PRISONERを、蓮とキョーコで・・・。という設定の元、魔王蓮様と堕天使キョーコの物語を進行中です。少量ずつちまちま更新しておりますがよろしくおつきあいくださいませw
Crystalの欠片〔7〕
(い ゃ あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ !!!! やめてぇぇぇええ~~~!!! ちょ、ちょっと、落ち着いてよぉ!!・・・・ひああああ!!!)
ガシャン、パリーン!!
ひときわ大きな『声』が紅蓮王の耳に届いたその時、何かが壊れる音がいくつも響いた。
「なっ、なんだ!?」
社も驚きに体をこわばらせる。
キョーコ。
混乱し、闇色のオーラをまき散らしている姿が視える。
紅蓮王は無言のまま部屋を出る。社も慌ててそれに続いた。
* * * * * *
「いやああ~~~~~~!!! お願い、分かったわ・・・・分かったから、お願い、落ち着いてええええ!!!」
キョーコからほとばしるオーラの渦が凶暴なほどの力で窓や装飾、壺・・・あらゆるものを破壊していく。
止めようにも、嵐が激しすぎて近づくこともできない。
キョーコは顔を両手で覆ったまま、嵐の中心にうずくまっている。
憎かった。あの悪魔が・・・。そして今ではこの世の全てが憎くてたまらない。
身の内からわき出る闇をおさえることができない。
奏江の声が聞こえるけれど、とても遠くから聞こえてくるみたいだった。
「私はこの手で命あるものを殺してしまった・・・もう、天にはいられない。それでも、ダイアナを守ることができた・・・・・・・・・親友を守ることができた・・・・・・・・・・・・それと引き替えに悪魔を殺したことを、喜んでしまった・・・・・!!! 死んだと思ったのに・・・・・・・・・・・生き残ってしまった・・・・・・・・・・・・・・!!!!!もう・・・・・・・・・・私は・・・・・・・・・・・・・・!!!!」
憎悪と、後悔と、懺悔と、歪んだ喜びと、親友を思う愛と・・・。混沌とした思いの渦が溢れて止まらない。
もう、止められない 。
その、時。
「 キョーコ!!!」
力強く、キョーコを抱き寄せる腕。
その髪は艶めいた黒、瞳は灼熱の炎のような赤。
紅蓮に燃え立つ炎の化身。
「紅蓮・・・・・・・・王・・・・・・・・・・・・・・」
「 蓮でいい」
ぎゅ、と優しくその腕に包み込まれて、キョーコの闇が全て消え去っていく。
「あ・・・・・・・・・・・・・・・」
「落ち着け・・・キョーコ。お前を苦しめた悪魔はもういない・・・そうだろう」
”尚はもういない”。
”お前を苦しめる者はもういない”。
キョーコの頬を紅蓮王の指が優しく撫でる。
どうして
こんなに安心できるんだろう ・・・
相手は、恐ろしい王・・・魔界を統括する魔王のはずなのに。
その人が、こんなに優しい微笑み方をするなんて・・・。
この人の腕に、こんなに安心してしまうなんて・・・。
何故・・・?
キョーコは、抱きしめる蓮の背中にそっと腕を回した。
ダイアナ・・・・・悪魔を好きになってしまったあなたは、こんな気持ちだったの・・・?