「今のままの条件で継続することは難しいです」
昨年末、弊社の某ホテルでリネン業者の担当者から言い渡された。
その業者は、現時点でも他と比べて価格が高く、悩ましかったが、
他にやれる業者がなかったから、仕方なく依頼してきた。
しかし今回は、取引の継続自体が難しい、とのこと。
これは死活問題だ。
リネンとは、客室内にあるシーツ、枕カバー、タオル類、バスローブなどのこと。
言うまでもなく、ホテルにとってなくてはならないものだ。
毎日リネン業者が洗濯済みのものを運んできて、使用済みのものを持ち帰る。
ホテルでは、客室の清掃時に新しいものに交換する。
〝部屋をつくる″
業界外の人にとっては耳慣れない言葉だろうが、ホテルの基本だ。
スタッフが客室を清掃し、リネンを換え、アメニティをセットして〝売り部屋″にする。
これが、部屋をつくる、ということ。
リネン業者はそうやってホテルを支えてきた。
しかし最近、その仕組みが難しくなりつつある。
ホテル、リネン業界に何が起きているのか！？
１、急激な円安
この２年、円安が急激に加速し、1ドル＝１１０円くらいだったものが、
1ドル＝１５５円くらいまで円安が進んだ。
リネン資材のほとんどは海外で製造されているから円安の影響を受ける。
２、資材価格の高騰
リネン資材の原料は綿花だが、この綿花が今、高騰している。
その理由は、新興国や発展途上国の経済発展に伴う、需要増だ。
経済的に豊かになれば、下着や服の枚数が増える。
そうした世界的な流れで需要が増え、価格が上がっている。
３、原油価格の高騰
リネンを洗う洗濯機、乾燥機のエネルギーは石油燃料だ。
ご存知の通り、原油価格が上昇している。
原因は、コロナ後の消費に伴う需要増と、ロシアのウクライナ進行に対する経済制裁。
これにより、リネン資材の輸送費も高騰している。
ここまでは誰でも想像できるだろうし、それほど深刻ではない。
問題はここからだ。
４、高級ホテルの増加
ここ数年、日本では外資系の高級ホテルの開店ラッシュが続いた。
さらに最近、インバウンドを狙ったビジネスホテルも急増している。
これによってリネン需要は増し、リネン業者が不足している。
ラブホテルは、休憩と宿泊があり、安い単価で回転数を上げて利益を上がるが
高級ホテルは、宿泊だけの１回転で高単価。
だからリネン代にお金をかけられる上に、客室数も多い。
これにより、リネン業者は規模が大きく、単価の高い高級ホテルの仕事にシフトしている。
５、人材不足
リネンの運搬には人手がかかるが、このドライバーが不足している。
そのため、業者としては大型４ｔトラックで搬入したいが、
ラブホテルは表の大きな通りに面していなかったり、入口のゲートが障害になる物件が多い。
４ｔトラックが入れないホテルは、他のホテル群から離れ、配送ルート上にないホテルは
業者から敬遠されつつある。
さて、そんな状況の中、弊社のホテルは配送ルート上になく、道が狭くて４ｔが入れない。
業者としては取引を打ち切りたいが、これまでのつき合いから一方的にはできない。
こちらとしても、このままずっと、というわけにはいかないのは分かっている。
どうしたものか。。
今、苦肉の策に向かって動き出している。
それは、、。
次回、書くことにする。
※写真はイメージです
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