3月4日15:03@西京極 天候:晴
京都 1ー0 徳島
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017030411/
【京都出場メンバー(3-4-3)】
GK菅野。DF右から染谷、闘莉王、本多。MF右から石櫃、仙頭、吉野、湯澤(55分:→内田)。FW右からエスクデロ、大黒(55分:→ケヴィン・オリス)、イ・ヨンジェ(62分:→岩崎)。
【得点】
京都:闘莉王(90分:←ケヴィン・オリス)
徳島:なし

【警告】

京都:エスクデロ(94分)
徳島:広瀬(38分)、梶川(85分)



3月12日14:03@レベルファイブスタジアム 天候:晴
福岡 2ー1 京都
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017031208/
【京都出場メンバー(3-4-3)】
GK菅野。DF右から染谷、牟田、本多。MF右から石櫃、仙頭、吉野、内田。FW右から小屋松(69分:→大野)、大黒(55分:→岩崎)、エスクデロ(84分:→ヨンジェ)。
【得点】
福岡:山瀬(3分)、ウエリントン(71分)

京都:仙頭(73分:←エスクデロ)
【警告】

福岡:岩下(78分)

京都:吉野(20分)、仙頭(30分)


3月19日13:03@シティライトスタジアム 天候:晴
岡山 2ー1 京都
試合記録:  http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017031902/
【京都出場メンバー(3-4-3)】
GK菅野。DF右から高橋、牟田、染谷(64分:→闘莉王)。MF右から石櫃、望月、吉野、本多。FW右から大野(61分:→岩崎)、ヨンジェ(78分:→大黒)、小屋松。
【得点】
岡山:赤嶺(89分、94分)

京都:望月(61分)
【警告】

岡山:パク・ヒョンジン(68分)、篠原(72分)

京都:高橋(36分)



3月25日15:03@西京極 天候:曇
京都 0ー1 長崎
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017032503/
【京都出場メンバー(3-4-3)】
GK菅野。DF右から高橋、牟田、染谷。MF右から石櫃、望月(53分:→仙頭)、吉野、本多。FW右から大野、ヨンジェ、小屋松(79分:→ソンミン)。
【得点】
京都:なし

長崎:ファンマ(42分)
【警告】

京都:ヨンジェ(32分)、大野(40分)、染谷(59分)

長崎:中村(91分)、ファンマ(94分)



前回の更新から1ヶ月経ってましたね。

3月のスケジュールを終え、京都は4試合で1勝3敗。

今回の記事ではこの1ヶ月を振り返って、チームの現状について思うところを書いていきます。



開幕5戦の流れ


開幕戦も含めて5試合を戦ったわけですが、試合内容としては第4節・岡山戦までは試合ごとに上向いていた印象です。

と言うものの、結果が伴っているわけではありません。


第2節の徳島戦では、開幕戦と打って変わって、後方にブロックを築く守備に変えていましたが、前線の守備が曖昧で、徳島に自由にビルドアップされることに。

完全にボールを支配され、攻撃もままならない状態で、さらに交代枠を使い切ったところで闘莉王が負傷。

厳しい状況でしたが、終盤にロングボールをケヴィンが競り勝ったところを闘莉王が蹴り込んで勝利を収めることができました。


第3節・福岡戦は開始早々に山瀬に先制点を浴びて、追いかける展開。後半にもウエリントンに追加点を奪われます。仙頭のヘディングシュートで1点を返しましたが、追いつけずに敗戦。

早々にリードされたこともあってか、開幕戦と同様に前線から追う守備を見せましたね。

また、それまでの2試合よりもビルドアップが改善された傾向もありました。ここは、福岡が他の対戦相手と異なり、4−4−2で戦うチームだったことも影響していたでしょうか。


第4節の岡山戦では先発メンバーを大きく変更し、多くの若手選手が起用されました。

前線からの守備が活性化し、良い流れで試合を進めることができていたにも関わらず、終了間際に引っくり返されてしまいました。

染谷、ヨンジェと負傷交代が相次ぎ、中盤の運動量も落ちていったことによって、前線からの守備が掛からなくなってしまったことが要因。

同点で留められればよかったのですが、なんとか勝ちたいというところで変に重心が前に掛かってしまったことによって、逆転弾に繋がってしまったところもあります。


とは言え内容は良かったので、そのまま長崎戦に継続できればというところでしたが、そううまくはいかず。

ほとんど攻撃の形を作れず、また、守備の狙いも定まらない散々な出来での完封負けでした。



「引きずりすぎてしまう」守備の傾向


基本的な戦い方としては、開幕戦で見られたもの と志向は変わっていません。

負傷者もあってスタメンの入れ替えは行われていますが、布陣は3−4−3。


守備では前線からのプレスが第一の選択肢。無理であれば5バックの形になり、2シャドーがサイドハーフの位置に入ってブロックを形成します。

相手がボールを持った時に、ボールの位置や選手の位置関係で判断するわけですが、前の選手から順々に捕まえに行くのか、そのままスペースを消すことを優先するのかというところでスタイルが決まってきます。


