2016年9月25日17:04キックオフ@京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場 天候:曇

京都 0ー0 北九州   


【京都メンバー】
GK菅野孝憲。DF右から下畠翔吾、菅沼駿哉、染谷悠太、本多勇喜。MF右から山瀬功治、佐藤健太郎、アンドレイ、堀米勇輝。FWエスクデロ競飛王、有田光希。
SUB:清水圭介、内田恭兵、吉野恭平、岩沼俊介、ダニエル・ロビーニョ、イ・ヨンジェ、キロス。
監督:石丸清隆

(選手交代)
67分、有田→イ・ヨンジェ:ポジションそのまま。
78分、山瀬→キロス:キロスがFWに入り、エスクデロが中盤の右へ。
87分、堀米→内田:内田が中盤の左サイドに入る3バックに。エスクデロがトップ下へ。


【北九州メンバー】
GK阿部伸行。DF右から星原健太、西嶋弘之、福田俊介、川島大地。MF右から小手川宏基、風間宏希、新井純平、井上翔太(74分:→内藤洋平)、トップ下に本山雅志(66分:→ロドリゴ)。FW小松塁(78分:→原一樹)。
SUB:鈴木彩貴、福森健太、刀根亮輔、加藤弘堅。
監督:柱谷幸一


【審判団】
主審:清水修平 副審:大西保、田島宏則


【得点】*サイドは攻撃側から見て
なし

【警告】
京都:山瀬(64分)
北九州:なし



天皇杯による中断明けから、2戦続けて0−2での敗戦となった京都。
リーグ戦に限って言えば、ここ5試合で1得点となっており、終盤戦に向けて気掛かりなところ。
天皇杯もその改善に向けた取り組みがなされていたわけですが、今のところ実っていません。
久々にホームで戦う今節は、下畠が負傷から戻ってスタメン。また、有田がFWに入りました。ベンチにはイ・ヨンジェが負傷明けで久しぶりに戻っています。
対する相手は北九州。前節終了時点で21位になっており、J2残留に向けてシビアな戦いが続いています。北九州も京都同様2連敗の後での今節ですね。
なお、キックオフ時間の関係で、7位の横浜FCが敗戦したことがキックオフ前に、22位の金沢が勝利したことがハーフタイムに伝えられていました。



「決定力不足」に潜む慢性課題


結果から言えば、スコアレスドローでした。
全体的に京都がボールを保持し、北九州の守備をこじ開けようとしましたが、決定的な場面はほとんど創れずに終わってしまいました。セットプレーからチャンスもあったことはあったのですが・・・。
ちょっと消化不良感の強いゲームだったといえるでしょうか。
実際のところ、こういう試合が今季はかなり目立ちますしね。


今節の話をすると、久しぶりに堀米と山瀬のサイドを入れ替えました。
つまり、右利きの山瀬が右サイドになり、左利きの堀米が左サイド。
これまではどうしても中に入っていきがちになっていて、引いてくるエスクデロや上がってくるアンドレイなんかとポジションを消し合うことが多くなっていました。
逆足の選手がサイドに入ることによって、カットインからのシュートであったり、コンビネーションから中央を崩したりというのを期待していたと思いますが、デメリットの方が目立っていた印象ですね。
一方で、今節のような形で戦っていた5月から6月頃というのは、それなりに結果も出ていた頃ですし、攻撃面でもそれほどの不具合はきたしていなかったので、そこへ立ち返るというのは良かったと思います。前節のレビューでもちょろっとそういうことを書きましたね。


効果としては、「片鱗は出た」という程度でしょうか。
攻撃時に求められるのは、サイドを広く使って相手DFの間を広げることにあります。
右利きの選手が右サイド、左利きの選手が左サイドにいると、外へボールを持ちやすいので、そういう効果が得られやすいということですけど。
これに関しては、まだ中へ入っていく癖が抜け切らないのもあるでしょうし、北九州がかなり引いたことで、サイドを広く使う役割をサイドバックに任せたところもあるでしょう。
ただし、狙いとしてサイドを深くえぐってクロスというのがほとんど見られないのは気になります。

一方で、ポジションチェンジが少ないので、守備に回った時にバランスが崩れにくいことも狙いとしてあります。
これに関しては、前節守備時に前がかりになりすぎて失敗したことも頭にあったでしょうけれど、しっかり整えられていました。
何度かこちらの左サイドを破られたシーンはありましたが、総じて後方のバランスは保たれていました。久々復帰の下畠も、前節悔いが残るプレーとなった染谷も良い出来でしたね。
守備のバランスまで崩してしまうと元も子もないので、結果はどうあれ無失点で凌いだことについてはホッとしました。


