2016年7月31日18:05キックオフ@京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場 天候:晴

京都 3ー3 C大阪  


【京都メンバー】
GK菅野孝憲。DF右から石櫃洋祐、菅沼駿哉、下畠翔吾、本多勇喜。MF右から堀米勇輝、吉野恭平、佐藤健太郎、山瀬功治。FWエスクデロ競飛王、イ・ヨンジェ。
SUB:清水圭介、染谷悠太、内田恭兵、國領一平、ダニエル・ロビーニョ、有田光希、キロス。
監督:石丸清隆

(選手交代)
78分、イ・ヨンジェ→有田:ポジションそのまま。
85分、山瀬→内田:ポジションそのまま。
96分、堀米→ダニエル・ロビーニョ:ポジションそのまま。


【C大阪メンバー】
GKキム・ジンヒョン。DF右から茂庭照幸、山村和也、山下達也。MF右から松田陸、山口蛍、ソウザ、関口訓充(74分:→酒本憲幸)。FW右から清原翔平(61分:→玉田圭司)、リカルド・サントス(70分:→ベサルト・アブドゥラヒミ)、杉本健勇。
SUB:丹野研太、庄司朋乃也、木本恭生、澤上竜二
監督:大熊清


【審判団】
主審:柿沼亨 副審:唐紙学志、西橋勲


【得点】*サイドは攻撃側から見て
63分、菅沼(京都1−0C大阪):右CK、堀米のクロスを中央で菅沼が頭で合わせて決める。
65分、エスクデロ(京都2−0C大阪):菅沼のクリアを茂庭と競り合ってエスクデロがマイボールにし、飛び出していたキム・ジンヒョンの頭越しに右足シュートを決める。
67分、山瀬(京都3−0C大阪):左サイドでのスローインをイ・ヨンジェが落とし、受けた山瀬から前方のエスクデロへ。そこからパスを受けたイ・ヨンジェが左サイドを抜け出す。クロスをフリーで受けた堀米がワントラップでキム・ジンヒョンをかわしたところで潰されるも、こぼれ球を拾った山瀬が右足で流し込む。
75分、山下(京都3−1C大阪):右CK、玉田のクロスが中央でDFに当ってファーサイドに流れたところを山下が頭で押し込む。
76分、杉本(京都3−2C大阪):ゴールキックを受けた山口から右サイドの酒本へパス。そこから中央へのパスを受けた杉本がDFをかわして中に切り込み、左足ミドルを突き刺す。
94分、杉本(京都3−3C大阪):山口からのロングボールを山村が頭で落とし、右サイドで受けた酒本がクロス。中央で杉本が頭で合わせて決める。


【警告】
京都:菅沼(15分)、エスクデロ(96分)
C大阪:酒本(82分)



前節は山口と引き分け、思うように勝ち点を伸ばせない京都は今節、ホームに3位のC大阪を迎えました。
前回対戦 では、全体をコンパクトに保った守備ブロックを築いてしっかりと守り、CKから2点を奪って勝利しています。この時も直前の試合までスッキリしない戦いが続いていましたね。そのためか、圧倒的な戦力を有する相手に割り切った守備を貫徹しやすかったことが結果に結びついた試合でした。
このC大阪戦の勝利から9戦負けなし、しかもそのうち7勝と波に乗ったわけですし、今節ももう一度そういった勢いを付けたい試合になりました。
各選手からも気合の入ったコメントが出ていましたしね。
今節はアンドレイが出場停止ということで、広島から期限付き移籍で加入したばかりの吉野がスタメンに。また、イ・ヨンジェと山瀬も負傷明けで先発起用されました。
対するC大阪は、3位につけているもののどこか消化不良な戦いを続けているところ。町田、讃岐に連敗していて、しかも今節は丸橋祐介と田中裕介が出場停止となった上、藤本康太が体調不良とのことで、DFラインの見直しを迫られることに。
どう出てくるかと思っていましたが、山村を中央に据えた3バックで臨んできましたね。今季初めてとのことです。関口と松田が両ワイドを務めました。



『ジェットコースターゲーム』の裏に潜む今後に向けた継続課題


試合は全く予想外の、まさにジェットコースターのような振り幅の試合となってしまいました。
押し込まれていた展開から、4分間で3ゴールを奪って一気にリード。かと思えば立て続けに2点を失い、アディショナルタイム7分の衝撃の中で痛恨の同点弾を浴びてドローゲーム。
エンターテイメント性は高かったかもしれませんが、その実お互いに不安定さや幼さを露呈した試合でもありました。


セレッソは3バックがサイドに開いて、関口と松田の両ワイドが高い位置を取ります。
加えて、清原と杉本の2人がサイドから中に入ったり、中盤に引いたりといった動きをして、京都のSB、CB、ボランチの間で受ける動きを狙ってきました。

対する京都としては、普段通りDFとMFの8人が2ラインを作って、縦横に距離を縮めた陣形を作り、押し上げながらボール保持者にプレスを掛けていきたいところ。
しかし、例えば京都の左サイド側に開いた茂庭に山瀬が行こうとすると、清原と松田の2人に対して本多が見ないといけなくなります。
それではしんどいので、佐藤やイ・ヨンジェなんかが助けに行こうとすると次はボランチを使われる。セレッソはCBや山口からかなり良いロングボールも出るので、次は逆サイドに振られてしまう・・・といった形で、前半は相手の攻撃を捕まえるのにかなり苦労しました。
リカルド・サントスが明らかに下畠を狙っていて、菅沼がそのカバーもする必要が出てきたのもあって、だいぶ振り回されやすくなってしまいました。
今季は1トップ2シャドーに両ワイドを絡めてくる攻撃に対して苦労することが多くなっていて、たいていの場合、今節と同じような振り回され方をしています。
石丸監督が『苦手意識』についてもコメントしていましたが、シーズン後半戦に向けて整理していきたいところになってくるでしょうね。
実際のところ、相手のワントップを一対一で潰しきれるかどうかや、相手ボランチに対してこちらのツートップが寄せられるか(できれば高い位置で)といったあたりがポイントになるでしょう。


