皆様のお陰を持ちまして、勿体なくも100人を越える皆様にアメンバー登録をしていただきました。

今回のお話はその中のお一人、50人目のアメンバー様、さほひめ様からのリクエスト、“不破とキョーコの会話から、キョーコが自分に恋していることに蓮が気づいて、告白する”をテーマに作ってます。

テーマ頂いて作るの初めてなのでちゃんと出来てるかな…?






真実の覚醒




「……!!」


「…んだと?
お前なぁ…!!」



…あの声。あの口調。

彼のあの様子からして相手はまたあの娘だ。

俺が知っている限り、彼はあの娘以外にああいう口はきかない。

俺はまたため息をつく。

人通りが殆ど無く、本来なら他人の目に触れる事なく会話も喧嘩も出来そうな所がテレビ局にはあちこちにある。

しかし何故か俺は彼と彼女が口喧嘩を繰り広げる現場に遭遇してしまうのだ。

彼女…俺の事務所の後輩で、器用で、真っすぐで、可愛い女の子。
特に最近の輝きには目が離せない、俺の日本での想い出の女の子、最上 キョーコ。

タレントとしての芸名は“京子”だ。


そして彼…カリスマロックシンガーとして名を馳せる、ウ゛ィジュアル系アーティスト、不破 尚。

彼女にとって昔の王子様で、今は恨みを向ける相手だ。



「何度も言わせないでよっ!
いくらあんたが馬鹿でも、同じ事何回言わせりゃ気が済むのよっ!?
あんたなんかと関わったって碌な事ないんだから、こっちは口ききたくないのよっ。
たまたまテレビ局の中で名前見かけたくらいでいちいち顔出しに来るんじゃないって言ってんでしょうが。
それともそんなに仕事無くて暇な訳?
 あーそれはお気の毒ねっ、ていうかざまぁみろ?」


用は済んだろ、あっち行けとばかりにひらひら手を振ってその場を去ろうとする彼女に、不破は不快感もあらわに肩を掴んだ。


「この俺様がそんなに暇な訳がないだろうが!
お前の方がどうせ暇なんだろうが、少しは気を遣いやがれ!
少しは時間があるからメシに付き合えってんだよ。」


「…っ、離しなさいよ!
あんた仮にも女優の身体に掴み痕付ける気?
…そんな事したらあんたのウ゛ィジュアル台無しにしてやるから覚悟しなさいよ~!
  こっちはこれからあのひとと大事な…っ!」


そこで言葉の途切れた最上さんだが、俺の位置からじゃ彼女の表情は見えない。


「…大事な…何だよ。
…お前、なんて顔してやがるっ…!
…あのひとってアイツか…?
  お前は俺のモンだろうが!!
  忘れてんじゃねぇよっ!」


「冗談じゃないわっ!!
誰があんたのモンだって言うのよっ!
寝ぼけたコト言ってんじゃないわよ!
第一アイツ呼ばわりするなんて敦賀さんに失礼だわ!」


「…俺は一言も“敦賀 蓮”だなんて言ってねぇよ…っ!
…あっさり引っ掛かりやがって。
…やめだやめだ!
お前やっぱりバカ女に逆戻りかよ!」


「…あんたには関係ないわよ。
あんたとあの人じゃ比べる方が失礼だわ。
…それに、人の世話になっておきながら世話した相手に向かってバカ女呼ばわりするなんて、人間として品性を疑うわよ。」


人としての品性を問われ、蹴落としたいと思っている男(自分)とは比べる方が失礼だとまで言われ、彼は怒りに震えていた。










第一話は尚とキョーコちゃんの口喧嘩で終わってしまいました…。orz