で、懸案の攻撃面ですけど・・・。

中盤のサイドを入れ替えただけでは一気に解決はさすがに難しいですね。
横幅を取って、相手の間を広げ、そこで受ける動きを増やしたいですけど、回数は少なめ。
ミドルシュートに繋げられる場面は多くなりましたし、可能性を感じるシュートも多かったですが、相手を崩し切るまでには至らず。
チーム内の優先事項として、エスクデロのキープ力に頼っているところもありますけど、そこで停滞しているのもあって。
エスクデロの調子が良ければ気にはならないかもしれませんが、ここ最近のようにボールタッチが不安定だと、タメている分後方のバランスも崩れやすいですし、球離れが遅いと周囲も止まりがちになりやすい。
元々それほどパスが上手いという選手でもないですし。

もちろんエスクデロのキープ力や突破力は大きな武器なのですけど、それに頼りすぎている現状をなかなか打破できていないことに今の厳しさがあります。
必然的に調子が悪くともエスクデロを外せない状況になっていて、さらにそれが混乱を生んでいるところもあります。守備面と今節のキロス投入後ですね。
まず守備面ですけど、ほぼ守備タスクを免除されている状態になっています。これは90分体力を持続させるためというところが大きいかなと思います。しかし、これによってチームとして前線の守備が機能しづらくなっていて、奪いどころが後ろになっていくことがずっと起こっています。そうなると攻撃面でも難しくなるんですよね。

また、キロス投入後にはエスクデロが右サイドハーフに移りましたが、こうなると余計に守備はかかりにくいし、中に入っていく動きが多くなって攻撃の幅も取れないしで。
キロスがいることを考えると、エスクデロがゴール前に入っていき、サイドバックも上げていこうというなら分かりますが・・・。
内田を入れて3バックにしたのは役割をハッキリさせるためでしょうけれど、これもハマらず。
それどころかエスクデロが低い位置からクロスを上げ、前にはイ・ヨンジェとキロスしかいないという場面が多発。
いくらキロスの高さが武器とはいえ、2人でどうこうしろというのは厳しく。キロスに落とさせるのか、直接ヘディングシュートを狙わせるのかといったこともあまり整理できていない印象で、


今季は中盤の攻撃的な選手が少ないので、選手交代でも変化をつけにくい状況になっているのはこれまでにも何度も触れているのですが、その中でどうにか解決を図っている現状ながらなかなか上手くいきません。
天皇杯での使われ方からキーマンになりそうかなと思っていた田村も負傷離脱してしまいましたし・・・。

これで中断明けはすべて無得点ですし、何かしら手は打ちたい・・・と言いたいのですが、実際策は限られています。
現状を考えると、エスクデロの役割を整理することがいちばん影響が大きそうですが、チームの攻撃面での根幹を揺るがすかもしれません。
石丸監督は、攻撃面はかなり選手任せにしているように感じるので、実際は影響もそんなにないかもしれませんけど。

疲れも溜まっているようですし、エスクデロをベンチスタートとして序盤は前線の守備もガツガツ行かせる、というのが今のところ良さそうかなとは思っていますが・・・。
昨季の大黒将志と同じ役割ですね。とか書くとまた似たような問題に行き着くのか・・・って感じですけど。

なんにせよ、今感じてしまう停滞感を打破していく必要があります。
幸いにも下位との勝ち点差は保たれていますし、ギャンブルするならまだ間に合いそうです。
次節は、また下位に沈んでいる金沢とのホームゲーム。さあ、どう戦うでしょうか。



―2016シーズン通算記録―
13勝13分7敗 勝ち点52
38得点 30失点
今節終了時点での順位:6位

【ゴール】
6点:堀米
5点:山瀬、有田
4点:イ・ヨンジェ、エスクデロ
3点:アンドレイ、ダニエル・ロビーニョ
2点:石櫃
1点:下畠、本多、沼、岩沼、内田、菅沼

【アシスト】
9アシスト:エスクデロ
8アシスト:堀米
3アシスト:ダニエル・ロビーニョ、アンドレイ
2アシスト:イ・ヨンジェ
1アシスト:有田、佐藤、菅沼

【累積警告】
3枚:佐藤、ダニエル・ロビーニョ、本多
2枚:イ・ヨンジェ、下畠、有田、菅沼、山瀬
1枚:菅野、堀米、染谷、キロス、吉野、岩沼、アンドレイ

*佐藤、本多、菅沼、石櫃、アンドレイ、エスクデロは累積警告4枚による出場停止が一度あり
*菅沼は一発退場による出場停止が一度あり