前回の更新からだいぶ間が空いてしまったので、いつもと構成を変えて試合結果概要は下に配置しました。

 

さて、前半戦が終わりました。しかし、成績は上向かず、現時点で1試合消化が少ないとはいえ最下位に沈んでいます。

12節終了後に布部監督が退任し、13節からそれまでコーチを務めていたボスコ・ジュロヴスキが監督に就きました(13節は代行扱い)。

前回の記事ではボスコ監督代行で臨んだ第13節山口戦までを書きましたので、今回の記事ではボスコ体制になって変わったこととその結果、展望について書いていければと思います。

なお、都合により第19節東京V戦はハイライトしか見れていないので、それ以外の試合で感じたことを書きます。

 

 

まず目につくのはシステムの変化です。それに伴って、守り方に少し変化が出ています。

布部監督時は4バックをベースとし、昨季は4−4−2、今季はアンカーを置いて4−1−4−1の形でセットすることが多かったです。

それに対し、ボスコ監督になってからは3バックと4バックの併用となり、また、中盤の構成もアンカーを置いたりダブルボランチにしたりと細かく変えています。

どのシステムを選択するかは相手に合わせて決まっています。特に、FWと攻撃的な中盤の選手の配置によって決めているようです。

例えば、4−4−2で戦う相手に対しては、相手の2トップと両サイドハーフに合わせて4バックを選択。2トップ+トップ下や、1トップ2シャドーの場合には3バックを選択、といった具合です。

マッチアップする相手を明確にし、マンマーク気味に対応することが根底にあるためこういった形を選択しているのでしょう。


相手ボールになったときは、まず後方中央の守備ブロックを整えるとともにマッチアップの相手を捕まえることが優先事項。

続いて、持ち上がってきた相手に対してハーフウェーライン付近からプレスを掛けていきます。
ブロックの位置は基本的に低めで、後方のスペースを消しに掛かることが多いですね。

 
攻撃時は、4バックで戦う場合には中盤から一人がDFラインに下がってボール回しに参加し、3バックの場合はそのままというのが多いでしょうか。
基本的には後方からボールを繋いでいき、前線に運んでいきたい狙い。
多くはサイドを経由し、クロスから得点を狙います。

 

 

概略としては以上のようなもので、監督交代前と比べて守備時に役割がよりハッキリした一方で、攻撃時はそれほどやることは変わっていません。

昨季はどちらも行き当たりばったりでしたが、今季になって実質的にボスコさんが練習を見ていたところが多いようですので、あまり変わらないのはある意味当然かもしれません。

ただ、布部前監督が戦い方の策定を担っていたとも聞きますし、おそろしく攻撃に偏った人選や非論理的なベンチワークもありましたので、必ずしもボスコさんと布部さんの意思が統一されていたわけではないように思います。

マンマーク気味な守備も開幕直後はあったものの、その後は薄れていったり、昨季のようなあやふやなゾーン守備に戻ったりもありましたから。

体制を明確にして、やることも明確化しようという監督交代と言えるでしょうか(金銭的な面もあるでしょうけど)。

 

 

しかし結果はついてきていません。

問題として現れているのは、攻撃の拙さによってカウンターを受けやすいことと、中央の守備で持ち堪えられないことです。

ここには、やろうとしていることと選手の特徴が合わず、無理にあてはめているような部分も影響しています。

 

 

前述の通り、後方からパスを繋いで崩していきたいというのがチームの志向。

サイドを崩すためにサイドバックの位置を高くして攻撃に絡ませるのが特徴で、右は石櫃がいることを考えると当然のところ。

一方で左サイドの本多は攻撃に特徴のある選手ではないので、相手もそこを狙っていますし、実際に攻撃も詰まりやすくなっています。

3バックにして左ワイドに小屋松を配置するのはその対策もあってでしょう。3バックの左センターバックなら本多もやりやすいですから。

 

より大きなポイントとしては中盤。

エスクデロのアンカー起用が多かったのですが、これは攻撃の起点として期待してのもの。

しかし、もともと最前線の選手であるため、中央の限られたスペースで顔を出してパスを受けて捌くのはあまりうまくありません。

中盤の底でボールが落ち着かなければ当然前進させることは難しくなります。

じゃあ前線で使えば・・・という話にもなりそうですが、エスクデロはあまり裏抜けをするタイプでもなければハイボールを競り合えるわけでもないし、かと言って守備面で特徴を出せる選手ではないので、現状はFWでは難しいと。本人にも中盤志向が強く見えましたし。

