幸村「おい」

「え・・・・・・」

(幸村・・・・・・!?)
戸口を振り返ると、そこにいたのは幸村と佐助くんだった。

「どうしてふたりがここに?」

佐助「ゆうさん、ごめん。俺が黙秘を貫いたことが、ふたりの喧嘩の一端になったんじゃないかと思って。君にここを紹介したのは、義元さんだよね」

「うん・・・・・・佐助くんも知ってたんだね」

佐助「ああ。それで、ふたりの勘違いをちゃんと訂正しようと思って」

惣二郎「これは幸村様・・・・・・ばれてしまいましたか」

「え!? 幸村と惣二郎さん、知り合いだったの!?」

幸村「知り合いっつーか・・・・・・あー、つまりだ全部、義元が手回してたんだよ。俺にここで指輪作るよう勧めたのも、義元。お前に同じように勧めたのも、義元だ」

「え?」

幸村「俺が習ってたのは、惣二郎さんの嫁さんの、梅さんからだけど」

「ええっと・・・・・・どうして幸村が指輪を・・・・・・?」

幸村「・・・・・・すいません、こいつ、ちょっと連れ出してもいいですか?」

惣二郎「ええ、もちろん。ゆう様、続きはまた今度にしましょう」

幸村「佐助、ありがとな」

佐助「いや、仲直りしてくれて何よりだ。・・・・・・幸村、応援してる」

(応援?)

幸村「っ、おー」

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幸村に連れ出されて、私達は人通りの少ない橋まで来た。

幸村「これ、受け取れ」

そう言って、綺麗な陶器の指輪を渡してくれた。

「え・・・・・・あ・・・・・・これ、幸村が作ったの?」

幸村「おー」

「ええっと・・・・・・どうして指輪を?」

幸村「んなもん、決まってるだろ。お前に、『ぷろぽーず』するためだよ」

「えっ・・・・・・!?」

幸村「そもそもの話、俺がお前に『ぷろぽーず』をしようと思って、佐助達に相談したんだよ。それで、佐助から指輪の風習とか聞いて、義元の提案で梅さんから、陶芸を習うことになって・・・・・・そういうわけで、お前に
行き先を言えなかったんだよ」

(っ・・・・・・じゃあ、今もしかして・・・・・・)

幸村「なあ」

「う、ん・・・・・・」


幸村「俺と、夫婦(めおと)になってほしい」


幸村「この先ずっと、俺と生きて欲しい」

「っ・・・・・・ええっと・・・・・・あの、どうして急にプロポーズを?」

幸村「ずっと前から考えていたことではあったけど・・・・・・この前の逢瀬のときに、梅さんたちを見て、羨ましそうな顔をしたお前見て」



幸村「生涯かけて幸せにしてやりたいのはお前だけだって、改めて思ったんだよ」

「っ・・・・・・そうだったんだ」

(どうしよう、嬉しすぎて・・・・・・やっぱり、気持が追いつかない)

「すごく、嬉しいよ・・・・・・」

(駄目だ・・・・・・ちゃんと返事したいのに)

幸村「お前・・・・・・そんなに緊張しなくていいだろ」

「っ、だって・・・・・・」

幸村「まあいーけど。返事は後で聞くから」

幸村が優しく私の髪を撫でつけた。
(幸村・・・・・・)

幸村「俺も気になったんだけど。そういうお前は、どうして指輪なんて作ってたんだよ」

(あ・・・・・・そうだよね、それも話してなかった)

「それは・・・・・・義元さんに、幸村との将来をどう思ってるのか聞かれて。幸村とこの先もずっと一緒にいたいって思ってることを伝えたら、『自分からプロポーズしてみるのはどう?』って勧められたのがきっかけで・・・・・・」

幸村「は!?」

「もちろん、そういうのは男の人からが一般的かもしれないけど・・・・・・私も、幸村とずっと一緒に生きていきたいって気持ちを形にしたいって思ったんだよ」

幸村「っ・・・・・・」

「まだ完成してないんだけどね・・・・・・毎回失敗しちゃってて」

苦笑いした私を、幸村が優しくぎゅっと抱き締めた。

幸村「それ、完成したら、俺にくれんの?」

「う、うん・・・・・・そうだよ」

幸村「・・・・・・じゃあ、『ぷろぽーず』の返事は?」

「っ、もちろん『はい』だよ・・・・・・!」

幸村の背中に手を回して、ぎゅっと抱き締め返す。
(やっと言えた・・・)

「大好き・・・・・・ずっと一緒にいようね」



幸村「おー」

満足そうに微笑んだ幸村は、私の額にキスを落とす。照れ笑いを交しあって、私達は城へと帰った。

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城に戻る頃には日が暮れて、あっという間に月が高く昇った。

幸村の部屋の襖を閉めてすぐ、私達はは、溢れる想いを受け止め合うように、口づけを深めていった。もつれ合うようにして、布団に押し倒される。

「幸村・・・・・・っん・・・」

着物の上から弱い部分を優しく責め立てられ、声が漏れそうになる。刺激を逃がそうと、布団をぎゅっと握ると、やんわりその手を取られた。

幸村「可愛い。声も、全部、我慢しなくていい」

「っ、でも・・・・・・っ、あっ・・・・・・」

するっと帯を引き抜かれて、素肌があらわになる。

「っ、そんなに見ないで」

隠そうとするも剥がされて、指を絡め取られた。

幸村「やだ。ちゃんと見せろ」

瞳の奥に宿る熱で、どこもかしこも溶けてしまいそうになる。

幸村「なあ」

幸村が頬に優しくキスを落として、私の耳元に唇を近づけた。




幸村「お互いじーさんばーさんになっても、こんな風に、手、繋いでような」


幸村「何十年さきになっても、俺はお前に同じことを言うつもりだ」


幸村「俺にとって、お前がこの世で一番可愛い女だ」

「幸、村・・・・・・」

(どうしよう・・・・・・嬉しくて、胸がいっぱいだよ)
言葉にできずにいると、幸村が私の顔を覗きこむようにして微笑む。

幸村「・・・・・・死ぬまで一緒な」

「うん・・・・・・っ」

ありったけの思いを伝えるように、私から幸村に口づけた。
(絶対に離れない。何年経っても、どんなに喧嘩しても・・・・・・ずっと一緒にいる)

右手の薬指にある幸村の想いがこもった指輪に、そりて目の前の愛しい人に、私は心の中で永遠の愛を誓った------

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<ふたりの甘いひとときの続きは・・・・・・>

そして始まる、想いを重ねあうような熱い夜------

幸村「焦らしてない。ちゃんと全部、愛されろ」

余すことなく素肌に触れていく幸村に、ありったけの愛情と刺激を与えられる。そして身も心もひとつになった。

その翌日------

幸村「っ・・・・・・お前・・・よくそういうこと、恥ずかしげもなく・・・・・・」

再び訪れた工房で、ふたりは確かな絆を確かめ合う。永遠に続いていく恋に、幸せを感じながら------