教室に入ると、担任が最後のHRを開いた。


担任「…卒業、おめでとう」


目を潤ます担任に、男子が駆け寄っていた。




私は自席で帰り仕度をしながら、カメラのチェック。


近付いてきた友達Fにカメラを向け、試し撮影…


私「あぁ!今マフラーでカメラ隠した!!」


慌てる私に笑う友達Fは地元を離れ、専門学校への進学が決まっていた。


友達Kも地元から離れた専門学校へ。




私は友達と離れ、この地で一人になる───




写真、ちゃんと撮れたかな…


友達Kは8年間、友達Fは3年間。


いつも一緒にいてくれて


本当、ありがとね。








卒業式を見に来てくれた親と一緒に帰るので


車で待たせている手前


斉藤先生を写真に撮りたかったが


時間がなかった。




斉藤先生には彼女がいる。


告っても無駄。


結果は分かってる。


それに、迷惑は掛けたくないから…






生徒玄関。


ここから外に出れば、校門を潜ればもう戻って来れない。


…これでいいんだよね。




バイバイ、斉藤先生───









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…嫌だ。


こんな終わり方嫌だ。































一度は開けた下駄箱を再び閉めた。




もう、『後悔』はしたくないよっ…




その想いがドンドン強くなると、居ても立っても居られず


斉藤先生を探しに廊下に戻ろうと振り返った


その時だった。






生徒玄関に向かい廊下を歩く、一人の先生がいた。


間違えない、あの先生は


───斉藤先生




その瞬間


私の体は抑え切れない想いと共に


斉藤先生へ走り出していた。









先生…




先生っ……





先生、あのね。-image



斉藤先生、あのね。









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