2月26日14:03@西京極 天候:曇
京都 1ー2 山形
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017022610/
【京都出場メンバー(3-4-3)】
GK菅野。DF右から染谷、闘莉王、本多。MF右から石櫃、ハ・ソンミン(59分:→仙頭)、吉野、湯澤。FW右からエスクデロ、大黒(82分:→ケヴィン・オリス)、イ・ヨンジェ(59分:→岩崎)。
【得点】
京都:ケヴィン・オリス(90分:←岩崎)
山形:瀬沼(35分:←瀬川)、鈴木(57分:PK)

【警告】

京都:闘莉王(26分)
山形:なし


昨季の終わりにも書いたのですが、今年は諸々忙しい状況が続いているので、不定期での更新にするつもりです。

さて、いよいよ2017シーズンも始まりましたが、開幕戦は完敗でした。
京都も山形も大きくメンバーが変わって、新監督を迎えたわけですけど、山形の方がシンプルに徹底して戦えていた印象が強いです。

山形は攻撃のクオリティは高くなかったですが、前線からハードワークする守備は整えられていましたし。木山監督が昨季率いていた愛媛から数名の主力選手を連れてきているのも戦術浸透をやりやすくしているところがあったでしょうか。
蛇足ながら、西京極での試合は昨季ホーム最終戦から続いて木山監督との対戦です。その試合でも瀬沼に点を獲られて負けているわけですが・・・



骨格は「攻撃的」であるけれど細部はこれから


今季のキーワードとしては「攻撃的に」、「サイドを主体に攻める」というのが挙げられていました。
開幕戦を見る限り、前者については志向としては感じられましたが、実質は伴っていないのが現状。それに引きずられたところもあったのか、後者はほとんど見えませんでした。

まず守り方ですけど、前への志向を持って強く奪いにかかるという意味で、「攻撃的」でした。
基本セットとしては3バック+両ワイドの5人が後ろにいて、相手の中盤にボールが入ろうとするところで一人目の守備(主に吉野かソンミン)が入る。同時に、中央3バックの一角もそれを埋めるように前に出ながら、中盤を飛ばしてくるボールに当たりに行く。ここは闘莉王が一番多かったでしょうか。3バックのセンターですが、フォアリベロ的な感じですね。
奪ったら前へ出ているエネルギーを活かして勢いのまま前進し、相手ゴールに迫りたいといった感じでしょう。

しかし、どういうタイミングで吉野やソンミンが当たりに行くのかというのは曖昧で、「行けそうなら全部行く」っていう状況。そうなると後方の選手も間合いが取りづらいし、ズレやすくもなるので、間のスペースが空くことも多かったですね。
さらに、志向としては前向きを強く持っているため、一度マイボールになった時に重心が前に行きやすい。そこで変な形で奪われてしまうと、相手にとっておいしいスペースが多くできることに。
プレシーズンからカウンターでやられているという話が出ていましたけど、構造的に弱い部分になっちゃってますね。

課題としては守備のスイッチをどこで入れるのかということになります。
これは去年も同じ課題を持ってました。
最前線の選手が守備が上手いわけではないので、役割を制限したいところですが、現状は昨季同様今ひとつ。
特に、ヨンジェとエスクデロのところがハッキリしていなくて、相手の3バックにプレスに行くのか、サイドのスペースをケアすることを優先するのかが場当たり的。
山形の攻撃も精度としてはそれほど高くなかったので、京都のミス絡み以外ではそれほどピンチにはならなかったですけど、今後ポイントになりそう。
昨季のようにブロックを固めて、という守備は今のところ見えませんね。


次に攻撃面ですけど、意識だけは前に行ってましたがこっちも噛み合わず。

石櫃と湯澤が高い位置を取り、エスクデロやヨンジェと絡んでサイドを狙いつつ、ダブルボランチやCBが厚みを付けに行く・・・というのがやりたいところでしょうか。
石丸体制での3バック時に比べてCBの攻撃参加は重要になりそうで、ミスが多かったですが本多がクロスを上げる場面が目立ちましたね。