一方のセレッソとしては、後ろに3人のDFを残している安心感によって、松田と関口は積極的に行けるし、両サイドに張っている選手が必ずいるので、中央も活きると。
なんとなく中央に密集しがちだった攻撃がサイドへの「逃げ道」を残しておくことによって、ハッキリした感じがあったように思えます。
窮余の策だったと思いますが、案外上手く行った手応えが残ったかもしれませんね。
守備時にはまずは5バックがしっかり引いてスペースを消すようにしていましたが、これも京都としては誤算だったかもしれません。
スペースを消されてしまうと京都は手立てが少なく、堀米とエスクデロのキープから隙を窺うくらい。
カウンターに活路を見出したかったですが、前半は繋ぎのミスも多く、セレッソの攻勢に拍車を掛けてしまいました。
実際のところ、セレッソの5バックも急造で、特に杉本が守備時に前に残るのか、中盤の左に入るのかあやふやなところもありました。そこを上手く石櫃で突きたいところはあったでしょうか。
後半立ち上がりにはそういうシーンもありましたが、引いた相手を剥がしていくような攻撃も創っていきたいところ。
連勝中なんかはサイドの連携を使える時もあったように思うのですが・・・。
堀米を右サイドに置くようになってから、エスクデロと堀米の中央突破が軸になってきているようにも思います。サイドでの裏抜けを得意とするイ・ヨンジェが離脱していたのも大きかったでしょうか。
FWがサイドの裏を突く動きを増やしたり、前線で収めたりできると、上で書いていた守備の問題点も解決することに繋がるので、相乗的な効果を狙いたいものです。


攻守に渡って上手くやれていなかった中でも、焦れずに先制点に繋げられたことは良かったと思います。相手の混乱に乗じて、さらに立て続けに2点を奪ったことも。
その後は、予想外の展開に舞い上がってしまった感じでしょうか。
相手がスペースを空けてくれる分、変に前線で余裕が生まれてしまったため、知らず知らず前にポジションを取ってしまったり、守備で厳しく行くべきところが行けなかったり。
石丸監督の采配としても、堀米が足を攣ってしまった時にどう動くのかハッキリできませんでしたね。
ダニエル・ロビーニョあるいは國領を入れて単純にサイドハーフを動ける選手にする、染谷を入れて3バックにする、あるいは下畠を右に出して石櫃を前に出すという選択肢もあったでしょうか。
どれも一長一短がある中で、決断しきれなかったか。
アディショナルタイムに染谷を入れようとしたところで本多が傷んだこともタイミングが悪かったですね。。。しかもそこで同点弾を奪われてしまいましたし。
攻め切るオプションに乏しいことが問題になることがこれまで多かったですが、締め切るオプションも不足しているということでしょうか。


後半の怒涛の動きがあまりに印象が強いのですが、シーズンを考えると、前半に攻守に渡って思うようにやれなかったことが重くのしかかります。
もちろんC大阪は強力な戦力を誇るのですが、不安定な戦いを続けているチームでもあります。
本気で自動昇格を見据える上では、チーム戦術の完成度において負けるわけにはいかないでしょう。
しかし実際はぶっつけの布陣を引いた相手にかなり苦しめられました。事前の対策が難しかったとはいえ。

前節も山口と真っ向勝負を挑んで 、分の悪い戦いをしてしまいました。
相手に合わせるばかりではなく、強い相手との対戦でもより主導権を握るためにチームとしてバージョンアップしていきたいというところがあると思うのですが、まだまだ道のりが長そうです。
一方で負傷者も戻ってきていますし、構築してきた守備をベースにしながらより状態を上げていく布石にはなっているでしょう。
攻守においてできていること、できていないことを整理し、完成度を上げられるように。
全体の層を厚くすることももちろん。
ここ数試合のもがきを繋げて、終盤戦に勢いを付けられるように。



―2016シーズン通算記録―
11勝10分5敗 勝ち点43
35得点 26失点
今節終了時点での順位:6位

【ゴール】
5点:堀米
4点:イ・ヨンジェ、有田、エスクデロ、山瀬
3点:アンドレイ、ダニエル・ロビーニョ
2点:石櫃
1点:下畠、本多、沼、岩沼、内田、菅沼

【アシスト】
8アシスト:エスクデロ
7アシスト:堀米
3アシスト:ダニエル・ロビーニョ
2アシスト:イ・ヨンジェ、アンドレイ
1アシスト:有田、佐藤、菅沼

【累積警告】
3枚:佐藤、エスクデロ
2枚:イ・ヨンジェ、下畠、ダニエル・ロビーニョ、有田、本多
1枚:菅野、堀米、染谷、菅沼

*佐藤、本多、菅沼、石櫃、アンドレイは累積警告4枚による出場停止が一度あり
*菅沼は一発退場による出場停止が一度あり