歴史小説ってジャンルが気になっています。

歴史上、実在した人物を主人公にしたフィクション。


良い点はその人物を、一躍、有名にしてしまうことです。

でも、歴史小説の作家は、実在の人物を主人公にしたフィクションを書く以上、それに伴う責任が有るはずです。


どの部分が史実で、どの部分がフィクションなのか。

それを明確にしないと、彼の歴史上の存在意義が、間違って解釈されるのです。

面白おかしくヒーローに仕立て上げて、本を売るのは止めていただきたいのです。



で、今年大ブレイク中の坂本竜馬です。
気の弱い、オネショタレのダメ少年が、やがて国を動かす歴史上の偉人に成長して行くサクセスストーリーには、確かに引き付けられる物があります。

しかし、実際にはダメ少年部分は全くのフィクションです。


もともと優れた資質の持ち主が、時代背景と彼を取り巻く人的環境にベストマッチして、その能力を最大限に発揮した。

おそらく、それが史実だと思います。



そういう解釈のうえで尚、私が坂本竜馬に引かれるのは、「理解を超えた人物」だからです。


第一に、脱藩して組織に属さない人間でありながら、その立場で国を動かそうとしています。

当時の常識で (現代でもそうかもしれませんが)、他の人々は、彼を敵か味方か判断できたのでしょうか。


龍馬暗殺の黒幕はだれか?

この一点でも色んな説があります。

ということは、誰に殺されても不思議ではなかったということですね。

つまり、当時においても、ほとんど誰にも理解されてなかったということではないでしょうか。

勝海舟か西郷隆盛は別にして、ほとんどの者の理解を超越していたのではないかと思えるのです。


同郷の偉人として誇りに思う反面、

NHKが火付け役となったチャラチャラした「龍馬ブーム」には、多少腹立たしさを感じてしまいます。


本人がどう思うかは分かりませんが、どの時代でも理解されないとしたら可愛そうなことです。