京都の狙いとしては、基本的には前者のようですけど、徹底されているというほどではありません。

気がかりなのは、前節の結果にかなり引きずられてしまっている傾向にある点です。

開幕戦で無謀とも言えるくらい中盤から前の選手がプレスに出ていながら、第2節・徳島戦ではブロックを敷く方を優先していて驚きましたが、開幕戦で闇雲に前から行って外されたことを反省してのものだったかもしれません。

また、同じスタメンで戦い、相手の布陣も同じだった岡山戦と長崎戦で戦いぶりが大きく異なってしまったのもその現れでしょうか。
岡山戦では3トップがプレスに行くとともに全体で前に重心を掛けていっていたのですが、長崎戦ではあまり前から守備に出ることはせず。もちろん長崎がファンマに長いボールを当てるところから攻撃をスタートさせていたり、京都のボールの奪われ方が中途半端だったりと、他の側面も考慮する必要があります。
とは言え、岡山戦の敗戦の引き金が中盤のガス欠にあったことを考え、慎重に入りすぎたことが大きく影響を及ぼしたように思います。

こういった形で前節の影響を受けるというのは、「反省して、改善しようとしている」という側面もあって、悪いことではありません。しかし現状で言うと、チームの狙いが固めきれていなかったり、選手たちが確信を持ってプレーできていなかったりという面が大きいように思えます。布部監督のやりたいことは分かりますけど、それが落とし込めていないというところですね。

岡山戦ですんなり勝利できていれば、長崎戦がああいった形にはならなかったとも思うので、些細な掛け違いの部分もあるでしょうが・・・。


個々の技術に依存している状況の攻撃

守備面ともリンクしますが、攻撃も不具合を抱えています。
特にビルドアップに詰まる傾向にあり、相手の運動量が豊富な前半はほとんどシュートチャンスを創れていません。

基本としては3バックが横に広がり、適宜ダブルボランチがサポートしながら前に運んでいきたいところ。
前線では両ウイングバックが高い位置を取り、3トップとともにパスを受けようとします。
これまでの試合では相手がこちらの3バックにプレスを掛けてきたとき、適切にボランチがサポートできなければすぐに詰まっている状態です。
3バックで起用されている選手も染谷を除けば元々足元に秀でたタイプではなく、縦パスを入れるための準備段階でもパスが遅かったり、ズレたりすることが多くて、余計に時間も掛かってしまっています。本来なら闘莉王はそこを期待されていると思いますが、遅さを感じてしまうのが今までのところ。
CBで余裕を持って回せないと、必然的にボランチや両ワイドが受けるときも苦しくなるし、特に左サイドでは本多も器用な選手ではないので、やはり苦しいと。
左利きのサイドアタッカーがいないことから来る不具合は交代時にも感じるところです。この辺は開幕前から危惧していましたが・・・。

ボランチがうまく引き出せた場合や、スリートップが個人能力で相手DFを上回れるときには可能性を感じます。
最も分かりやすいのがケヴィンの強さですけど、残念ながら負傷離脱中。
第4節の岡山戦では、長いボールからチャンスを創り出しましたが、ここもボランチの引き出しと前線の特徴が噛み合ったものでした。
吉野と望月が上手く引き出しながら相手を引き付け、左サイドの染谷から大きく石櫃にサイドチェンジを入れる形が決まっていたり、相手のCBの脇にヨンジェや大野が飛び出たりするプレーがハマっていたりというところですね。石櫃の攻撃性や、サイドに流れるのを得意とするヨンジェの特性をうまく使えていました。
裏を返せば、長崎戦ではボランチの動きも少なく、精度の低いロングボールを大野とヨンジェがなんとかしないといけない状況が続いてしまいました。もちろん守備でリズムを崩していたのも影響したでしょう。後半になって仙頭がかなり引き出したことによってボールが回り始めたのは当然の話で。

ビルドアップで不具合が生じているのが現状なので、それより前については個々の技術・パワー頼み。
前線の守備と噛み合うようになれば、空いているスペースを使いやすくもなるし、今のスリートップの組み合わせでは活きやすいかもしれませんが、これからの話でしょうね。

選手も不慣れなことをやっていると思うので、やり続けるのであればそこに順応できるかどうかも重要ですし、変えるならバッサリ行く必要もあるでしょう。
ポゼッションを中心とするなら、仙頭と望月を並べたいところかもしれません。前線では小屋松がよく頑張っていますね。
現状の3バックでボール保持を前面に出すというのは厳しさも感じますが、一方で4バックにしたとしても中盤から前の問題は変わりませんし、どこでどうバランスを取っていけるかでしょう。

ここまで見た限りではどうにか仙頭と小屋松でサイドハーフを務めてもらい、CBを一人削るのが攻撃的には回りそうに思います。ただし、後方で凌ぎ切る守備はやりづらくなるので、問題も孕んでいますが。