攻撃のスタートのところで、京都の3バックに対して山形は3トップをぶつけて組み立てを阻害しようとしてきましたが、それを回避する術は持ち合わせていない様子。
とりあえず両ワイドに預けてみても、高い位置でマッチアップが既に噛み合っているのですぐにプレスを受けて戻すことに。
結局最前線に蹴り込むしかないのですが、そこには大黒しかおらず。
大黒も独特の抜け出しで裏を取ろうとはしていましたが、近くに選手がいないのでどうにもならなかったですね。
この辺りはヨンジェとエスクデロの守備時の位置の曖昧さも絡んでいて、奪った後に預けられる位置にいない(味方が把握してない)ので、奪ってすぐさま・・・とはなりづらいです。
ヨンジェは最前線からサイドに流れて起点を作るのが上手い選手ですが、スタートの位置が低くなってしまうと魅力は出しにくかったでしょうか。
縦にすぐ入れて、一度弾き返されてもすぐ拾えればなんとか、というくらいが可能性を感じるところでしたが、山形の集中も高かったのでそうそうチャンスになりませんでしたね。

そうなると中盤で落ち着けて・・・といきたいですが、吉野とソンミンのコンビではそこまでは望めなさそう。
吉野はまだ細かいプレーもでき、多くのシーンでボールに絡む活躍を見せていましたが、後方からどう運んでいくかというのはまだまだな印象。ソンミンはコンディションを上げている最中でしょうか。ポジショニングは悪くなかったですし、技術もそれなりのようですが、力強さはあまり感じませんでした。
昨季同様、エスクデロが引いてきてゲームメイクをする展開が多くなりましたが、これも昨季同様、パスに特別秀でているわけではないですし、キープする時間が長い分、低い位置だとブレーキを掛けてしまうことにも。
こういったビルドアップの不具合が出ると、両サイドも上がっていたり、ボランチの一角も前に出ていたりするのでカウンターを受けると大変なことになりますね。


攻守の全体的に、やりたいこととメンバーがマッチしていない印象が強い試合でした。
あれだけ前から仕掛けたいなら3トップは攻守においてもっと顔を出せるようにしたいですし、攻撃時に両ワイドを張り出させるなら後方のビルドアップは磨きたい。
実績に優れ、個人能力の高い選手を並べた感じはありましたが、まだ繋がってませんね。開幕だからというエクスキューズはあるにしても、それでも。
かなりリスクを負った戦いをしようとしていて、それはそれで一つのアプローチなんですけど、どこまでプラスの要素を出していけるか。

2点ビハインドになって山形が無理に前から来なくなったところは割り引かないといけませんけど、メンバーチェンジから勢いを取り戻せたのは事実。
ボールを動かせる仙頭が低い位置で受けて捌いてを繰り返し、岩崎が頻繁に顔を出す。詰まってもロングボールにケヴィン・オリスが競り勝てるのでポイントを作れる・・・というところでしたね。
この新戦力3人は十分に魅力を発揮していて、今後に期待をもたせましたね。

マッチアップが噛み合う相手で、やりづらさが前面に出てしまったというか、詰められていない部分がいきなり露わになりやすかったところもあると思います。
といっても次節の徳島も同じ布陣なんですが。

開幕戦を見る限り、すぐにチームが回るというのは難しそうです。
一方で、微調整を施すだけでもそこそこやれそうな気もします。
今回は良い形になりませんでしたけど、ここからどういう形でメンバーのチョイスが行われて、どういう戦術的補正を施していくのかが序盤戦の注目点になりそうですね。


―2017シーズン通算記録―
1敗 勝ち点0
1得点 2失点
今節終了時点での順位:13位

【ゴール】
1点:ケヴィン・オリス

【アシスト】
1アシスト:岩崎

【累積警告】
1枚:闘莉王