トップ下起用もありましたが、相手の中盤の形に合わせて前に置いている印象でしたので、役割としてはそんなに変わらなかったかと思います。

いろいろ置きどころを模索した結果が、両脇に運動量のある選手を置いて守備をサポートしながらのアンカー起用だったのでしょう。

結構無理やりな感じもありますが、他にないと言えばないし、圧倒的な個人能力をどうにか組み込みたいのも確かという悩みどころでした。

このあたり、圧倒的に前線で強さを発揮できる素地はあるものの、コンディション不良のためにほとんど動けない闘莉王にも似たようなことが言えます。

 

・・・と、これだけの試行錯誤があって、それでもうまく行かないなぁという感じでしたが、いきなり移籍しちゃうことになりましたね。うーん。

今までの実験はなんだったんだ感もありますが、一方でこれですんなりハマるようになるのかもしれません。

福岡、望月あたりがアンカーの候補になってくるでしょうか。

救いは2種登録の福岡が攻守ともにスムーズにやれているところで、能力の高さを感じさせます。

高校生に頼るのもどうなんだ(特に他の選手たち)感もありますが、京都的には慣れているので大丈夫。だ、大丈夫・・・。キーパーも高卒一年目だし。だし。。。

 

で、後方からのボールの繋ぎが上手くいかないと、カウンターの餌食になります。

特にサイドバックを前に出していることもあって、奪われた瞬間にはスペースができやすい状態ですので。

奪われた直後には、なんとか前線の選手がプレスを掛けて攻撃を遅らせようとしますが、そこで引っ掛けられないと厳しくて。

センターバックの染谷と増川はスピードのある選手ではないので、スペースに走られると辛い。

また、元々マンマークベースで後方を整えているので、攻撃から守備に切り替えた際にズレが生じやすいです。攻撃時にポジションを変えていればいるほどズレは大きくなります。

慌てて両サイドが戻っても、中盤の選手とサイドバックが重なることも多く、まだまだ整理されていない状態ですね。

 

そもそも攻撃で詰まらなければそういった局面は減らせますし、得点の機会も増えてきます。

実際、スムーズにセンターバックから縦パスが入れば良い攻撃に繋がります。

愛媛戦の岩崎のゴールが代表格ですね。うまくエスクデロがスペースに顔を出しながら短いパスで前進していけました。

パスを出す側であるセンターバックの技量と、中盤の選手がうまく相手の間で受けて前を向けるかの技術の組み合わせですね。

選手のチョイスに負うところが現状では大きいかもしれません。

エスクデロが抜けた後、どういう組み合わせを選ぶかによって、ここが向上すれば攻守ともに改善がなされるはずです。

 

 

もう1点、守備の問題としてはセットした後にもあります。

後方にブロックを敷き、ボールが入ってくるところをマンマーク気味に潰していくのが通常の形。

中央をしっかりと締められれば、相手はブロックの外側を回すしかありません。

ただ、そうやって相手がサイドを変えていく過程では守備側もスライドしていく必要があります。

京都はここが遅いですし、大外を上がってくる選手のケアが遅れ気味にもなっています。

割り切ってしまって、中央できっちり跳ね返すことを優先する選択は有りですし、京都もその様子があります。

しかし、肝心のクロスを跳ね返せないと効力は発揮しません。

センターバックの2人は縦方向のハイボールには強いのですが、横から来るクロスへの対応時に相手を捕まえきれないところがあり、良い形でクロスを上げられると、中で不利な状況に陥りやすくなります。ステップが遅いのもあるし。

セットプレーで失点が多いのも、ゾーンだからマンマークだからというよりも単純にここの部分が大きいです。

 

また、攻撃優先でアンカーにエスクデロが据えられていたこともあって、中央のスペースもケアできずにショートパスで中盤とDFの間に入ってこられることも。

サイドチェンジの局面に限らず、単純に中盤の守備力が足りずに奪いきれないことも状況を難しくしています。

宮城が中盤にいるとまた違うのですが、怪我がちで安定して出場できないのも痛いです。

また、本来そこを買われて加入したはずのカセラスが戦力にならないまま退団という誤算もありました。彼も怪我がちでしたが、出場したときの様子を見ていると、スペースを管理できるわけではなさそうだったので、中盤のフィルター役としては厳しかったと思います。

 

 

どんな場合であっても、スペースも相手もすべてを守備で管理することはできないので、セオリーとしては「どこまでやらせていいか」を考えることになります。

しかし、現状では奪えるところでも奪えず、さらに相手にいろんな選択肢を作れる機会を与えてしまっています。

ないものねだりはできないので、現状の戦力をもってどこかで無理をしても、相手に制約をかけられるように考える必要があるでしょう。

 