若手選手の臆せぬ躍動とベテラン選手の低調さ

ここまで書いている通り、全体としては苦しい状況です。
その中で良いポイントを挙げるとするなら、多くの若手選手が早々に出番を得られていることでしょう。

特に岩崎、大野、仙頭の新人3人は順調に出場時間を伸ばしていますし、移籍組でも小屋松や望月は持ち味を発揮して定位置を掴み取ろうとしています。
チーム自体の結果は出ていませんが、こういった若手選手がしっかりと持ち味を出しつつ、チームを活性化してくれているのは評価すべきかと思います。
見ている側としても頼もしく、また、楽しい部分ですし。
むしろこういった若手選手が出ている時の方がチームが良く回っている印象も受けます。
特に上記したようにスリートップとダブルボランチのプレーはチーム状況に大きく影響しますし、ここで彼らが奮闘しているのは頼もしいところ。

これが、布部監督の求めていることを「忠実にやっている」からなのか、多少逸脱しつつもガムシャラに動いているからことが上手く行っているのか、彼ら自身の判断に基づくものなのかは判別できていませんが・・・。

ただ、少なくともこういった形で若手選手が持ち味を出せる状況に置いているのは今季のチームの良いところ。
シャドーの位置で持ち味が出づらかったヨンジェを最前線に移して機能させるなど、それぞれの選手の特性を現状のシステムの中での最適位置に落とし込んでいることについては評価できると思っています。
本多や高橋、吉野などはちょっと個人能力からすると多くを求められすぎている印象も受けますが、ここは選手層として苦しいところでもあるので、多少割り切る必要も感じます。

若手が奮闘する一方で、「お金の掛かっている」選手たちの働きには不満が残ります。
闘莉王は第2節に負傷してからスタメン出場がありませんが、90分のプレーは厳しそうですし、強さは健在であるものの、どうしてもひとつひとつのプレーが遅くなっている印象もありました。
とは言え、染谷の負傷を受けて途中出場した岡山戦では、短い時間であるということもあってか、さほど気にはならず。しかも意外にも牟田を中央に据えたまま、闘莉王は左CBでしたね。
クローザーもしくはパワープレー時の戦力としては依然頼もしい存在にはなりそうです。もちろん若手CB達が闘莉王のスタメン復帰を阻むくらいのプレーをする必要がありますが。
経験に基づく縦パス潰しの読みはさすがのものがありますし。

大黒、エスクデロの2人はコンディションも整っていないのか、持ち味もなかなか出ず。
チーム状況に左右されて気の毒なところもありますが、大黒はリード時のスクランブル事態で出場した岡山戦で献身性を見せなかったこと、エスクデロは昨季に続いてあまりに緩慢な守備とラフタックルが残念なところとして目立ってしまっています。
今のチームスタイルでは使いづらいタイプですし、途中から出た時にリズムを変化させる役割を担えるかどうかという点に興味があります。その役割に納得できるか、布部監督が要求できるかも含めて。

その他では、人材不足感のあるシャドー・サイドアタッカーの一員として伊東俊も見たいところですね。
田村にも頑張ってもらう必要があるのですが・・・


個人任せの現状を打破するために割り切れるか


ということで、開幕5戦はかなりしんどいスタートになりました。
メンバーを変えることで、個人の特性とマッチさせてどうにかさせているところが大きく、細部は詰められていません。チーム作りでは出遅れていると言わざるを得ないでしょう。
とは言え、負傷者が戻り、多少の割り切りと微調整でそれなりに勝ち点を積み上げられそうにも思うので、チームおよび布部監督の胆力が試されるところですね。
全部一気に解決はできないし、今は相手に応じてどうこうもない状況でしょうから。
まずは骨格を固めてしまい、ケースバイケースでやっていくしかないでしょう。

昨季も開幕から5試合勝てず、内容もイマイチでしたし、どう戦うかも手探りな感じでした。
苦しい状況で迎えたC大阪戦で割り切った試合をやってから勝ち点を伸ばせるようになりましたけど、時期としてはGWに入ってから。


必要以上に焦ることはないですが、あれもこれもやろうとしてどれもできないなんていうのは避けたいところです。

以前にも書きました が、今季は「昇格を狙う」という目標を額面通りには受け取れませんし、そのつもりもありません。
むしろ「来季に備えたアリバイ作り」という側面の方を強く感じるところもあります。上層部がどこまで狙っているかはさておき。編成からいって結果的にはそうなるだろうと(それでも編成もポジションバランスで無茶なところあるけど)。
その視点で行けば、布部監督が苦しみつつも、若手選手を多く起用できているのはある意味で想定内でもありますし、短期的な視点ばかりで見ることもないのかなというようにも思っています。


もちろん、降格しては元も子もないですし、楽観的な見方だとも自覚していますけど。



―2017シーズン通算記録―
1勝4敗 勝ち点3
4得点 7失点
今節終了時点での順位:19位

【ゴール】
1点:ケヴィン・オリス、闘莉王、仙頭、望月

【アシスト】
1アシスト:岩崎、ケヴィン・オリス、エスクデロ

【累積警告】
1枚:闘莉王、エスクデロ、吉野、仙頭、高橋、ヨンジェ、大野、染谷