2016年11月27日15:04キックオフ@キンチョウスタジアム 天候:雨

C大阪 1ー1 京都 


【京都メンバー】
GK菅野孝憲。DF右から石櫃洋祐、高橋祐治、菅沼駿哉、本多勇喜。MF右からダニエル・ロビーニョ、アンドレイ、吉野恭平、山瀬功治。FWエスクデロ競飛王、イ・ヨンジェ。
SUB:清水圭介、染谷悠太、下畠翔吾、堀米勇輝、佐藤健太郎、有田光希、キロス。
監督:石丸清隆

(選手交代)
HT、山瀬→堀米:ポジションそのまま。
66分、イ・ヨンジェ→有田:ポジションそのまま。
73分、ダニエル・ロビーニョ→キロス:キロスがFWに入り、エスクデロが右MFに。


【C大阪メンバー】
GKキム・ジンヒョン。DF右から松田陸、山下達也、藤本康太、丸橋祐介。MF右から清原翔平(81分:→酒本憲幸)、山口蛍、ソウザ、杉本健勇。FW柿谷曜一朗(86分:→田代有三)、澤上竜二(70分:→山村和也)。
SUB:丹野研太、田中裕介、秋山大地、ベサルト・アブドゥラヒミ
監督:大熊清


【審判団】
主審:松尾一 副審:田中利幸、大川直也


【得点】*サイドは攻撃側から見て
13分、柿谷(C大阪1−0京都):左サイドの山口から中央でパスを受けたソウザがミドルシュート。菅野がセーブしたところを柿谷が詰めて左足で決める。
90分、有田(C大阪1−1京都):クリアボールを拾った本多がアーリークロス。エリア内で菅沼が頭で落とし、受けた有田がワントラップから右足で押し込む。


【警告】
C大阪:なし
京都:アンドレイ(42分)、吉野(77分)



リーグ戦を5位で終えた京都は、3年ぶりのJ1昇格プレーオフをアウェーで迎えることになりました。
相手はリーグ戦4位のC大阪。天皇杯でも対戦しているので、今季4度目の対戦ということになります。
京都はリーグ最終戦からスタメンの変更はなし。サブには体調不良で最終節を欠場した堀米が戻った他、有田と佐藤もメンバー入りしました。
対するC大阪はリーグ後半戦は3バックで戦っていましたが、最終戦で4バックに。今回のプレーオフ準決勝ではその流れを踏襲して4バックで臨んできました。



雨中の決戦、意地は見せたものの良さは出しきれず


天候はあいにくの雨。
ボールが転がらないというほどではありませんでしたが、水しぶきが飛んでいたように、ピッチはかなり水を含んでいたようです。
京都は得点力がそれほど高いわけではないですし、レギュレーション上引き分けでは勝ち上がれないことも合わせて考えると失点はしたくないところ。なのでまずは守備から入ろうというのは無難な選択だったと思います。

しかし、C大阪の攻撃についてはもっと地上戦を主体に仕掛けてくると考えていたかもしれません。
実際にはピッチコンディションを気にしてなのか、もしくはC大阪としてもリスクを冒したくなかったのか、多分両方だとは思うのですが、立ち上がりはロングボールを入れてくる形で攻めてきました。
キックオフ直後からロングボールを杉本がしっかりとサイドで収め、中央でも澤上が積極的に競っていく。もし跳ね返されたとしても前線から激しく潰しにかかるというところで、京都にプレッシャーを与えてきます。
澤上に対しては菅沼と高橋が対応できますが、杉本に対して石櫃ではどうしても劣勢になってしまいますし。

最前線では柿谷が安定したボールタッチで収めている上、得意とする飛び出しも警戒しないといけない。そういった警戒心が強くなりすぎるあまり全体が引き過ぎてしまうことに。
C大阪もアーリークロスを早めに入れてくる回数が多かったですし、まずはエリア内をケアしたい気持ちも強く出過ぎたかもしれません。
厄介だったのがソウザで、失点の直前にも右サイドにはたいた後、自らスルスルっと上がってきてエリア内で競り合うというところがありましたからね。それが伏線となって、失点に繋がったミドルシュートを引き出してしまったところがあるように思います。

また、遠因としてはやはりツートップの守備の部分があったでしょうか。
攻撃面を考えてある程度軽めに設定されている守備タスクですが、全体が下げられてしまった中では、ツートップが頑張ってくれないと余計に自由に攻撃されてしまうところがありますから・・・。
この辺りはシーズン中もよく見られたもので、チームとして整理・解決しきれなかった部分が出たところですね。


京都としては、勝ち上がるためには得点を奪わないといけない状況。
攻撃パターンの一つとして、イ・ヨンジェが相手サイドバックの裏に走り込んで長いボールを引き出す形があります。しかし、杉本が余裕を持ってプレーできているために丸橋があまり前に出て来ず、ロングボールの出所となる京都CBに澤上や柿谷、清原がうまくプレスを掛けていて、受ける方も出す方も詰まることに。

