第6節

4月1日14:03@フクアリ 天候:雨のち曇
千葉 2ー2 京都
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017040110/
【京都出場メンバー(3-4-3)】
GK菅野。DF右から高橋、染谷、本多。MF右から石櫃、仙頭、望月、湯澤。FW右から大野(72分:→岩崎)、小屋松(87分:→田村)、イ・ヨンジェ。
【得点】
千葉:清武(8分)、近藤(91分)

京都:小屋松(24分:←ヨンジェ)、仙頭(60分:←大野)
【警告】

千葉:熊谷(85分)

京都:なし


第7節

4月8日17:03@ニッパツ三ツ沢 天候:曇
横浜 2ー0 京都
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017040813/
【京都出場メンバー(3-4-3)】
GK菅野。DF右から牟田、染谷、本多。MF右から石櫃、仙頭(69分:→エスクデロ)、望月、湯澤。FW右から小屋松(77分:→ケヴィン・オリス)、イ・ヨンジェ(74分:→大黒)、岩崎。
【得点】
横浜:イバ(61分、71分)

京都:なし
【警告】

横浜:野村(63分)

京都:湯澤(7分)、仙頭(55分)、染谷(62分)、ケヴィン・オリス(86分)


第8節

4月15日15:03@西京極 天候:晴
京都 3ー2 愛媛
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017041507/
【京都出場メンバー(4-4-2)】
GK菅野。DF右から石櫃、高橋、染谷、湯澤。MF右からエスクデロ(65分:→小屋松)、吉野(79分:→仙頭)、ハ・ソンミン、岩崎。FWケヴィン・オリス、闘莉王。
【得点】
京都:闘莉王(52分:←石櫃、72分:←湯澤、92分:←ケヴィン・オリス)

愛媛:近藤(45分)、浦田(91分)
【警告】

京都:石櫃(32分)、闘莉王(53分)、菅野(87分)

愛媛:林堂(31分)、有田(65分)



第9節

4月22日15:03@西京極 天候:晴
京都 1ー1 松本
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/games/result/2017042212/
【京都出場メンバー(4-4-2)】
GK菅野。DF右から石櫃、高橋、染谷、本多。MF右から小屋松(92分:→大黒)、吉野、ハ・ソンミン、岩崎。FWケヴィン・オリス、闘莉王。
【得点】
京都:闘莉王(52分:←ハ・ソンミン)

松本:飯田(63分)
【警告】

京都:なし

松本:なし



4月に入って4試合を消化しました。

この4戦で1勝2分1敗。3月を終えて1勝4敗と大きく出遅れていたことから考えると、戦績としてはやや持ち直したところ。

ただしここまで9試合を終えて2勝しかできていませんし、順位も19位に沈んでいます。

まだ大分戦が残っていますが、すぐに試合を見ることができない上にGWの連戦に突入することもあるので、ここらでまとめておこうと思います。



最近4試合の流れ


4月1日に行われた第6節の千葉戦では、流れの悪さを象徴するかのように開始早々にあっさり失点。

ただ、エスナイデル新監督を迎えて超ハイラインで戦う千葉もかなり不安定で、お互いに混乱しながら戦っているような試合になりました。

京都としては相手の高いDFラインの裏に長いボールを送り込むだけでチャンスになるため、課題となっていたビルドアップ能力の低さは目立たない試合になりましたが、ワンパターンで慌ただしいだけのサッカーになってしまった感もありました。

小屋松と仙頭のゴールで逆転に成功したものの、終盤に追いつかれる痛恨のドロー。


続く横浜C戦は、慎重に戦って拮抗した試合に持ち込めてはいましたが、後半にサイドでのビルドアップミスで失ったところから、引きずり出されたCBの間を突かれて失点。

さらにPKで追加点を許すと気持ちも切れてしまい、大黒に負傷明けのエスクデロ、ケヴィン・オリスを投入してアタッカーを増やすも特に形はなく、チグハグな印象のまま敗戦。

