構造を理解できれば…
構造を理解できれば、
攻める方法が見えてくるもの。
攻めるべき部分は、
負荷(抵抗)が掛かっている、ハブとナットの座面部分と、
ドライブシャフトとナットのネジ山部分。
ということになりますね!
では、どのような方法で負荷(抵抗)を軽減させて行くのか?
どこまで負荷(抵抗)を軽減させれば、ナットは回ってくれるのか?
それは、ナットを組付けた時のトルク値。
それから、経年劣化や使用環境による“錆加減”によって異なります。
とりあえず、ナットのネジ山部分の負荷はリューターで!
ハブとナットの座面部分の負荷は、
リューターとドリル刃で攻めて行くことにしました。
今回の作業で守りたいモノは、ドライブシャフト。
作業予定にはありませんが、
このタイミングでリビルト品に交換するにしても、
キズ付いてしまったドライブシャフトは受け付けて貰えません。
そうなると…
返却用のドライブシャフトを入手しなければなりません。
もちろん、現状のドライブシャフトを再使用するにしても、
ネジ山部やスプライン部が損傷してしまえば、
正しい組付けを行うことができなくなってしまいます。
逆に、今回破損しても大丈夫なモノは…
新品交換を行うナットとハブとハブベアリング。
ということになります。
と言うことで、
まずは、リューターでナットの周りを丸く削り込んで行きます。
それと同時に、ナットの座面を上側から削り込みます。
削り込むことでナットの強度が低下し、
負荷に耐え切れなくなれば、
ナットに亀裂が入ったり、
ナットが緩んでくれるはずです。
大きかったナットを削り、
ネジ山部分に関しては1mm以下の厚さになりました。
だけど、緩んではくれません。
座面の上面も削り、
かなり強度は落ちていると思いますが。。。
と言うことで、
座面部分にドリル刃で穴を開けました。
こうして穴を開け、ナットを貫通させることで、
ハブとナットの座面の接触面積を小さくし、
負荷(抵抗)を軽減させる作戦。
貫通させた穴にポンチの先端を入れて、
ハンマーで叩いてナットを緩めるという作戦です。
理論的には、接地面積が縮小しているわけですから、
ナットが緩まないという“緩まない抵抗”も軽減しているはず。
でも、無理でした。。。
さらに“緩まない抵抗”を落とすために、
トライブシャフトとナットの接地面、
つまりは、ネジ山をカットして行くことにします。
ナットのネジ山部分に刃を当て、
ドライブシャフトのネジ山を破損させないよう削り込んで行きます。
ナットのネジ山部分を削り込むことで、
ドライブシャフトとナットのネジ山の接触面を小さくしていきます。
削っては、ポンチで叩き、
削っては、ポンチで叩き、
ナットが緩むまで繰り返すしかありませんね。。。
結果、ナットが緩みました!
だけど・・・
結果的に、↓ここまで削ることになってしまいました。
はい??
って感じですよね(笑)
ちなみに、作業時間の方はと言いますと…
色々と試しながら作業を行いましたので約2日。
1日8時間労働ですので、約16時間。。。
はい??
って、感じですよね?
単純に、整備工場の作業工賃に換算すると…
20万円相当になります。
ちなみに破壊したナットは、数百円です。
正直、2日間もリューターで削り作業を行うのであれば、
こんな数百円のナットを削るよりも、
ポート研磨をしている方がよっぽどマシです。
だけど、そんな数百円のナットを削らなければ、
ドライブシャフトを外すことや、
ハブやハブベアリングの交換も出来ません。
もし、前回作業を行った時に正しい組付けを行っていたら?
もし、こんな数百円のナットを新品に交換していたら?
序に、錆びたドライブシャフトの錆を落としていたら??
こんな作業を行う必要も無かったのに。。。
そう思いませんか??
とりあえず、作業の要領は見えて来ました。
たぶん、残りの片側は半分位の時間で行けるような気がします。
しかし、こんなに手間の掛かる作業であれば…
ドライブシャフトごと抜き取り、
スライディングハンパーで、
ドライブシャフトごと抜き取った方が早いですね!
ただし、抜き取ったドライブシャフトを再使用するのであれば、
同じ手間と時間が掛かりますが、
オーバーホールを前提に中古のドライブシャフトを見つけて、
組み替えれば安上がりの様な気がしますが…
まぁ、ひと昔前であれば、
正直、この方法が1番安上がりでもありました。
しかし、今は時代が変わりました。。。
ですから、反対側も削り落として行くしか方法が無い。
FFカローラも、そんな時代になってしまいました。
だってさ、
20万円もあれば、中古車のレビンが買えた時代もありました。
作業を行う側も、作業を依頼する側も、
お互いに気分が悪くなる作業。
ホント、嫌な作業ですね。。。