2017シーズンが終わりました。
シーズンのまとめを書こうかどうか迷いつつズルズル来ていましたが、毎年書いているのに今年書かないのもどうかなぁと思い、ぐだぐだと書き始めるに至りました。
例年3〜4回に分けて書いてますが、今年は1回でまとめます。

今年はかなり忙しく、結局スタジアムに行けたのもホーム讃岐戦の1回だけ。
サッカーを見る時間もそもそも限られていて、なんとか京都の試合は時間差も含めて(と言うよりだいたい時間差観戦)全試合チェックはしました。
しかし、以前のように複数回同じ試合を見ることもないですし、このブログも月1回程度の更新に頻度を落とさざるを得なくなりました。

全然京都と関係のない楽屋話を書いていますけど、結局この辺りを打破するモチベーションになるようなものを、今季の京都は見せてくれなかったんですよ。
(今季まとめが1回限りなのも時間とモチベーションに限りがあるからです!)
代表の試合や海外サッカーよりも当然京都の試合を優先して見る時間を確保はするんですけど、そこから質的に得られるものがかなり少なかったというか。

いやまあ、簡単に言えばおもしろくなかったんですよ(笑)


そろそろ今季の話をしましょうか(苦笑)

まず前提として、昨季までチームを率いた石丸清隆監督体制を今季も続けたところでそれほどチームが進化する望みは薄かったと考えています。
これは昨季のまとめ にも書いた通り、守備の構築に一定の手腕を見せた一方、攻撃面では選手個々に依存しやすい傾向がありました。
さらに得意とする守備も攻撃面とはリンクしづらい傾向に陥りやすく、どっち付かずとなって苦しむことも多かったです。
J1への昇格を考えると、続けても昨季と同様のジレンマに嵌まる可能性が高く、指揮官を交代させるという決断は否定されるものではないでしょう。
しかし結果から言えば、布部陽功監督に替わった今季は、これまで何度も書いてきた通り何ら積み上げのないシーズンでした。
結局のところ最終的には昨季の劣化版でしかなく、昨季それなりに整っていた守備面はチグハグとなり、攻撃面ではより個々の能力に頼るものにしかなりませんでした。


一向に戦術面での整備がなされないこともあり、今季は常に下位に低迷。
一時は降格圏内も気にしなければならない状況にもなりました。
開幕当初 は3−4−3システムをベースとして、ショートパスとサイドの崩しを基盤として攻撃的に戦うことを標榜していましたが、全く機能せず。
第8節愛媛戦から は田中マルクス闘莉王を前線で起用し、ケヴィン・オリスとのツインタワーを軸にした空中戦とこぼれ球へ走り込むサッカーに活路を見出しました。ここからしばらく成績が上向き、11試合負けなしという期間 はあったものの、その中でも勝ちは5つのみ。
前半戦のまとめ でも書いたように、闘莉王は抜群の強さと決定力を見せつけてはいました。しかし、やはり懸念されていたように運動量は上がらず、彼のコンディションに大きく左右される状況にあったのが大きいでしょう。おそらくスタミナ配分を考えて意識的にでしょうけど、試合中でもペースを落とすようなこともありましたし。
とは言え、闘莉王がいなければ布部監督は他に有効な手を打てなかった感じも強いので、今から考えると彼がいてくれて本当に助かったという思いもあります。

また、このツインタワーを中心にしたサッカーも、徹底されていたわけではありませんでした。
毎試合のように序盤には後方から繋ごうとする姿勢を見せていて、布部監督からは「シンプルにやろう」という指示が度々出ていたように記憶しています。

ツートップが前線で構えていてもハイボールを入れず、タイミングを逸してバランスを崩すことも多かったですから。
これには2つ可能性があって、ひとつは選手たちが繋ぐサッカーにこだわりをもっていたこと、もうひとつは練習では繋ぐサッカーを志向していたけれど実戦配備するには至っていないと布部監督が考えていたことが考えられます。もちろん両方合わせてという可能性もあります。
前者に関しては報道や現状説明会での話でも出ていて、「布部監督が説得して納得させたことを評価する」ということが言われていたと思います。
うまく選手を説得するのは監督として必要な素養ではありますが、実際にはエスクデロ競飛王の中盤での起用が増え、地上戦への展開を目論んでいたことからすると、後者の可能性も高いようには思います。

結局攻め手をツインタワー中心にしないとどうにもならないことが続いていたので、苦しくなるとロングボールに頼らざるを得なくなりました。
しかし、事あるごとに地上戦への色気を見せていたのも確かで、どっちつかずで中途半端な印象があった のは否めません。

