2016年4月3日16:04キックオフ@西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場 天候:曇

京都 3ー2 山形


【京都メンバー】
GK菅野孝憲。DF右から石櫃洋祐、菅沼駿哉、高橋祐治、下畠翔吾。MF右から堀米勇輝、アンドレイ、佐藤健太郎、山瀬功治。FWダニエル・ロビーニョ、イ・ヨンジェ。
SUB:清水圭介、染谷悠太、本多勇喜、内田恭兵、國領一平、エスクデロ競飛王、有田光希
監督:石丸清隆

(選手交代)
69分、堀米→本多:本多は左サイドに入り、右から高橋、菅沼、下畠の3バックに。
76分、ダニエル・ロビーニョ→有田:ポジションそのまま。


【山形メンバー】
GK山岸範宏。DF右から宇佐美宏和、渡辺広大、栗山直樹。MF右から山田拓巳、アルセウ、松岡亮輔(82分:→ディエゴ・ローザ)、高木利弥(71分:→汰木康也)、シャドーに川西翔太(HT:→林陵平)、ディエゴ。FW大黒将志。
SUB:中村隼、田代真一、伊東俊、梅鉢貴秀
監督:石崎信弘


【審判団】
主審:藤田和也 副審:亀川哲弘、藤沢達也


【得点】*サイドは攻撃側から見て
2分、大黒(京都0-1山形):左サイドで堀米からボールを奪ったディエゴがスルーパス。抜け出した大黒のシュートは菅野がブロックするも、こぼれ球を拾った大黒が右足で押し込む。
38分、ダニエル・ロビーニョ(京都1-1山形):右サイドで石櫃が堀米にパス。堀米がヒールで落としたところはカットされるも、もう一度拾い直してエリア内に走りこむダニエル・ロビーニョにパス。角度のないところからダニエル・ロビーニョが右足を振り抜いて、山岸の股を抜いて決める。
45+2分、イ・ヨンジェ(京都2-1山形):右サイドでのスローインを受けたダニエル・ロビーニョがイ・ヨンジェに落とし、イ・ヨンジェのスルーパスにダニエル・ロビーニョが抜け出す。クロスにイ・ヨンジェが右足で合わせて決める。
48分、堀米(京都3-1山形):中盤での競り合いからダニエル・ロビーニョがヘディングで流したところを、左サイドでイ・ヨンジェが受け、クロス。ダニエル・ロビーニョがスルーし、受けた堀米がタイミングをずらした左足シュートを決める。
74分、林(京都3-2山形):左CK、汰木のクロスを栗山がヘディングシュート。菅野がセーブしたところを林が押し込む。


【警告】
京都:アンドレイ(33分)、本多(90分)
山形:渡辺(85分)、アルセウ(88分)



4連続ドローで迎えた前節、札幌に惨敗した京都。
99年以来の開幕5試合勝ちなしということで、石丸監督の進退問題にも繋がりかねない状況となった今節は、ホームで山形との対戦でした。
スタメンは4人変わりました。堀米とダニエル・ロビーニョが今季初のスタメンで、CBに高橋、左SBに下畠が入りましたね。
対する山形はJ1から降格してきたチームながら、こちらも京都同様に苦しんでいて、ここまで2分3敗で最下位となっています。
石川竜也と佐藤優平が前々節、荒堀謙次が前節に負傷するなど、主力選手の離脱にも悩まされているようですね。今節は高木利弥が左サイドに入りました。
京都から期限付き移籍中ながらも大黒がスタメン。加入日も踏まえると、契約関連でいろいろ揉めたんだろうなぁというのが窺えます(笑)



前節と同じ轍は踏まず前半のうちに逆転


前節の札幌戦 と同様、開始早々に先制を許しました。
中盤で奪われてすぐさま裏にピンポイントで出された形で、欲を言えば高橋がもう少しラインを上げておきたかったところですけど、ちょっと対応は難しかったかもしれません。大黒のシュートも難易度の高いシュートでしたし、あれを決めるのはさすがと言うところでしょうか。
ただ京都としては、前節のショックを振り払いたい中でいきなり許した先制点でしたので、チームに及ぼす悪影響があってもおかしくない展開でした。


しかし、そうならなかったって言うのは安心したところですね。

山形もずっと勝ててないだけに、早々の先制点で後ろに意識が行ったところもあるでしょうか。後方を厚めにして、慎重に戦おうとしていました。
京都もまだまだ消極的なプレー選択が出るところはありましたけど、山形のサイドのスペースを早めに使おうという意識は統一されていました。

