散々のたうち回ったあと、漸く落ち着いたキョーコは、よたよたした足取りながら次の仕事に向かった。
何事も切り換えが大事だと教わったキョーコは、その根性をフルに発揮してその日の仕事を乗り切ったのだった。
「お疲れ様でした!
お先に失礼します!」
仕事の疲れも見せず、丁寧にスタッフやプロデューサーに挨拶して、控室で帰り支度を始めたキョーコの携帯がぶるぶる震え出した。
「…あ…。」
携帯の画面に“敦賀さん”の文字。
躊躇っているうちに着信は切れてしまったが、直後にメールでメッセージが送られてきた。
『お疲れ様。
そろそろ仕事が終わる頃だと社さんに教えて貰ったよ。
後は俺の家に行って夕食作ってくれるだけだよね?
今日は何だろうか。
楽しみにしているね。
追伸
夕食の作り逃げなんか赦さないから、覚悟を決めておいてね。
昼間のあの事件と、俺が君に触れた意味、君に考えて貰いたい。』
(~~なんか逃げ場を奪われてる!?
…でも…アイツのやらかした事は今思い出してもムカつくやら虫酸が走るやらなのに…。
あの男(ヒト)が私に触れても…私…全然嫌じゃなかった…。
寧ろもっと触れて欲しい…もっと深く触れ合いたい…なんて思って…。
はっっ!!
いま私、すごいアホ面してた!?
…でもきちんと考えないと駄目なんだよね…。)
考えながらも支度を済ませ、キョーコは蓮と食べる為の夕食の食材を調達すべく、マンションまでの道筋にあるマーケットに向かったのだった。
「…お粗末様でした。
いつもありがとうございます。
食後のコーヒーをいれて頂いて…。」
「…クス、それって俺の台詞だよ?
美味しいご飯を作って貰ってるんだから。
……そろそろ答えは出たかい?」
夕食も済ませ、蓮の入れてくれたコーヒーに口をつけていたキョーコは、蓮の眼差しに肩を震わせた。
「は…はい。
アイツの愚かな所業と、…敦賀さんのしてくださったコトの…違い…。
私、頑張って考えました。
…私っ…!」
「…ストップ!!」
思い切って言おうとして顔を上げたキョーコの目の前に、いつ移動したのか、ミニテーブルの向こうに居たはずの蓮が自分の横に来ていて、ラグに膝を突き、目線を併せるべくキョーコの頬に触れようとしていた。
「…今の言い方。
彼のは“愚かな所業”で、俺のは“してくれた”…。
俺は自惚れていいのかな…。」
「…はい。/////」
触れそうで触れない蓮の大きな掌を、キョーコは自分の手で自分の頬に触れさせた。
それは幸せそうに、愛しそうに。
「…最上 キョーコさん。
俺は君が…ずっと好きでした。
今は…君の事を、愛してる。
だから、俺の恋人になって下さい。
…生涯の恋人に。」
キョーコの思考は完全にフリーズした。
たった今想いが通じ合ったばかりなのに、生涯の恋人になってくれと。
それは所謂プロポーズというヤツではないのだろうか。
「ああああの敦賀さん?
私まだ17歳になったばかりです!」
「うん、そうだね。
俺は21歳だよ。
だからね、今は予約済みにしておいて。
ここを、ね。」
そう言ってキョーコの左手を取り、その薬指にキスを落とした。
「心配しなくても飽きるなんてありえないし、他の馬の骨なんかに見向きもさせないよ。
…何より…。」
そこで言葉が途切れた事で視線が絡み合った。
今まで抑えていた気持ちが溢れ出し、熱っぽい視線がキョーコを搦め捕る。
「…俺無しじゃいられないようにしてあげるよ…。
…今日は帰れないって、だるまやさんに連絡して…?」
キョーコは熱に浮かされたように、蓮に言われた通りにだるまやに連絡した。
仕事で遅くなってしまうので事務所に泊めて貰う、と。
連絡を終えると、蓮はキョーコの手から携帯を離させて、ぐっと腕を引きその華奢な肢体を包み込んだ。
息が苦しくなるほどの強さだったが、同時に感じる想いの大きさにキョーコはその背に腕を回し、自分も蓮を抱き締めるのだった。
「…キョーコ…。
キョーコ…。
愛してるよ…。」
何度も繰り返し言う蓮に顔を朱く染めながら、キョーコもまた想いを返す。
「わ、私も…貴方が…敦賀さんが好きです…。」
そこでぴたっ、と蓮の動きが止まった。
「“蓮”だよ。
後で本当の名前も、色々な事全部教えてあげるけど、今は“蓮”って呼んで?」
「れ…、蓮…さん?」
「…さんも要らないんだけどな。
慣れるまではそれでもいいよ。
ところで…このまま寝室直行でいいのかな。」
ひょいと横抱き、所謂お姫様抱っこでキョーコを抱え上げた蓮は、寝室に向かう廊下に歩き出そうとしていた。
「逃がすつもりはこれっぽっちもないし、選択肢は2つ。
このまま寝室直行か、バスルーム直行か。」
もう我慢なんかしないから、と言う蓮には、すっかり切れた理性の紐の残りが僅かに絡まっているだけだった。
長いよ!遅いよ!
