孫文 『博愛』 | 『美術商の鑑定日記』

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NHK連続ドラマ「花子とアン」で柳原白蓮が大正三大美人として話題になっている。


柳原白蓮の駆け落ちをする相手は『解放』の主筆・宮崎龍介だが、その父は宮崎滔天も革命家であり、孫文を支援したことでも有名だ。


孫文も「中国革命の父」「国父」と今も呼ばれている。



宮崎滔天は熊本・荒尾市の出身者だが、社会運動の活動費のため先祖伝来の田畑を売り払うほどの情熱家だ

九州には孫文を支援する人物が多くいて、長崎の梅屋庄吉、福岡の安川電機創業者・安川敬一郎などがいるが、宮崎滔天の功績は大きかったようで、戦後の1956年に孫文誕生九十年の祝典に龍介夫妻が招待され、毛沢東・周恩来と共に臨席したほどだ。

昨年、荒尾市に孫文直筆の書「博愛」が寄贈され、地元の新聞記事になっているのは、こうした背景があるだ。


ところで孫文直筆の書「博愛」は、この骨董業界に入ってから何度となく見ているし、取引もしている。しかも孫文の書は「博愛」の文字しか見た事がなく、孫文といえば博愛、博愛といえば孫文といった感じだ。

九州に限らず日本のあらゆる所に出没し、中国から派遣された追っ手から隠れつつ、日本人のパトロンから多くの活動費を集めていた。

その証しとして、多くの書が残されていている。そして日本びいきであることは、中国での通称が「孫文」ではなく、「孫中山」ということが証明している。「孫中山」は日本の表札の「中山」が由来になっている。