☆3月1日☆
白銀の通学路を歩くのも、卒業を迎えた今日で最後。
気持ちを込め、一歩一歩踏み締めながら
一人歩く私に、冷たい風が吹くと
まだらに染まった赤く短い髪がフワッとなびいた───
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
私「私、卒業式に髪、赤にしようと思うんだ…」
友達F「じゃあ、私は茶色にしようかな」
私「…え」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
早朝。
髪染めに反対している親の目を盗み、洗面所にて実行。
∑わぁ、何これ!赤過ぎる!!
予想以上の赤色に驚いて恐くなり、途中で辞め
まだらになったのが余計目立つ。
辺りを見渡し、誰にも気付かれない様に
恐る恐る校舎に入ると、急いで教室に駆け込んだ。
友達F「おはよう」
…な、えぇっ!?
そこには、いつもの黒髪の友達Fがいた。
何、この期に及んで
私を裏切るの!?
その場で固まる私に弁解する友達F。
…まぁ、今に始まった事ではないからいいけど^^;←
正装した担任が教室に入ると、HRで今日一連の流れを聞き
その後、金髪な後席男子を中心に
頭髪検査が始まったので
私は逃げるかの様に、ソッと教室を後にした。
司会「卒業生が入場します」
その声と共に、卒業式が行われる体育館の扉が開かれた。
卒業生は入場時、在校生席や父母席を
一列で通らないといけないから、恥ずかしかったけど
私は辺りを懸命に見渡し、ある人を探した。
…先生、斉藤先生
自分が座る席の前に立ち、担任の合図を待っていると
男子越しに見付けた斉藤先生の
髪型がいつもと違っていた───
∑何、イメチェン!?
見慣れてないせいか、正直似合ってないと思ったけど←
それでも、斉藤先生大好きだよ///
極限の緊張状態であると思われる担任が
次々と名前を読み上げた。
担任「秋月 楓」
私「…はい」
緊張した面持ちで、校長先生から
本当は受け取りたくなかった卒業証書を受け取ると
席へ戻る為、横を通過した生活科女子から聞こえた声。
生活科女子「…あれ、秋月さんの髪。赤くない!?」
やはり、まだらなこの髪は目立っていた。
『秋月 楓』の名に恥じない様に
色付き、紅葉し、巣立つ私を多くの人に
斉藤先生に見て欲しかった。
私は、ここにいるよ───
司会「卒業生が退場します」
入場と同じ様に一列に並び、体育館を出た途端に
ダラダラ列を乱し始め、教室に向かう階段を上がると
そこは、暖かい日差しを受けた誰一人もいない静かな廊下。
女子「高校生活最後なんだし、廊下走ろっ!」
突拍子もなく提案して、笑顔で走り始めた女子達。
今まで学校生活を送って、出来なかった事を全力でやる。
その発想は悪くないと思うけど
女子の意見に批判し賛同しない友達Fがやるわけな…
友達Fに声を掛けようとすると
友達Fは私を通り過ぎ、女子達を追い掛ける形で
走った!!!
私「…あ、ちょっ、待って><」
私も友達Fに続き、廊下を走った。
友達Fと女子が少しでも仲良くなったらいいな*^^*
漠然と思っていた私の願い。
女子と私達が初めて一つになった瞬間だった。
この暖かく心地良い日差しを、一緒に駆けたこの廊下を
私は一生忘れない。
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