まず前提として、DFとMFの距離をしっかりと保つ必要があります。

中盤の選手がプレスに出たとき、DF陣が裏を取られるリスクを背負ってでもラインを上げられるか。

今はスピード面の不安に加えて、中盤の選手が外されることもあって躊躇しているところもあります。

それによって余計に間が空きやすい。やられているから怖さも大きくなってまた上げられずという負の連鎖。

また逆に、相手が深い位置に持ち上がってきたときに中盤が引き過ぎないというのも大事です。

クロス対応を怖がって中盤も引き過ぎてしまうために、相手が余裕を持って攻撃を作り直せるし、奪えても攻撃に出づらくなっていますから。

 
単純に高く保てばいいというわけでもないです。

松本戦なんかは前田大然を警戒して全体を下げることが共通認識としてありましたが、むしろバランスは良かったです。

攻撃は岩崎のスピードを活かしたロングカウンター一本になりましたが、やり方としては有りでしょう。

 

 

もしかすると、試合ごとに変えすぎているのかもしれません。

今回プレシーズンから仕込めているわけではないですし、結果も出ていないことで臆病さがプレーにも出ている状態です。

前向きな状況なら冷静に対応できるので、試合ごとに布陣を変えても取り組めますが、今はそこまでの余裕が選手にもなさそう。

もちろん基本的な戦い方が変わっているわけではなく、相手の出方を踏まえてスタートポジションを変えているだけなんですが、余裕が無いとそれすらもストレスになってしまいます。

カウンターを受けたときの対応が定まらないのは、布陣の変化によって戻るべきところの認識がズレているからにも思えます。

 

 

じゃあどうしていくのがいいのかという話になるんですが、中央を締めつつサイドの攻撃を活かすという意味では、小屋松と石櫃を両翼に配した3バックで固定してしまうのが良いように思います。

負傷者が多数出てイレギュラーな展開になってしまいましたが甲府相手に凌ぎましたし、前述の通り松本戦も悪くなかったですので。

カウンターへの備えはある程度枚数を割くしかないですし、クロスへの対応を考えても最初から3枚のセンターバックを置いておく方が良いでしょう。

攻撃面では、ここまで何度か触れているようにどれだけ中盤の選手がボールを引き出せるかが鍵です。

岩崎、小屋松、湯澤など一対一で優位に立てるアタッカーがいることを生かさない手はないですし、彼らがドリブルで勝負できる状況を作り出すためにも、ボールを動かして中央に相手を集めつつ、サイドによりスムーズに持っていけるかどうかですね。
加入が発表されたジュニーニョも同系統の選手のようですし。
そういう意味では、あまり繋ぐことに拘る必要もないのですが・・・。
松本戦のようにロングカウンターを狙うのも手ですし、少なくとも中盤で奪ったら素速く前線の選手を走らせるのは有効なはずです。
福岡、重廣と運動量に持ち味のある選手も多いですし、前向きに走れる場面を増やすことが重要でしょう。
 
 
順位的に難しい状況にあり、なかなかチャレンジしづらい精神状態であるとは思います。
それでもこれを乗り越えなければ自力での残留はありません。
一方でこれは、若い選手にとっては精神的に成長するチャンスでもあります。
なんとか彼らに乗り越えてほしいですね・・・。
 

 

 

第14節
5月12日(土)16:04@西京極 天候:晴
徳島 1−0 京都
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/game/2018051214/data.php
【京都出場メンバー(3−4−2−1)】
GK若原。DF右から染谷、増川、下畠。MF右から湯澤(71分:→ロペス)、重廣(56分:→エスクデロ)、カセラス(HT:→望月)、小屋松、2列目に仙頭、岩崎。FW闘莉王。
【得点】
徳島:小西(27分)
京都:なし

【警告】
徳島:大本(54分)、シシーニョ(87分)、杉本(95分)
京都:増川(52分)、エスクデロ(98分)


第15節
5月20日(日)17:03@ニンスタ 天候:曇

愛媛 1−2 京都
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/game/2018052015/data.php
【京都出場メンバー(3−1−4−2)】
GK若原。DF右から染谷、増川、本多。MFアンカーにエスクデロ、右から石櫃、重廣(81分:→闘莉王)、仙頭、小屋松(81分:→田村)。FW岩崎、大野(74分:→沼)。
【得点】
愛媛:有田(77分)
京都:大野(52分:←染谷)、岩崎(61分:←本多)

