2016年7月24日19:03キックオフ@維新百年記念公園陸上競技場 天候:曇

山口 1ー1 京都  


【京都メンバー】
GK菅野孝憲。DF右から下畠翔吾、菅沼駿哉、染谷悠太、本多勇喜。MF右から堀米勇輝、佐藤健太郎、アンドレイ、國領一平。FWエスクデロ競飛王、ダニエル・ロビーニョ。
SUB:清水圭介、高橋祐治、内田恭兵、和田篤紀、田村亮介、有田光希、矢島卓郎。
監督:石丸清隆

(選手交代)
HT、國領→内田:ポジションそのまま。
66分、ダニエル・ロビーニョ→有田:ポジションそのまま。
81分、堀米→矢島:矢島と有田がシャドー気味で、エスクデロを中心とした3トップ。後方は下畠を一列上げた3バックに変化。


【山口メンバー】
GK一森純。DF右から小池龍太、北谷史孝、宮城雅史、廣木雄磨。MF右から三幸秀稔、庄司悦大、幸野志有人(71分:→加藤大樹)、星雄次。FW島屋八徳(86分:→安藤由翔)、福満隆貴(76分:→岡本英也)。
SUB:村上昌謙、黒木恭平、奥山政幸、平林輝良寛
監督:上野展裕


【審判団】
主審:飯田淳平 副審:田中利幸、村上孝治


【得点】*サイドは攻撃側から見て
63分、小池(山口1−0京都):自陣からのカウンター。島屋が持ち上がって、左を走る福満へ。福満から右から走り込んできた小池へスルーパスが渡り、右足のダイレクトシュートを決める。
68分、有田(山口1−1京都):左サイドで佐藤からのパスを受けたエスクデロがキープして、浮き球のスルーパス。これに有田が飛び出して右足ダイレクトシュートを決める。


【警告】
山口:なし
京都:本多(24分)、アンドレイ(30分)



中3日で続く3連戦の最後はアウェーでの山口戦となりました。
前節、讃岐に勝利して後半戦初勝利となった京都。
この連戦ではこれまでよりもメンバーの入れ替えをしながら戦っていますが、今節は石櫃が出場停止ということもあって、また入れ替えがありました。
右SBには下畠が入り、CBは染谷と菅沼。アンドレイが戻って、國領が右サイドに移りました。FWには有田に代わってダニエル・ロビーニョがスタメンに復帰。
対する山口は京都と勝ち点3差で8位。印象的なパスサッカーで、J3からの昇格組ながら後半戦に入ってもまだ昇格を睨める位置につけています。
前回対戦時 は京都が山口の弱みであるセットプレーで序盤から着実に点を重ね、3−0の快勝。
今節もセットプレーを含めたパワー面での優位性をどれだけ使えるかが試合のポイントになることが予想されました。
山口はチーム内得点王の中山仁斗が負傷で離脱中なのに加え、前節にはエースの岸田和人も負傷。そのため、今節は本来は2列目の選手である福満と島屋をFWの位置に置いた「0トップ」とも言える布陣で来ました。



オープンな真っ向勝負で撃ち合いドロー


試合は互いに中盤で激しくボールを奪い合い、奪った側が縦に速く攻め込む展開。
この形は山口が得意とするものであり、京都としては真っ向勝負を挑んだ印象がありますね。

前回対戦時はセットプレーで開始早々にリードを得たこともあって、京都はDFとMFのコンパクトなブロックを作り、入ってきた山口攻撃陣を迎え撃つ形を取りました。
今節ももしかしたら、早めにリードを奪えていればそういう守備に重点を置いた戦い方にシフトしたかもしれません。
一方で、今後の戦いを見据えて、山口の得意とする形でも京都としてはやれる、あるいはやりたいという石丸監督の思いもあるのかなという気もしています。


中3日で続いている連戦中なのでどうなるかと思いましたが、想定していた以上に両チームともよく走っていたと思います。
ただ、攻撃に移った時には山口の方がよく洗練されていて、スペースを突くパスとそこへ走り込む選手、そして後方からサポートに入る選手の位置取りが上手くバランスされた攻撃を京都は浴びることに。
特に右SBの小池は長い距離を何度も走って京都DFの裏を突いてきていて、京都としてはこのサイドで劣勢に立ってしまいました。國領の前半での交代にも繋がっていますね。
守備陣は結構しんどかったと思います。それでも、染谷・菅沼を中心にハイラインを保とうと頑張ってくれたと思います。

