんの隣の席に座り、それを生歌で聴いてしまったI氏。夢でも見ているかのような面持ちである。


 だいたい伴さんはこのへんでお帰りになります。でもカラオケ自体は終始、盛り上がりっぱなしです。
 で、大半の方がアニメ・特撮ソングを歌われるなか、アニメにも特撮にも関係のない歌に走るヒネクレ者の私。ですが『俺たちの朝』をセレクトしてみると、それがムトウ監督の琴線に触れたらしく「これCD持ってる!」「あえて『俺たちの旅』に行かないところがいい」と。どうやら喜んでくださったようだ。
 終盤はI氏が『V3』のED曲『少年仮面ライダー隊の歌』を歌うことになったのですが、これを横に座っておいでの元「コロムビアゆりかご会」出身というプロ歌手の方とのデュエットつきという贅沢な様相へ。ノリのいいナンバーということもあり、参加者みんなも大合唱。
 そして最後はムトウ監督ご自身が、自ら作詞した『ユルユルでDE-O! 』を歌われる。ついでに「これは曲が先に出来てて、詞は後づけで・・・」と、裏エピソードもご披露くださりました。

 

 終わっても皆さん名残惜しそうで、なかなか電車に乗ろうとしない状態がしばらく続く。
 I氏や私や監督さんを含めた新宿方面組の数名、やっとのことで乗車。I氏が住む野方には監督さんも住んでたことがあるらしく、ふたりでローカルネタに花を咲かしている。監督さんは、ずいぶんフレンドリーで楽しい方です。『しんちゃん』も、ちゃんと観ないといけないや。

 

 結局、私がいちばん最後まで一緒だったのはI氏でして、彼はしきりに「今日はありがとうございます! ありがとうございます!」を繰り返します。こんなに感謝されることはないので、私はどうリアクションすればいいのか困ってしまう(笑)。
「こんなに楽しいんなら、忘年会にも出たかった」
 I氏は忘年会へも参加のチャンスがあったのですが、仕事の都合で来れなかった経緯があったのです。
「また次回も来たいですよぅ~」
 とにかく、思いつく限りの称賛の言葉を口にしようとしています。
「このあと銭湯にでも行って、ゆっくりします」
 ん、もう一生、手を洗わないんじゃありませんでしたっけ? 風呂へ入るのに手は洗わないって・・・そりゃ高等テクニックを要しますな。

 


 明けて翌日、電話がありました。
「昨日はありがとうございました。それで、質問なんですけど。キカイダーが耳を押さえて苦しんでる場面があったじゃないですか。あれ何なんですか?」
 意表、突きまくりであります(笑)。
「あ、あれはですね・・・かくかくしかじか・・・・・・」