【警告】
愛媛:なし
京都:なし

 
 

第16節
5月26日(土)15:03@西京極 天候:晴

京都 0−2 横浜C
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/game/2018052603/data.php
【京都出場メンバー(4−3−3)】
GK若原。DF右から石櫃、染谷、増川、本多。MF右から重廣(62分:→牟田)、エスクデロ、仙頭。FW右から岩崎、大野(58分:→闘莉王)、上月(HT:→小屋松)。
【得点】
京都:なし
横浜C:レアンドロ・ドミンゲス(51分)、イバ(71分)

【警告】
京都:増川(29分)、エスクデロ(60分)、岩崎(66分)

横浜C:武田(18分)

 
 

第17節
6月2日(土)19:03@石川西部 天候:晴

金沢 1−3 京都
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/game/2018060206/data.php
【京都出場メンバー(4−3−3)】
GK若原。DF右から石櫃、染谷、増川、本多。MF右から仙頭、エスクデロ、宮城。FW右から岩崎(91分:→上月)、ロペス(54分:→大野)、小屋松(90分:→福岡)。
【得点】
金沢:佐藤(94分)
京都:仙頭(22分)、石櫃(76分:←エスクデロ)、大野(88分:←仙頭)

【警告】
金沢:マラニョン(38分)

京都:エスクデロ(63分)
 


第18節
6月9日(土)15:00@西京極 天候:晴

京都 0−1 松本
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/game/2018060901/data.php
【京都出場メンバー(3−5−2)】
GK若原。DF右から染谷(70分:→牟田)、増川、本多。MF底にエスクデロ、右から石櫃、仙頭、福岡(84分:→ロペス)、小屋松。FW岩崎、闘莉王(48分:→大野)。
【得点】
京都:なし
松本:前田大(77分)

【警告】
京都:なし

松本:パウリーニョ(63分)


第19節
6月16日(土)18:03@味スタ 天候:雨

東京V 3−1 京都
試合記録: http://www.sanga-fc.jp/game/2018061603/data.php
【京都出場メンバー(4−2−3-1)】
GK清水。DF右から石櫃、牟田、下畠、本多。MF底に重廣(61分:→小屋松)、福岡、前に右から仙頭、エスクデロ、岩崎。FWロペス。
【得点】
東京V:林(36分、75分)、佐藤(53分)
京都:ロペス(21分:←エスクデロ)

【警告】
東京V:田村(2分)

京都:重廣(60分)、ロペス(80分)
 


第20節
6月23日(土)18:03@西京極 天候:曇

京都 0−3 大宮
試合記録:
http://www.sanga-fc.jp/game/2018062304/data.php

【京都出場メンバー(4−2−3-1)】

GK清水。DF右から石櫃、染谷(77分:→牟田)、増川、本多。MF底に重廣、福岡、前に右から仙頭、エスクデロ(62分:→大野)、小屋松(69分:→湯澤)。FW岩崎。
【得点】
京都:なし
大宮:茨田(40分)、大前(54分)、マテウス(75分)

【警告】
京都:なし

大宮:なし

 

 

第21節
6月30日(土)18:03@中銀スタ 天候:晴

甲府 1−1 京都
試合記録:
http://www.sanga-fc.jp/game/2018063001/data.php

【京都出場メンバー(5−1−2-2)】

GK清水。DF右から石櫃、染谷、増川、宮城(23分:→小屋松)、本多(72分:→磐瀬)。MF底にエスクデロ(85分:→望月)、前に重廣、福岡。FW仙頭、ロペス。
【得点】
甲府:リンス(20分)
京都:福岡(16分)

【警告】
甲府:なし

京都:仙頭(82分)、増川(97分)




−2018シーズン通算記録−
4勝4分13敗 勝ち点16
18得点 33失点
今節終了時点の順位:22位

*豪雨の影響により第22節は延期

 

【ゴール】
5得点:ロペス
3得点:小屋松
2得点:重廣、大野
1得点:染谷、闘莉王、岩崎、仙頭、石櫃、福岡

【アシスト】
4アシスト:仙頭
2アシスト:石櫃、エスクデロ
1アシスト:闘莉王、岩崎、染谷、本多

【累積警告】

3枚:石櫃、エスクデロ、増川

2枚:本多、重廣、仙頭
1枚:小屋松、宮城、闘莉王、大野、岩崎

 

*染谷、ロペスは累積警告4枚での出場停止が1度アリ
*宮城は天皇杯での退場処分によりリーグ戦1試合出場停止(第18節)