「生意気なことを言うのはこの口か?」

反抗期には、お仕置きだな・・・

「!?」

唇、塞がれる。

逃げようにも、長い腕でしっかりと体を密着させられて、隙間を空けることさえ難しくて、足は宙に。

「っ兄っさ・・・!   」

「黙ってろ」

次第に激しさを増してくる口づけ。カラダ・・・熱い。



とろけちゃう。ダメなのに。

このヒトは、ダメなのに。

敦賀さん              どうして?


どうして・・・私の中をこんなに暴いていくの?

あなたは、こんなに隠し通した私の中を、好きなように煽り、暴き立てていく。


あなたしかそんなことをするひとはいない。


アイツでさえ、もう私の中に入ることは出来ないのに。

そんなに頑丈な、何者も入れないように幾重にも固めた私の心の中に、あなたはいつも簡単に嵐を起こしていくの。



今だって。



ダメ。

セツとして振舞えない。

簡単に溶かされて・・・、ダメっ子兄さんを甘やかす妹なんて演じられない。



「「もう、兄さんのバカ・・・」」そう言いながらもカインを甘やかし、頭の一つもなでてみせるのがセツとして正しい。



分かってる・・・けど、そんな余裕なんて無い。

頭の中が甘い痺れで占領されて、聞こえるのは自分のあつい息遣いだけ。


               はぁっ、は・・・  敦っ賀さ・・・・・・・・・」




もうダメ。


鍵は全て、壊されてしまった。

もう、このひとと自分の間を隔てる壁は、きれいに溶けてなくなってしまった。




どうして、壊してしまうの?

こんなに、距離を取ろうと築いた壁を。

もう、自覚するしかない現実を突きつけられた。

このひとは、本当に危険な存在・・・・・




だって、自覚してしまった。

あなたを、私のものにしたいという欲求。

だから、返すの。初めて、自分からの口づけを。

カインに、ではない。敦賀さんに。




「最上・・・さん・・・」


呆然とする表情。そうよね。きっと私の壁を溶かしたことに後悔するわ。


でも、そんな表情したって、もう、止まらないの。

「・・・もうっ。バカね、兄さんってば!乙女の唇はもっと優しく扱うものよ?」


だから演技で隠してあげる。

この想いごと・・・



でも、いつか気付いてね?

もう、眠りの森の魔法はすでに解けていて、あなたがもう一歩踏み出せば、私の世界が変わること。




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反抗期のセッちゃんに、しつけする方法を間違えたらこんなことに。


蓮さま、はやく一歩を踏み出して!!!