なんと、羽生竜王、敗れました。

無冠の帝王になってしまいました。

哀しい日になりました。

100期を目の前にしての足踏み、

そう考えればなんということはないんですが

相当なショックはショックでしょう。

ちょうど、1年前、私にもショックな出来事がありました。

そう、手術後3か月後の検査、もうあとは回復を

待つばかりと思っていた期待の日、

なんと、肺への「転移」をあっさりと告げられたのでした。

一瞬、目の前が真っ白、えっ?どういうこと?

がんはなおっていない?

というか、これからいよいよ、癌とこの身体の

持ち主としての権力争い?

どちらが主導権を勝ち取るか?

負ければ、肉体としての『死』です。

生命はそんなにやわじゃない、とはわかっていても

告げられたことを理解して病院から帰る道すがら

限りない今更の絶望感が襲ってきたのを

覚えています。

あれから今日でジャスト1年、なんと早いことか!

ちゃんと生きているではないか?

体重は7㎏減り、目はますます見えなくなり、

体力は日に日に落ち続け、映画1本観に行くのも命懸けだけど

この俺は、ここに今もちゃんと生きている。

今月から一緒に住み始めた孫娘の不思議なほど

進歩著しい言葉の吸収力、驚くばかりです。

そんな表現、どこで覚えてくるの?とびっくり。

自分が萎んでいくのと、孫が膨らんでいくのと

ちょうどよいバランスかな?

今、「おやすみー」、と声をかけたら

「ぼくはもう限界だから、先に寝まーす」との返事。

そう、女の子なのに、自分のこと、僕、と呼ぶんです。

この子と一緒に暮らせる最晩年の日々、なんという幸運。

『僕は幸せだなー』とつくづく思う。