さらに杉本に引っ張られる形でダニエル・ロビーニョも下がらざるを得ないので、終盤戦で武器となっていた右サイド攻撃にも繋げられる回数は少なく。
そうなると、なんとかエスクデロのキープで時間を作りたいところでしたが、サポートに行けないまま潰されてしまうことに。後方からのフィードもミスが多かったですしね。
荒れ気味の展開になってしまったのも、エスクデロが無理目にキープせざるを得なくなって、体をぶつけて優位に立とうとするプレーが多くなったからだとは思います。同様のプレーはリーグ終盤戦でもよく取られるようになっていたので、うまく順応しておきたかったところですが・・・。


局面で個々の競り合いが頻発する形になると、C大阪に対しては京都はどうしても劣勢に。
その流れで守備組織自体も崩されてしまい、ペースを握れないまま疲労を蓄積するような前半となってしまいました。
しっかりと球際を戦えてはいたのですが、組織的な面でバラされてしまった感もあります。このあたり、4度目の対戦というのが効いていたかもしれませんね・・・。
特にサイド攻撃については天皇杯でC大阪を何度も破っていたとのことですし、C大阪としても十分に警戒していたでしょうから・・・。


なんとか前に出る姿勢を打ち出したいというところで、後半開始から堀米を投入します。
しかし、前半で疲弊しているところもあったのか、なかなかペースは上げられず。
前半とは違って、左サイドで堀米が突破に掛かるシーンが出るようになって、前への勢いは確かに付きました。一方で守備にまで頭が回らなくなって、DFとMFの間が開き始め、カウンターへの対処も間に合わなくなる感じもありました。
特にアンドレイは前半からイライラした様子もあり、気が逸りすぎていたようでしたし。

割り切って前に人数を掛け、C大阪のカウンターへの意識を低くさせる意味合いもあったのか、キロス投入も早いタイミングとなりました。消耗もあったので、早めに追いつきたいというのもあったでしょう。
キロスを使ったパワープレーは京都にとって最後の手段ですが、早々にこのカードを切らざるを得ないくらいに追い込まれていたということでもあります。
しかし、普段よりも時間が早い上、セカンドボールを拾うために走る体力までが制限されてしまうと、パワープレーにも限界がありました。
攻め方を徹底しきれなかったのはこういったところに不具合をきたしていたためでしょう。
C大阪も山村を投入してパワープレーに備えていましたし、キロスに入れるボールも短すぎたり、サイドに流れてしまったりというのも多かったですしね。
元々攻撃の手段であったり、選手交代によるギアチェンジも限られている京都にとっては、嫌な方向へ嵌めこまれてしまう展開でした。
なんとかスタートのメンバーで攻撃の形を作って追いすがることができていれば、堀米投入と有田・キロスのパワープレーでもっと大きな混乱をC大阪にもたらせたかもしれないというのは贔屓目すぎるでしょうか・・・。


ただ、消耗している中で選手たちは本当によく戦ってくれたと思います。
もちろんチームとして足りない部分があって、ここまで書いてきた通りそれを浮き彫りにされ、チームとしての良さを出せなかったからこそ勝てなかったというところがあるのですが・・・。
それでもなお、なんとか歯を食いしばって走り、カウンターを凌いで1点を返すところまでは持っていけたのはこのチームの意地や底力を振り絞った成果です。
なんとかそれがもっと良い形で実って欲しかったですが、それでも、届かなかった。
残念でなりません。


プレーオフというのは確かに一発勝負で、何が起こるか分からない試合です。
しかし敗戦した側に取ってみると、どうしてもそこに見えてくるものは年間を通じて埋めきれなかったものが出てくる印象が強いです。

3年前も4年前もそうでした。

しかも一発勝負であるが故に、より鋭利に突き刺さってくるところがあり、失望感も大きくなります。
またその反面、敗北はドラマチックでもあり、大きな影を落としかねないですから、『負けっぷり』も大事なのかもしれません。
3年前や4年前と違うのは、最後にエネルギーを振り絞って追いすがれたこと。
一方で覆い隠してしまうものもあるのかもしれませんが、シーズンの最後に、次への希望くらいはそこに見ても許されるんじゃないかな、とも思っています。