これで順位も自動降格圏内の21位にまで後退しました。


なんとかテコ入れをということで、愛媛戦からは4バックへ転換しました。

スタメンも大きく変え、前線に闘莉王とケヴィン・オリスを並べるツインタワーへの放り込みがベースに。

後方の不安定さはまだ引きずっていて、ミスも多い試合でしたし、右サイドハーフに入ったエスクデロの守備の弱さを狙われて多くのピンチを与えることになってしまいました。

しかし、闘莉王が驚異的な得点力を見せてハットトリック。特に3点目は後半アディショナルタイムに追いつかれた直後に飛び出たもので、「またか・・・」となりそうなところからチームを引き上げるゴールとなりました。

これで久しぶりの勝利。


松本戦でも引き続きパワーサッカーで戦いました。

追いつかれてドローにはなったものの、パワーサッカーを得意とする松本相手に空中戦で優位に立っていたのは特筆すべきでしょうか。



クロージング問題の裏にあるもの


今季ここまでの試合では、終盤の失点が目立っています。

岡山戦、千葉戦、愛媛戦とリードして迎えた後半アディショナルタイムに追い付かれる試合を既に3つもやっていて、勝ち点を思うように得られない象徴になっています(愛媛戦は勝つことができましたが・・・)。

よく「試合の締め方が悪い」というような言い方をされますが、今季に関して言うと締め方どうこうというよりも、簡単に押し込まれやすい守備に問題があります。

つまり、ベースとなる守備自体に欠陥があり、元々個々の対応でなんとか凌いでいる状況であるということです。そのためリードして迎えた試合終盤には、メンタル面で引き気味になってしまう自分たちと前に出てくる相手との精神的バランスや、体力の低下によって対応がより難しくなっているという状態。


昨季も同じ状況に陥ることが多かったですが、中盤より前で奪う仕組みが確立できていないからというのが大きな要因としてあります。

昨季はツートップの守備をほぼ免除していて、その代わりに後方で中盤とDFラインの距離を近く保つことによって絡め取る守備で凌いでいました。これはこれでそれなりに守れていたのですが、どうしても自陣深くまで持ち込まれやすいですし、奪った後に攻めに転じることに苦労することに。石丸前監督もどうにかしようと手を施そうとしていましたが、結局上手く行かないままシーズンを終えたところがあります。


その反省を受けてか、今季は前から奪いに行く姿勢を出していた、はずでした。

「はずでした」と言うのは、開幕戦は(出来はどうあれ)そういう志向でやっている様子だったのですが、試合ごとにその意識にブレがあるためです。

当然選手によって得意不得意がありますが、前線の組み合わせによってはほとんど守備にならないことも。
 

行かないなら行かないで昨季のように後方で厚く守ってしまっても良いのですが、意識としては前でというようになっているのか、中盤では勢い良く奪いに出てくることもあります。このあたり、選手間で意識にギャップがありそうなのが悩ましいところ。

厳しいのは、前に潰しに出た時にあっさり入れ替わられてしまうことですね。これは個人の対応能力から来るものもありますし、意識の違いがあって、後ろがついてきていない分余計に目立っているところもあります。


特に3バックを採用した時はサイドでの対応が曖昧。

相手のサイドプレーヤーがボールを持った時に京都のウイングバック(石櫃や湯澤)がかなり前に出ていくのですが、その後方のケアがハッキリしておらず、芋づる式にCBが引きずり出されていくことに。

なぜか3バック時にDF陣がスライドして穴を埋める意識が薄く、さらにダブルボランチに守備の不得手な仙頭と望月で組んでいたこともあって、その隙間で仕留められることが目につきました。
 

負傷者の関係や、特に守備の中心となるはずの吉野が離脱していたことも大きかったですが、ベンチメンバーで守備を厚くする動きが取りにくかったこともエクスキューズとしてあります。

ただ、チーム全体としてあやふやな守備を続けていることが苦戦の最大の原因と言えるでしょう。奪えなければ攻めにも出られないし、一度奪われるとなかなか奪えないまま押し込まれるでは試合になりませんから。