この辺りはこれまでの試合でも意識されていたことですが、ツートップの裏抜けの頻度や、サイドハーフが絡む回数が少なくて、なかなかハマらなかったところ。後ろからも出せなかったし。
今節はツートップや堀米が裏に抜ける意識を強く持っていましたし、サイドを変えるプレーも含めて、サイドのスペースを意識した攻撃をしていきます。後方から出すタイミングも合ってきていましたしね。
山形が慎重になっている割に、中途半端な形で前に出てスペースを与えてくれたことも大きかったですけど。
下畠の左サイドはやっぱり攻撃面で詰まりやすいのですが、右サイドの堀米と石櫃を押し上げるようにして、山瀬と下畠がよくバランスを見ていました。
加えて、リードされていたこともあって、アンドレイが積極的に前に出て厚みを付けていましたね。


守備面ではポジション修正の話をここ数試合してましたけど、高橋と菅沼で組むCBコンビは上げるべき時はしっかり上げるように意識を強めている様子。
また、高さに自信のある高橋がしっかりロングボールを跳ね返しに出ていける(で、実際跳ね返す)こともプラスに作用しました。

ラッキーな形でこぼれたところもありましたけど、ツートップの強さ・速さが発揮されて3ゴールを奪って逆転できたのも、しっかりとサイドのスペースを狙いながら積極的にプレーできたことによるものでしょう。



弱気を拭い去る勝利となるか


後半立ち上がりに追加点を挙げて、3-1にできたところまでは良かったですが、その後の戦い方にはヒヤヒヤしましたね。
これまで勝ててないチームということで、後半すぐに2点差になって後方に意識が向いてしまったところはあったと思います。前半早々に先制した山形もそうでしたよね。
DFラインの押し上げも遅く、全体として引き気味になりました。コンパクトに保とうという意識はあっても、後ろに重心がかかっていました。
ツートップの動きも落ちてきて、相手CBにもボランチにも当たりきれないようになったこともあって、簡単にサイドへの配球を許すことに。
サイドで優位に立った山形は3バックの一角である宇佐美が前目にポジションを取り、山田と高木の両ワイドも高く張り出して京都を押し込んでいきます。


前線の守備を活性化する策もあったと思うのですが、石丸監督はここで本多を投入して3バックへの変更を選択。後半から3-5-2の形となっていた山形の布陣と噛み合う形にして、サイドのケアをしようというのが狙いだったでしょう。
しかし、これは上手く行きませんでしたね。

岡山戦でもそうでした けど、3バックでのサイド守備の約束事が徹底されていないようで、結局ズルズル引いてしまう状況は解消されず。
それどころか、宇佐美が高い位置を取ってきているために、京都から見て左サイドでは本多が山田と宇佐美を気にしないといけないことに。
この時、京都の中盤は3枚になっていて、ピッチの横幅をカバーしきれなくもなっていたので、簡単にサイドの選手に入れられることになってしまいました。必死で山瀬と佐藤がサイドのケアに奔走してくれていて、傷を深めないように頑張ってくれましたが、外からの助けも必要だったように思います。
すぐにセットプレーで1点を返されたこともあって、山形にも勢いがついてしまいましたが、どうにか守り切って試合を終えることができました。


試合を苦しくした原因の一つに3バックへの転換があると思うのですが、石丸監督は3バックと4バックの併用にかなりこだわりがあるようですね。
もちろんこれができるとチームの幅が広がるし、相手も対処が難しくなるというメリットがあります。
しかし当たり前ですが、どちらの場合もしっかり攻守のバランスを取ることができるというのが前提条件。
ちょっと今の段階ではその域には達していないので、苦しい感じが強まりましたね。

それでも採用したのは、布陣を噛み合わせてマッチアップをハッキリさせることで一対一の守備の構図を明確にすると同時に、後方の枚数を増やしてなんとか凌ぎ切りたいという消極的な側面が大きいように思います。
実際にはマッチアップをハッキリさせても、対応がしっかりできなければ動きの中でずらされていくんですが。
また、後方の枚数を増やしても、攻めに出られなくなって、自陣に貼り付けられるリスクも負うことになるので、望んだ成果が常に得られるわけではなく。
それでも結果が出ていない中ではすがりたくなる策ではあります。
石丸監督も追い込まれていて、どうにかしないとという中で変化を付けようとしたというところもあったかもしれません。

ようやく1勝を手にしたことによって、采配面でももっと強気に、状況に即した形にできるとまた違った形になるかもしれませんね。
チームとしての戦いぶりにおいても、弱気や消極性が出てしまう部分があったので、そういったものを振り払って、よりアグレッシブに戦えるキッカケにこの勝利がなってくれればと思います。



―2016シーズン通算記録―
1勝4分1敗 勝ち点7 8得点 9失点
今節終了時点での順位:12位

【ゴール】
2点:イ・ヨンジェ
1点:有田、アンドレイ、石櫃、下畠、ダニエル・ロビーニョ、堀米

【アシスト】
1アシスト:有田、堀米、ダニエル・ロビーニョ、イ・ヨンジェ

【累積警告】
3枚:佐藤、本多
2枚:イ・ヨンジェ
1枚:菅沼、エスクデロ、有田、アンドレイ

*菅沼は一発退場による出場停止が一度あり