強迫 くもりのち晴れ ときどき雨
強迫性障害とともに生きる8名の人生
「この本を読み終えたときに、自分なりの『治る』を
見つけられますように」 専門科へのインタビューも収録
著者/梨本恵里子 長崎出版 1785円
この本は、強迫性障害に悩む方とそのご家族の体験談が
細かく丁寧に書かれています
そして、
245~285Pには、私の摂食障害の体験・克服談、
著者の梨本さんのコメントが書かれています。
「体験者だけではなく、体験者の家族にもインタビューし
双方の気持ちを平等に汲み取った内容にしたい」という
梨本さんの思いに賛同した8家族のコメントは、
壮絶の一言に尽きます。
カウンセラーの立場で読んだ私にとっては、第2章にある
専門医のコメントは頷けるものばかりで非常に参考になりました。
病名は違っても、心の病を患っている人や、その家族であれば、
この本の内容は共感にも参考にもなると思います。
ただ、感受性が高い方や気持ちが落ちている方は、
共感を通り越して、もらってしまうかもしれません。
私がそうでした。ひとりの当事者、克服者としてこの本を
読んだとき、大いにもらってしまいました
覚悟はしていましたが、想像以上にもらってしまい、
自分の気持ちを元に戻すのに苦労しました。
でもこれは、この本に携わった私だからなのかも
かもしれません
私以外の人ならば、「とても良い本でした」で終わるのかも
しれません。
どの家族の体験談を読んでも、親子関係の問題を保留にしたまま、
摂食障害を克服した、私の心の奥底にある古傷が疼くのです
でも、「ここまで暴露することはないだろうに」と自分でも
呆れるくらい、馬鹿正直な私と母のコメントは、今現在親子関係に
悩んでいる方々への参考や励みになれるのではないかと
思っています。いや、そう思いたいのです
じゃなければ、私と母が実名でこのインタビューを受けた
意味がないから・・・
5年前に、著者の梨本さんの熱い思いに賛同し、私と母は
彼女のインタビューに応えました もちろんノーギャラです(笑)。
流れのままにこの本が出版されたならば、何の問題もありません。
でも梨本さんサイドでいろいろとあり、この本が出版できたのは
あれから5年も経った今年の10月10日となりました。
本に書かれている事実は時を経ても変わりません。
でも、人の気持ちは刻々と変化していきます。
今の私と母の心情は、この本に書かれているものと同じでは
ありません。
今の私ならば、このようなインタビューは受けません。
もっと詳しく言うならば、母が受けるならば、私は受けません。
受けるなら、私だけが受けます。
恐らく、母も私と同じ気持ちだと思います。
5年前の私たちだから、梨本さんのインタビューに協力し、
あのようにコメントしたのです。
だから、この本に書かれていることは、あくまでも
「5年前の私たちの心情として」読んでいただきたいと思います。