ただ、そもそもツインタワー中心のサッカーで活きる選手自体も限られていたので、属人的な要素はかなり高めでした。そのため、どこかで脱却を図らざるを得ないのは確かでしたが・・・
一貫して地上戦への志向を見せていたにも関わらず、形となって見えるものはほぼありませんでした。


どう攻めるかとともに、どう守るかもあやふやでした。
開幕当初は前から奪いに行こうとしたり、後ろで構えようとしたり、試合ごとに変わるような状況でしたし、シーズンを通じてどこでボールを奪うのかは曖昧なまま。
DFラインには昨季のメンバーが揃っていましたし、大嶽直人ヘッドコーチや佐藤尽コーチのように昨季のスタッフもいましたので、4バックでブロックを敷く構えがシーズンが進むごとに主流にはなりました。
しかし中盤より前はバラバラで、中盤とDFラインの間に致命的なスペースを開けることも度々見られました。さらにツインタワー主体の攻撃でサイドハーフが激しく上下動しないといけないこともより守備面での傷を広げやすくなっていました。
攻撃と守備は一体のものですので、奪うところが定まらないから逆算して攻撃に繋げることもできないし、無理に前に出ようとすると後方のバランスを大きく崩してしまうし、というような状態ですね。
昨季もツートップの守備タスクを免除したことによって守備のスタートが定まらず、結局押し込まれてしまうことが難点でした。それでも中盤とDFでブロックを築いて凌ぐことはできていました。
これに発展性があるかどうかはさておき、今季は中盤との連携が失われた劣化版でしたので、不安定になるのは当然。

昇格に可能性がほぼ絶たれた状況になってからは(9月10月 の記事)イ・ヨンジェが前線で起用されることが多くなり、合わせて仙頭啓矢も定位置を掴みました。
サイドの裏へ抜けるプレーを得意とするイ・ヨンジェと、ボールを落ち着かせられる仙頭が前線にいることで、地上戦への展開はそれまでよりは見えるようになりました。ただ、根本的にボールを運ぶ質は改善されず。
守備面でも吉野恭平をCBに下げ、全体として前目に重心を掛ける感じも出していましたが、やはり場当たり的。
シーズン最終盤 には若手選手を積極的に起用もしましたが、チーム全体として変わるわけではなく、年間を通じて攻守に渡って個々の運動能力に委ねるだけのサッカーとなってしまいました。


このような状況に陥った大きな要因としては、布部監督の手腕に依る部分が大きいです。
ここまで見たように一貫してやっている要素もありながら確固たるベースも築けませんでしたし、対戦相手によって能動的に調整を掛けるというよりも、行き当たりばったりかつ個々の能力に依存するしかないサッカーに終始したわけですから。

しかし一方で、そもそものチーム構成にも問題がありました。
この部分は今季に限らずずっと続いているところです。
2015年 はベテラン選手の多い構成でしたが、運動量の少なさどころかコンディションに調整にさえ苦しみました。また、左利きの選手、特にサイドの選手がいなかったために、幅を作れずにただでさえ苦労していた攻撃の構築に不具合をきたしてしまいました。
昨季 はサイドアタッカーのコマが明らかに少なく、やり繰りに苦労しましたね。
今季は過去2年と共通する問題に加えて、計算できるボランチまでほとんどいませんでした。
もはやどうなっているんだという感じですね・・・。

新加入の選手で見れば、闘莉王は前述の通りチーム上の核となっていながらシーズン通して90分間を戦い抜く状況にはありませんでした。それでも外す決断をできない部分も布部監督にはありましたね。また、ケヴィン・オリスも細かな負傷やコンディション不良が多く、守備の肝と目されたハ・ソンミンは集団での守備に難があるとともにラフプレーの多さが目立つだけになってしまいました。
前線の選手だけは多く揃っていたので、岩崎悠人や小屋松知哉をサイドハーフで起用したり、エスクデロをボランチに回したりなど、本職とは異なるポジションの選手になんとか頑張ってもらうことで手当てを繰り返す有様でしたからね。