愛媛戦から4バックにしていますが、昨季のベースもあるので多少マシにはなってきています。後方のメンバーはそれほど変わっていませんし、大嶽コーチや佐藤コーチもいますからね。

ツートップの守備は昨季同様ほとんど掛かっていないので、やはり後方で絡め取ることにはなります。

サイドハーフでエスクデロが出たときにはほとんど守備になりませんでしたが、献身的に上下動できる小屋松と岩崎の組み合わせにしたことによって、松本戦では様になっていましたね。

吉野とハ・ソンミンのコンディションが上がってきていて、奪いに出るときと後方でスペース管理するときの判断が上がったことも大きいです。後述するようにパワープレーで相手にプレッシャーを掛けられていることも重要ですね。

しかしまだまだボールへのプレッシャーはちょっと遠い印象で、中盤とDFの間が空きやすくもなっているので、まだ注意が必要です。



パワーサッカーへの転換は何を産み出すか


攻撃面では、愛媛戦からツインタワーへのハイボールをベースとしたパワーサッカーになっています。

それまでは後方からの組立てに主眼を置いていましたが、相手のプレスに晒されると精度を欠き、効果的に攻撃できない状況となっていました。

それから比べると、愛媛戦ではまだ慣れていない様子もありはしましたが、全体としての優先順位の付け方がハッキリしていて、相手に脅威を与えられるようになってきていますね。

特にパワーサッカーの代表的チームである松本を同じ土俵で押し込んだというのはインパクトがあります。闘莉王とケヴィン・オリスの高さはリーグでもトップクラスと言っていいでしょう。単純な高さに加えて2人とも体の使い方やヘディングが上手いですからね。この戦い方をどれだけやれるか分かりませんが、相手チームとしてはそう簡単に対応できない武器ですから、京都としては上手く使っていきたいところです。


現状のチームにもたらしているものは、何と言っても分かりやすさです。

それまでやっていたことと比べると、ビルドアップで複雑なことをしなくて良いというか、サイドハーフがFWの近くまで上がっていく時間さえ作れれば良いですし、困ったらとりあえず高いボールを蹴ってしまうシンプルさ。

普通は単純なハイボールに対しては守備側が有利なので、そこを満足にやらせてもらえないだけでも守備側にはかなりのストレス。そこで競り勝つどころか、体を入れてキープさえしてしまうこともあるツートップですので、京都のDF陣には余裕が出てきます。

それだけ相手を押し込みやすいし、言い換えれば守備の時間を削ることになりますからね。ビルドアップでミスが出ると一気にカウンターを受けやすくなることと対応しています。


ただし、どうしてもこぼれ球に走り込む役割を担う両サイドの消耗は大きくなります。
守備時にもポジションに戻らないといけないですしね。
今のところ岩崎と小屋松の運動量および献身性で成り立たせようとしていますが、岩崎はU-20W杯でしばらくチームを離れる期間が出てくることが濃厚ですし、それまでに別の選手なり違う戦い方なりを用意する必要があるでしょう。
単純な選手の入れ替えで言えば、田村や伊東、内田あたりがサイドハーフの候補になるでしょうか。

また、中盤が大きく上下動をしなければならないために、一度攻撃に出た後に中盤とDFが空きやすくなっています。松本戦では工藤とセルジーニョにこのスペースをいいように使われたところでピンチを招いていましたね。

なので、奪われた際に切り替えを速くして相手を遅らせられるかは重要ですし、DF陣もしっかりと上げられるかもポイントになります。もちろん上述したように、不用意に前に出ると入れ替わられる危険性もあるので、ケースバイケースでの動き方なり判断なりが必要ですが。

これからGWの連戦になりますし、消耗の大きいこのサッカーでどこまでできるかは今後を占うポイントになってきます。

現時点でも闘莉王の運動量はかなり少ないですからね。空中戦とゴール前の勝負強さで成り立たせていますが、収支バランスがどれだけプラスに持っていけるかは考えておかないといけません。