そして駄目だろ!
次回間違い無く限定だわ。orz
何事も切り換えが大事だと教わったキョーコは、その根性をフルに発揮してその日の仕事を乗り切ったのだった。
「お疲れ様でした!
お先に失礼します!」
仕事の疲れも見せず、丁寧にスタッフやプロデューサーに挨拶して、控室で帰り支度を始めたキョーコの携帯がぶるぶる震え出した。
「…あ…。」
携帯の画面に“敦賀さん”の文字。
躊躇っているうちに着信は切れてしまったが、直後にメールでメッセージが送られてきた。
『お疲れ様。
そろそろ仕事が終わる頃だと社さんに教えて貰ったよ。
後は俺の家に行って夕食作ってくれるだけだよね?
今日は何だろうか。
楽しみにしているね。
追伸
夕食の作り逃げなんか赦さないから、覚悟を決めておいてね。
昼間のあの事件と、俺が君に触れた意味、君に考えて貰いたい。』
(~~なんか逃げ場を奪われてる!?
…でも…アイツのやらかした事は今思い出してもムカつくやら虫酸が走るやらなのに…。
あの男(ヒト)が私に触れても…私…全然嫌じゃなかった…。
寧ろもっと触れて欲しい…もっと深く触れ合いたい…なんて思って…。
はっっ!!
いま私、すごいアホ面してた!?
…でもきちんと考えないと駄目なんだよね…。)
考えながらも支度を済ませ、キョーコは蓮と食べる為の夕食の食材を調達すべく、マンションまでの道筋にあるマーケットに向かったのだった。
「…お粗末様でした。
いつもありがとうございます。
食後のコーヒーをいれて頂いて…。」
「…クス、それって俺の台詞だよ?
美味しいご飯を作って貰ってるんだから。
……そろそろ答えは出たかい?」
夕食も済ませ、蓮の入れてくれたコーヒーに口をつけていたキョーコは、蓮の眼差しに肩を震わせた。
「は…はい。
アイツの愚かな所業と、…敦賀さんのしてくださったコトの…違い…。
私、頑張って考えました。
…私っ…!」
「…ストップ!!」
思い切って言おうとして顔を上げたキョーコの目の前に、いつ移動したのか、ミニテーブルの向こうに居たはずの蓮が自分の横に来ていて、ラグに膝を突き、目線を併せるべくキョーコの頬に触れようとしていた。
「…今の言い方。
彼のは“愚かな所業”で、俺のは“してくれた”…。
俺は自惚れていいのかな…。」
「…はい。/////」
触れそうで触れない蓮の大きな掌を、キョーコは自分の手で自分の頬に触れさせた。
それは幸せそうに、愛しそうに。
「…最上 キョーコさん。
俺は君が…ずっと好きでした。
今は…君の事を、愛してる。
だから、俺の恋人になって下さい。
…生涯の恋人に。」
キョーコの思考は完全にフリーズした。
たった今想いが通じ合ったばかりなのに、生涯の恋人になってくれと。
それは所謂プロポーズというヤツではないのだろうか。
「ああああの敦賀さん?
私まだ17歳になったばかりです!」
「うん、そうだね。
俺は21歳だよ。
だからね、今は予約済みにしておいて。
ここを、ね。」
そう言ってキョーコの左手を取り、その薬指にキスを落とした。
「心配しなくても飽きるなんてありえないし、他の馬の骨なんかに見向きもさせないよ。
…何より…。」
そこで言葉が途切れた事で視線が絡み合った。
今まで抑えていた気持ちが溢れ出し、熱っぽい視線がキョーコを搦め捕る。
「…俺無しじゃいられないようにしてあげるよ…。
…今日は帰れないって、だるまやさんに連絡して…?」
キョーコは熱に浮かされたように、蓮に言われた通りにだるまやに連絡した。
仕事で遅くなってしまうので事務所に泊めて貰う、と。
連絡を終えると、蓮はキョーコの手から携帯を離させて、ぐっと腕を引きその華奢な肢体を包み込んだ。
息が苦しくなるほどの強さだったが、同時に感じる想いの大きさにキョーコはその背に腕を回し、自分も蓮を抱き締めるのだった。
「…キョーコ…。
キョーコ…。
愛してるよ…。」
何度も繰り返し言う蓮に顔を朱く染めながら、キョーコもまた想いを返す。
「わ、私も…貴方が…敦賀さんが好きです…。」
そこでぴたっ、と蓮の動きが止まった。
「“蓮”だよ。
後で本当の名前も、色々な事全部教えてあげるけど、今は“蓮”って呼んで?」
「れ…、蓮…さん?」
「…さんも要らないんだけどな。
慣れるまではそれでもいいよ。
ところで…このまま寝室直行でいいのかな。」
ひょいと横抱き、所謂お姫様抱っこでキョーコを抱え上げた蓮は、寝室に向かう廊下に歩き出そうとしていた。
「逃がすつもりはこれっぽっちもないし、選択肢は2つ。
このまま寝室直行か、バスルーム直行か。」
もう我慢なんかしないから、と言う蓮には、すっかり切れた理性の紐の残りが僅かに絡まっているだけだった。
長いよ!遅いよ!
そして駄目だろ!
次回間違い無く限定だわ。orz