攻撃面では、素早い山口のプレスの前にミスも多くなってしまいましたが、やはりパワー面では京都に分があり、エスクデロのキープや堀米の突破を軸に攻撃を仕掛けます。
相手のSBが前に張ってきた裏をダニエル・ロビーニョが狙う形も効果的でした。
前回対戦時と同様、セットプレーでは完全に優位に立っていて、惜しいシュートも何本かあったので、獲ってしまいたかったところでしたが・・・。
前回と違ったのは、パワー不足を感じずにはいられなかった山口の両CBがよく体を張っていたことで、京都の縦パスを潰されてしまうことが多くなってしまったこともありましたね。


後半にはお互い中盤でのプレスが少し弱まり、カウンターを浴びせ合う形に。
その流れで先制を許しました。京都が良い攻撃を仕掛けた後の山口のカウンターで、この場面でも自陣から一気に駆け上がってきた小池にやられましたね。
しかしすぐさま有田のゴールで同点に。有田としては久しぶりのゴール。(彼だけではありませんが)どこか乗り切れていない状態でしたので、良いキッカケになってくれると良いですね。


その後は京都が押し込む展開になり、決定機も立て続けに訪れましたが、決められず。
さらに前に圧力を掛けようというところで、石丸監督は矢島を投入して3−4−3への転換を行います。
しかし、これは裏目に。

石丸監督の意図としては、中盤の枚数を変えずに、引き続き山口の攻撃の芽を摘みつつ、フィジカル能力の高い3トップで押し込んでいこうという狙いだったのでしょう。
ただ実際には、攻撃に転じた時の山口の中央への飛び出しを警戒するために3バックが中央に寄り、両サイドが引く形が多くなってしまいました。
4バックでも後方で距離を近くすることがベースにあるので、なかなかその癖は変え難いところだったでしょうか。
そうなると中盤が空いてしまうことになるので、山口としてはボールが運びやすくなるし、京都としては奪っても前に運びにくくなります。
佐藤もエスクデロも連戦の影響で動きが鈍くなってしまっていましたし、アンドレイもミスが多くてちょっと酷な状況となってしまいました。

シーズン序盤でもありましたが、石丸監督は3バックへの変換にこだわりがあるようで、練度がそれほどでなくても期待値を高めに持っている様子があります。
前節も後半から3バックにして、結果としては勝利に繋がったことによって、今節もやってみようとなったのでしょう。ただ、前節もそれほどハマっていたわけではないように思うのですが・・・。
また、攻撃面の構築に時間が掛かる印象もあるので、点を獲りに行くシステムに昇華できるかどうか。

堀米に無理をさせられないことや、矢島の高い身体能力(コンディションをもっと上げたいというのもあるかも。これもある種の「期待値」の話です)をチームに組み込みたいという狙いもあったでしょうか。
矢島が目立ったプレーを見せられなかったこともありますし、ここ最近終盤にやっている3トップがあまり機能していないため、単純に形を変えずに選手を替える選択肢は取れないものかとも感じます。
・・・となると、サイドハーフが不足しているという開幕前からの話がここでも出てきてしまうのですけど。
ただ、その位置で使える選手を増やしておくことも重要になってくるでしょう。


「真っ向勝負」の話でもそうですけど、シーズン終盤を睨んで、いろいろなバリエーションを付けようとしている節も感じるので、どれが良くてどれが悪いというものでもありません。
互いに良いプレーが多かった試合だったからこそ、モノにしておきたいゲームではありました。そのためのトライでしたが、まだ実効的にやれるほどの状態ではない、という少しばかりの残念さもあった結末でしたね。石丸監督の判断も含めて。
ただこういったトライが、シーズンの終わりまでにしっかり実ってくれると、かなり面白いことになるので期待したいですね。
それに加えて、現状の枠組みでもできるトライも重ねる必要があるでしょうか。



―2016シーズン通算記録―
11勝9分5敗 勝ち点42
32得点 23失点
今節終了時点での順位:5位

【ゴール】
5点:堀米
4点:イ・ヨンジェ、有田
3点:アンドレイ、山瀬、ダニエル・ロビーニョ、エスクデロ
2点:石櫃
1点:下畠、本多、沼、岩沼、内田

【アシスト】
8アシスト:エスクデロ
6アシスト:堀米
3アシスト:ダニエル・ロビーニョ
2アシスト:イ・ヨンジェ、アンドレイ
1アシスト:有田、佐藤

【累積警告】
4枚:アンドレイ
3枚:佐藤
2枚:イ・ヨンジェ、エスクデロ、下畠、ダニエル・ロビーニョ、有田、本多
1枚:菅野、堀米、染谷

*次節、アンドレイは出場停止
*佐藤、本多、菅沼、石櫃は累積警告4枚による出場停止が一度あり
*菅沼は一発退場による出場停止が一度あり