雨」八木重吉

雨の音が聞こえる
雨が降っていたのだ

あの音のようにそっと
世のために働いていよう

雨があがるように
静かに死んでいこう


窓をあけて雨を見てゐると
なんにも要らないから
こうしておだやかなきもちでゐたいとおもふ