(以下、癌の治療についての表記があります。苦手な方は御注意下さい。)
母が抗ガン剤と放射線治療を終え、退院しました。
後半から全く物が食べられなくなり、点滴生活。ふくよかで豊かだった母はげっそり痩せ細り、脚も腕も枯れ枝のようになりました。
太陽のように元気な母・陽子をご存じの方には信じられない姿だと思います。
自宅療養で、甘いデニッシュが食べたいという母に、遠出して美味しいパンを幾つか買って帰りました。
そのパンを4つに切り、1つだけ食べる事ができました。まだ、1人で歩く事はできません。
すると、おもむろに母が、あなたにお願いがあるんだけど、と。
私は仕事をセーブして、介護をして欲しい、とお願いされるのかと思いましたが、母の願いは想像を絶するものでした。
「入院して、痩せて、腕とか顔とか、シワシワになっちゃった。これじゃ、デートも出来ない。
一緒に、顔と身体のエステ、ネイルサロン、美容院、まつ毛エクステに連れて行って。新しい、可愛い服も欲しい。」
抗ガン剤と放射線治療が終わっても、ずっと母の神経性胃腸炎が治らず、先生が首を傾げておられました。そして、心療内科を薦められました。
しかし、母が誰にも言えず心を痛めていた理由は、コレだったのです。
母は68歳。女として美しくありたいと願う心があるうちは、彼女はまた、以前のように元気になる。
そう思いました。
私も死ぬまで、女でいたいです。
上海の大学に通っていた時、毛沢東像の前で、まさかの毛沢東ポーズをとる母陽子です。