負け惜しみかもしれません。



来季に向けて


京都は来季もJ2で戦うことになりました。
まだ終わったばかりで、来季のことを深く考えるのは難しいですが、徐々にチームの動きも出てくるのでしょう。早速指揮官についての報道も出ていましたね。
リーグ戦のレギュレーション自体も、プレーオフの廃止や入れ替え戦の復活などが議論されているようですし、来季はより一層昇格へのハードルが上がるかもしれません。
ただでさえ年々厳しくなっているJ2リーグですから、相応の力を持っていなければJ1へ上がることは不可能。
シーズン当初の話では、赤字覚悟で補強を行ったとのことでしたから、来季は引き締めも図られるかもしれません。そうでないような報道も出てましたか(苦笑)
石丸監督が率いた今季の戦いぶりから行くと、体制の維持によって安定したシーズンは送ることができるだろうという予想は立ちます。
ただ、より一層のレベルアップとなると、それなりの戦力的な上積みがなければ厳しいかないう気もします。これも今季の手応えとして。
その辺りをどう評価して、どう見積もるのかというのは、それぞれの感触や想いにも関わってくるのかもしれませんが、いずれにせよ、このシーズンをしっかりと精査する必要があるでしょう。
まだまだ不透明なことばかりですが、クラブとして少しずつでも積み上げていけるように戦っていきましょう。

ボールは転がりますから。これからも。



・・・さて、今季の試合レビューもこれで終わりとなります、残念ながら。もう1試合書きたかったのですが。。。
シーズンまとめと選手評は今年もやろうかなと思っていますが、お読み頂いている方々はひとまず今季もお付き合い頂きありがとうございました。

来季について、チームは不透明だということを書きましたけど、本ブログについては、ちょっとこれまでのスタイルから変えていこうと考えています。
いろいろ忙しくなってきていて(それはそれでありがたいことなんですけど・笑)、実は試合を見る時間もかなり限られているのが現状です。
その分、記事更新の時間も限られてきていて、特に水曜日に試合なんかされるともう実際大変で(笑)
去年はリーグ戦の試合レビューをできない時もあったりして、現状のスタイルはちょっと無理があるかな、というところです。

このブログは2010年に始めたので、初年度に降格して、それからずっとJ2の話を書いてきました。
なので、今年J1昇格を決めて、華々しく(?)変更と行きたかったんですけど、なかなかそう上手くはいってくれませんね(苦笑)

これからは全試合レビューではなく、何試合かまとめて・・・例えば月イチとかでゆるっとやっていこうと思います。
当初は自分にとっての備忘録的要素も大きかったのですが、書くならちゃんと書こうってことで、試合ごとに感じたことをなるべく丁寧に書こうとしてきました。
そういうブログが京都関連では少ないなぁと思っていたこともありますし、なるべく分かりやすい言葉で戦術的なことや、相手の出方と京都の狙いなんかを書ければ、と。
自分の頭を整理するにも良いですし。
どれくらいできてたのか分かりませんし、自分としても上手く表現できなかったり拾い出せなかったりということが多くてもどかしいところもあるのですけど、時々お褒めいただいたり、コラボの話もあったりして、楽しくやってきました。

願わくばいろいろな視点から京都のサッカーを語って欲しいですし、別にブログという形でなくてもいいのですけど、もっとサッカーを語ることによって、チームへの欲求・要求も質の高いものになっていくでしょうし、もっとサッカーを楽しめるようになるはずです。
もちろん、自分たちのチーム、相手チーム、審判団にリスペクトを持って。
やっぱりプロサッカーの舞台で躍動している人たちは単純に凄いんですよね。
そういったところをしっかりと語れるようになれれば、と。

その一助になれば・・・なんてことは大それ過ぎてるかもしれません。
更新頻度はたぶん大幅に減りますけど、自分自身ももっといろんなことを考えて、追っかけていければと思います。

今後とも、どうぞよろしく。


来年はもっとみんなでいっぱい喜んでシーズンを終えたいですね!
今は空元気ですけど、心持ちも大事ですから。
頑張ろうぜ!




―2016シーズン通算記録(リーグ戦)―
18勝15分9敗 勝ち点69
50得点 37失点
今節終了時点での順位:5位

【ゴール】
7点:堀米、山瀬、イ・ヨンジェ
5点:有田、アンドレイ、エスクデロ
4点:ダニエル・ロビーニョ
2点:石櫃
1点:下畠、本多、沼、岩沼、内田、菅沼、矢島、キロス

【アシスト】
11アシスト:エスクデロ
10アシスト:堀米
4アシスト:アンドレイ
3アシスト:ダニエル・ロビーニョ、イ・ヨンジェ
1アシスト:有田、佐藤、菅沼、石櫃

【累積警告】
3枚:佐藤、ダニエル・ロビーニョ、本多、山瀬、イ・ヨンジェ、菅沼、アンドレイ、石櫃、エスクデロ
2枚:下畠、有田、染谷、吉野
1枚:菅野、堀米、キロス、岩沼

*佐藤、本多、菅沼、石櫃、アンドレイ、エスクデロは累積警告4枚による出場停止が一度あり
*菅沼は一発退場による出場停止が一度あり