小屋松がサイドハーフとしても有能であることを示し、岩崎のルーキー離れした運動能力があってこそ成り立った部分はありましたが、元から計算されたものだったとはとても思えません。
特にサイドハーフに関しては、過去にも三平和司や宮吉拓実にダニエル・ロビーニョなど、FWの選手の器用さや頑張りに依存していたことが多く、強化を預かる人間が甘く見ていることが強く出ているポジションのように思います。
これだけでなく、結局のところ強化を担当する人間が、「どういうチームを作るか」が全く描けていないと言わざるを得ません。
誰が監督になろうとも、用意された戦力を見た時にパッとイメージできないことがこの数年続いていますからね。
「このメンバーで、どういうサッカーするんですか?」という基本的なところをどれだけイメージできているのか。
クラブ運営を巡って複数人の思惑があったり、ややこしい状況になってたりするのだろうことは容易に想像がつきますが、そのあたりのことは正直興味ありません。
個人的にはピッチ上のことがすべてです。
ただ、競技面であまりに先々の絵が見えない状態であることには我慢がなりません。


結局のところ、年間を通じて感じてしまった面白くなさは、この「絵が見えない」状態に陥っていたことと、そうなる状況がシーズン序盤から予想できてしまったことにあります。
シーズン前に書いたもの では、その何かモヤモヤしたものをどうにか消化しようとしたことが出ています・・・)


予想がついてしまう、という意味では昨季もそうでした。
一昨季後半の石丸監督の指揮を見ていて、ある程度の到達点と苦しむポイントが想像でき、実際にもそうなっていったというか。
それでもそれなりに守備が整ってはいたので、予想の範囲内でもうまくやればプレーオフには行けそうという感じはありましたし、実際にもそこまでは行けました。
やはりあそこでなんとか上がれればという気持ちはまだ残っていますが・・・。

また、石丸監督と似たタイプである井原正巳監督率いるアビスパ福岡が昇格に迫り、恵まれた戦力とは言えないV・ファーレン長崎がしぶとく戦って昇格を勝ち取った今季のJ2リーグを考えると、留任させて昨季のまま戦っても昇格には近づけただろうなという気持ちも残ります。
その先の発展が見通しづらいだけに、それが今後に向けて良いことなのかどうかは断言できませんが・・・。
少なくとも、今季の惨状よりは遥かにマシでしょう。

今季の成果としては、若手選手たちの素質が良いレベルにあることを確認できたことくらいでしょうか。
それを活かせるかどうかは未知数で、現状のままでは素材を素材のまま放し飼いにしているような状態なので良い状況とはとても言えませんが。


こういった一年を過ごしていながら、来季も布部監督が指揮を執ることが決まりました。
シーズン中は、さすがにこれで来季はないだろうと思っていたのですが・・・。
その代わりと言ってはなんですが、野口裕司強化部長は退任。ここ数年の選手獲得のアンバランスさを考えると、長年クラブに貢献した方ではあるものの致し方ないでしょう。
後任の強化部長は小島卓スカウト。名古屋から移ってきて、様々な選手の獲得に動いた方であるでしょうし、布部監督とも元々繋がりのある方だそうですね。
この小島スカウトの意向が今季どのくらい働き、野口強化部長との連携がどれくらい機能していたのかは外からは分かりません。
ただ、来季こそ今季のような混乱を招かないように動いてほしいものです。

布部監督の手腕には今季を見て大いに疑問符が付く状態です。
元々、柏レイソルにて攻撃面での個人指導が得意なコーチということで評価されていた方でもありますが、その評価を最大限尊重しても、今季の様子を見ていると守備面での組織づくりは期待できません。
大嶽ヘッドコーチが退任しましたので、守備に特徴を出せるしっかりとした後任を就任させ、実権をある程度与えることが必要でしょう。
そうなるとチーム内でのバランス調整がまた難しくなってきますが、ここも強化担当にはしっかりとやってもらうしかないですね。報道では元名古屋グランパス監督のボスコ・ジュロブスキ氏の名前も出ていますがどうなるでしょうか。
監督を留任させたということにはそれなりの責任が伴いますから。それこそ布部監督の今後を考えてもね。

また、短絡的に昇格のみを目指すことにもストップを掛ける必要もあるでしょう。
たかだかJ2中位のチームなわけですから、現実を見据えてやっていくしかないのです。
素質のある若手選手には恵まれていますし、彼らの芽を大きく育てることに重点を移していくことも重要でしょう。
ここ2年はギャンブルのようなもので、それに大きく失敗したことを見つめ直し、今度こそ「種蒔き」の時期にできますように。


とりとめなく書いてきましたが、ここらで終えようと思います。
全選手評はまたやるかどうか考えます。
今季は苦しかったですね。皆さんお疲れ様でした。
特に読んで頂いている方々には御礼を申し上げます。いつもありがとうございます。
来季も頑張っていきましょうか。