信長「からかってなどいない。だが、俺をこの部屋に閉じ込めるというなら・・・・・・」

(ぁっ・・・・・・)
信長様の唇が耳のふちに触れたかと思うと、かぷりと噛まれた。

信長「それなりの見返りは期待しているぞ」

「ん・・・・・・っ」

信長「それでもいいのか? ゆう」

「わかりました・・・構いません!」

頷いて信長様を見据えると、挑戦的な微笑みを返された。

信長「ほう、自らを差しだすとは、物好きだな」

「なんて言われても、いいです。私は・・・・・・信長様に、無理をして欲しくないんです」

信長「無理などしていない」

「信長様が意識していなくても、信長様の身体は疲れを訴えているんです。私の目の届くところでは、無理を重ねないでほしいんです」

信長「・・・・・・」

「私は、信長様の彼女です。部下でも家臣でもないから・・・・・・大切な『彼氏』の心配くらい、させてください」

黙って話を聞いていた信長様が、かすかに首を傾げた。

↑↑↑なんか、可愛いな。。。♡

信長「『かれし』は女に心配をさせるものなのか」

「はい。身体が弱っているときくらい、甘えるものです。・・・・・・対等な関係ですから」

信長「対等。そうか・・・・・・ならば、俺の枕になれ」

「え?」

(どうしてそこで枕?)

信長「早くしろ」

信長様がその場に私を座らせて、膝の上に頭をのせた。

「存分に甘やかすが良い」

(どうしてそんなに得意げなの?でもこれで甘えてるつもりなんだ・・・・・・)

「わ、わかりました。いっぱい甘やかしますね」

驚きながらも微笑ましくて、そっと、少しだけ熱い信長様の額に手を添える。

信長「貴様の手は、心地良いな」

「そうですか?」

信長「ああ、もっと触れていろ」

髪をなでるたびに、穏やかな表情がまして信長様は目を閉じた。
(大人しく身を預けてくれてる。安心してくれてるんだ。こんな穏やかな時間が、もっと続けばいいんだけど)

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少し経った頃、規則正しい寝息が聞こえて、信長様の身体から力が抜けていった。

「信長様・・・眠っちゃったんですか?」

信長「・・・・・・」

(いつも鋭い眼差しの信長様だけど、寝顔は可愛いな)

「ふふ、可愛いなんて言ったら怒られそうだけど」

信長様の寝顔を見つめ続けているうちに、愛おしい気持ちがあふれてくる。

「大好きです、信長様・・・」

誰に言うでもなく呟いて、信長様の額に唇を寄せ、ちゅ、と軽いキスを贈ると、

信長「足りんな」

(え・・・・・・!)
私の頭の後ろに信長様の手が回り、ぐいっと高等部を引き寄せられた。

「ん・・・っ、・・・・・・」

重なった唇を信長様の舌が押し割って、奥まで求められる。

信長「ゆう、もっと貴様をよこせ」

肌が火照っていくけれど、同じように、ふれあっいる信長様の唇も熱かった。
(信長様のキス、いつもより・・・・・・少し熱い)

「駄目、ですよ・・・・・・体調が治ってからです」

かすかに唇を離して訴えると、信長様が表情を曇らせた。

信長「・・・・・・良いだろう。だがその時は、覚悟しておけ」

どきどきと心臓が音を立てる中、信長様の瞳がまっすぐに私を見つめる。

信長「どうした、返事を聞かせろ」

・・・・・・はい、わかりました」

信長「良い返事だ」

信長様は短くキスを落としたあと、私の髪を梳きながら抱きしめて・・・その夜、ふたりきりの甘く優しい時間が過ぎていった------・・・

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翌日------

軍議が行われている広間の隅で、私は信長様の様子を黙って見守っていた。無事に熱が下がった信長様は、溜まっていた公務を淡々とこなしている。
(元気になられて本当によかった)

ほっとしていると、私の方を見た信長様と目が合って・・・・・・

信長「・・・・・・」

(なんだろう・・・・・・?)
意味深に信長様の口の端が上がったことが、気にかかった。

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軍議が終わったあと、

信長「ゆう、こちらへ来い」

信長様に呼ばれ、そばへと歩いていく。

「はい?」

近くに座った私の頬に触れながら、信長様は愉しげに目を細めた。

信長「今宵は俺の部屋に来い」

「え・・・」

信長「約束通り、存分に可愛がってやろう」

(約束って、昨夜の・・・・・・?)

信長「良いな?」

有無を言わせない力強い声音を聞いて、背筋に甘い痺れが走る。

「わ、わかりました・・・」

信長「良い返事だ。覚悟はできているようだな」

激しく鼓動が騒ぐのを感じながら、そっと目を伏せた。
(・・・・・・もしかして私、大変な約束しちゃったかも)

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日が暮れて月が空に浮かぶころ-----

「信長様、失礼します」

信長「ようやく、来たか」

部屋を訪ねると、信長様は盃を手に、脇息(きょうそく)にもたれた状態で私を見た。

信長「早くそばへ来い」

「はい・・・・・・」

誘われるままそばに座った私をみて、信長様が盃のお酒を飲みほした。

信長「『見返り』の件、忘れてはいないだろうな?」

(忘れてない、けど・・・・・・)

「見返りって、私は何をすれば・・・・・・」

信長「俺の身体を気遣っていたとはいえ、貴様は天下人になる男を部屋の中に閉じ込め、公務を妨害したのだ」

意地の悪い笑みを浮かべた信長様が、愉しそうに鉄扇の先で私の顎を持ち上げた。

信長「仕置の時間だ。恥じ入るほど乱されるか、泣くほど愛し尽くされるか・・・貴様自身で選べ」

「え・・・!」

(な、何を言いだすの、そんなの選べる訳ないよ)

信長「黙っていてはわからん。答えろ、ゆう」

「っ、意地悪しないでください・・・」

信長「何の話かわからんな」

(わかってるくせに・・・・・・やっぱり意地悪だ)

「そ、それなら信長様が決めてください」

信長「何・・・・・・?」

「私は選べません」

横を向いて顔をそらすと、信長様が顔を覗き込んで強引に視線をからめとる。

信長「そうか。ならば選んでやろう」

(あ・・・・・・)
艷めいた瞳が近づき、その場に背中から押し倒された。

信長「貴様が泣くほど乱して・・・・・・その身に愛を思い知らせてやる」

(それって、もしかして両方ってこと?)

「ま、待ってくだ・・・ぁ、ん・・・」

信長「選べと言ったのは貴様だ」

焦って反論しようとしても口づけで唇を塞がれ、からかいまじりの眼差しを向けられる。
(どうしよう・・・・・・恥ずかしくて仕方ないのに・・・嬉しいって、思ってる)

嬉しいんだーー♡(∩´∀`∩)

(どれだけ私は・・・・・・この方を好きなんだろう)

信長「ゆう、覚悟はいいな?」

「はい・・・・・・」

上ずる声でなんとか言葉を返し、広い背中にしがみつく。心臓が高鳴るのを感じながら、信長様の熱に溶かされる夜の始まりに、身を委ねた------・・・