今後、対戦相手はおそらく、そもそも蹴らせないようにしようという対応になってくるでしょうし、競られてもエリアに近づけないようにしたいので、前線からのプレスを強め、ハイラインでの戦いを選択してくることが予想されます。
裏に蹴られたとしても闘莉王とケヴィン・オリスのツートップには抜け出されることはほぼありませんし、ハイラインも選択しやすいはず。

京都としてはその時にも慌てずに、後方でボールを保持できるかどうかが重要になります。

スピードあるサイドハーフが高い位置を取れれば、ハイボールを競ったこぼれ球からゴール前に持っていけますからね。同様のシーンを千葉戦で多く見られたように。


元々後方から繋いでいくサッカーを志向していたわけですから、それくらいはやって欲しいところですし、布部監督の手腕を測る目安にもなると思います。

開幕からしばらくやってみて、思うようにいかないことが多いことによって仕切り直しを迫られたのが現在のパワーサッカーのはずですので。

攻撃作りの一手目をガラッと変えて、まずはリスクを減らしにいったわけですから。


とは言え、闘莉王とケヴィン・オリスのツインタワーの破壊力は相当です。コンディションさえ整っていれば相手は対応に難儀するでしょう。

前線の破壊力で相手を押し下げ、それによってできてくる中盤のスペースでボールを動かしていく形で攻撃の幅を付けられることができると良いでしょう。


今は特定の組み合わせだけで成り立つようなサッカーになっていますが、どれだけの速さで地上戦を含めたオプションを整備できるか。

闘莉王の運動量を考えると、ケヴィン・オリスだけでも効力を発揮するようにできると幅は広がりますし、まず手は出しやすいはず。闘莉王も2試合で4ゴールと爆発中ですからスタメンはそのままとして、選手交代で変化を付けられるかどうかが第一歩になるでしょう。ここ2試合は手を打とうにも打てないんだろうなという印象ですが・・・。

けれど前線で体を張れるFWとしてヨンジェと大野もいますからね。指揮官の思い切りを望みたいところです。

また、かねてから懸案のサイドハーフは田村、伊東、内田あたりが候補でしょうか。伊東はようやくベンチ入りできましたね。岩崎の離脱も近いので、この3人あたりに目処を付けたいところ。

愛媛戦の様子だとやはりエスクデロをサイドハーフで使うのは無理があるので・・・。


さらに、パワーサッカーの中では出番が限られてしまいそうですが、仙頭、望月の技巧派MFも、地上戦でのバランスを踏まえると戦力になってきて欲しいですね。

どこかでボールを動かして攻めることも必ず必要になりますし、吉野とハ・ソンミンのコンビでずっとやれるわけではないでしょうから、序盤戦で苦労しながら出場機会を積んだ2人により出てきて欲しいところです。


今季は保有戦力としてポジションごとにバラツキがあるのは何度も書いているとおりで、やろうとするサッカーもここまで定まってないので、やりくりも大変になりそうです。

そうは言ってもシーズンは進んでいきますし、チームの勝利のためにどこまで徹底できるかというのも見たいところ。

できなければ出番はなくなるでしょうし、その点に関しては布部監督はしっかりやっていると思います。

歪みはあっても結果を出していればOKとも言えますが。


パワーサッカーで打開する可能性は見えてきましたが、チーム作りはまだ停滞した印象のままです。

見えてきた可能性を広げられるかどうか。次節からの連戦で見ていきましょう。



―2017シーズン通算記録―
2勝2分5敗 勝ち点8
10得点 14失点
今節終了時点での順位:19位

【ゴール】

5点:闘莉王

2点:仙頭

1点:ケヴィン・オリス、望月、小屋松

【アシスト】

2アシスト:ケヴィン・オリス

1アシスト:岩崎、エスクデロ、ヨンジェ、大野、石櫃、湯澤、ハ・ソンミン

【累積警告】

2枚:仙頭、染谷、闘莉王

1枚:エスクデロ、吉野、高橋、ヨンジェ、大野、湯澤、ケヴィン・オリス、石櫃、菅野