ウルトラセブン | 監督ブログ  wecker

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「時空警察ヴェッカー」シリーズの原作・監督 畑澤和也の個人ブログです。
現在中国広東省で活動中

なぜか、いきなり「ウルトラセブン」が観たくなり、ブルーレイ発売前だというのに、DVDを引っ張り出し、見返した。


なぜか猛烈に観たくなったフクシン君の話(円盤が来た!)を皮切りに、ランダムに20本ほど観た。


僕はウルトラシリーズは「ウルトラマンタロウ」が好きと公言してきたし、世代的にいわゆる第2次怪獣ブーム(へんしんブーム)の子供で、「ウルトラマン」「ウルトラセブン」はお兄さん達のものだった。特に「セブン」はヲタクを自覚するようになってからも、ヒト世代上のヲタクエリートさんたち(最近ドラマ化もされた大阪芸術大学の方々とか)のものだった。


…という勝手な認識で(共有できる同世代の方もいますよね?)、名作の誉れ高すぎる「ウルトラセブン」を僕はずっと敬遠してきた。


「仮面天使ロゼッタ」でひし美ゆり子さんをキャスティングし、あまつさえ画面上で「共演」までしているのに(笑)。(僕はアンヌというよりあの頃のひし美さんが大好きで、地方のサイン会の手伝いなどまでしていた)


ヲタクの常識として「ノンマルトの使者」や「第四惑星の悪夢」やもちろん「狙われた街」なんかはチェツク(?)していたが、「うむ、なるほどこれは名作だ」と納得しつつ、モチロンやモットクレロンを愛し、擁護?してきた。


フクシン君の話、昔よく話題にも出たのだけど、実は観た事なかった。

(観たら想像とぜんぜん違ったが…実に面白かった)

他にも初見の話(観たけど忘れている)がけっこうあった。


特撮ファンとしては由々しき事態である。


で初めて(!)観た「ウルトラセブン」は…


面白い!なんて面白いんだ!


本気で「サンダーバード」や「スタートレック」に挑戦しようとしていたのも分かる〔最近の日本の作品は本気でハリウッドに挑戦する事を最初からあきらめている…ように思う)

古き良きSFスピリッツに満ちている。

CGを見慣れた〔見飽きた)眼には、一時代間違いなく世界一であった円谷特撮が新鮮で見応えたっぷり。

特に本物よりホンモノっぽいメカニック描写は圧巻だ。



アンヌが可愛い。髪が1話ごとにショートになったりロングになったりするのも可愛い。

存在自体がかわいやらしい(笑)

主人公と恋愛関係になる(実は直接そんな描写はない。後続作で「何かあったように」描かれ、既成事実化しただけ。ダンとアンヌの関係は(僕が一番好きなテーマである)人外のものとヒトの大きな愛なのだ)…だけではない大きな存在感がある。これは後に続くウルトラヒロインにはない(南夕子にすら。途中でいなくなるし)。ムネの存在感と共に(笑)。

何を今更、なんであるが。


ゲストの星人を演じる女優陣も、それぞれ個性的な美女、美少女揃い。中でもマゼラン星人マヤの儚さは今の眼で見て充分泣ける(泣いた)。


その昔、僕の界隈で(?)ウワサになっていた、ダンとソガがステディな関係(笑)だというのも、今そういう目で見ると頷ける。アンヌよりよっぽど仲がいい(ソガの片思いっぽいけど)

V3から来た男、クラタがカッコいい!最終回周辺のクラタとソガのダンを巡る戦い(そんなものはない!)も微笑ましい。


セブン自身もカッコいい。

後に客演したセブンとどこか違う、というか全然違う(造形も違うように見える)ホンモノのカッコよさ。なんというか、実在感がスゴい(これは等身大での活躍シーンが多いからともいえる)。


そして何よりウルトラセブン=モロボシダンがカッコいい!そして可愛い!

わりとクールで怖い印象が強かった(これは「レオ」のダン隊長や、いわゆる「平成セブン」のイメージのせい)ダンだが、本編では朴訥で素直、女の子に弱い(でれでれするのではなくよく騙される)、実にいい若者(笑)だ。セブンとの一体感も凄い。変身後、まったく感情移入が途切れない。


そして最終回「史上最大の侵略」

これで「ヒーローが登場する特撮番組は最後だと思って」(今見ると信じられない発言)最後の力を振り絞ったという大特撮。随所に冴え渡る演出。

泥にまみれ、のたうち回るセブン。そして瀕死の身体を奮い起こし、地球の平和の為ではなく、アマギという一個人を救うために最後の変身をするダン。

「史上最大の侵略」はちゃんと人間の手のみで阻止されているという構成も見事(実は最終回、セブンは番犬であるパンドンを倒し、アマギを救っただけ)


特集番組とかで何度も観た、ダンがアンヌに正体を明かすシーン

(決意して)「僕は人間じゃないんだ。м78星雲からやってきた、ウルトラセブンなんだよ!」〔とびきり優しく)「びっくりしただろ?」〔笑顔で)「ううん。ダンはダンに変わりないじゃない。たとえウルトラセブンでも」

…何度も観たシーンなのに、20本以上続けて観た後、最後に観ると胸が詰まる。

ダンが可愛い。


最後に死力を尽くして闘うセブンに「ダン!」と呼びかける仲間たち。

これも何度も観たシーンだが、「これが最後だ」と思えると自然に涙が出てくる。

画面は何度も倒され、転げ回るセブン。

「がんばれダン!」と声をかけたくなる。


「なぜ俺は泣いている?」と思うほど自然に涙が溢れて…


明けの明星が輝く空に飛び去るセブン…「モロボシダンの名を借りて…」というテーマと共に流れるダンの笑顔・笑顔・笑顔。


これは「死んだ友達」を想う演出だ。

これが泣かずにいられようか。


名作は、やはり名作でした。

そしてのちにえんえんと続く「平成ウルトラセブン」や好きだった「メビウス」に至るまで、完全に蛇足だと感じてしまいました。


今まで変な偏見を持って、こんなに面白いものを見過ごして来たんですね。


もし同じように「セブン」をスルーして来た方が居たら(いないか)ブルーレイも出るのでぜひまとめて見返してみてください。

まったくの未見の方(いるのか?)は50年近く前(!!!!)日本はこんなにスゴい〔S)作品(F)を作っていた事に、驚いてください。



超久しぶりの特撮ブログらしい特撮ブログでした!