前回の記事では、3連勝の後に甲府と引き分け、ようやく降格圏を脱出したところまでを書きました。

そこから8試合を消化し、9月頭からの4試合は2分2敗と苦しんだものの、その後3勝1敗と好成績を挙げました。

特に残留争いの直接対決となった熊本戦に快勝したことが大きく、降格圏とは勝ち点8差をつけました(ただし、20位の讃岐は1試合未消化)。

さらに順位も岐阜をかわして19位に浮上しています。

まだ讃岐との直接対決を残しているので、残留が確定したとは言えませんが、前回の記事時点での危機的な状況からは脱したと言えそうです。

 

 

8月に3連勝を果たした勢いで勝ち点を積み重ねることができれば良かったのですが、前述の通り9月頭の4試合は苦しみました。

夏に加入した選手も多いために、組み合わせやコンディションに左右されるところが大きく、まだまだ不安定な様子でしたね。

8月にコンディションが上がってきたのかと思わせた闘莉王もまた欠場を重ねていましたし、金沢戦ではカイオとロペスのツートップが攻め残りして守備に加わらない割に攻撃面でも動けないなんてこともありました。

またボスコ監督にも流れを変えようと苦心したのか、それとも迷いが生じていたのか、今ひとつ理解しがたい采配やプレー選択も見られました。負けていた状況とはいえ、横浜戦で石櫃を右CBに置いた3バックにしたり、岡山戦や栃木戦で長身選手を3枚並べたのに大してハイボールを入れるわけでもなかったり・・・

(岡山戦の同点ゴールは結局パワープレーだったんですが・・・笑)

栃木戦の後は自らのミスだったと認めていましたね。

ただ、なかなか勝てなかった時期と比べると、少なくともしっかり対人守備を頑張って粘り強くやろうとしていましたし、苦しみつつも敗戦濃厚の試合でドローに持ち込めたという印象もありました。

 

 

京都の戦い方として、基本的に守備はマッチアップをハッキリさせるために相手と布陣を噛み合わせることが多いです。

これは守備面で対応をハッキリさせることを優先しているものだと思いますが、先に失点してしまうと相手は無理に出てくる必要がなくなります。

そうすると裏返しで、マッチアップのハッキリしたところから相手を外してボールを運んでいく必要が京都に生じます。

しかしそこまで構築された攻撃はなく、奪われて不用意に前に出ているところにカウンターを食らう。

そうなるとさらなる失点を恐れて引きこもりがちになり、FWは孤立して、さらにボールを前に運べない。

もともとセンターバックにスピードに欠ける染谷と増川のコンビが起用されることが多いため、まずはラインを下げて安全策を取ろうとすることや、中盤にそれほど守備の強い選手がいないことも影響しています(ヘニキのフィジカルに圧倒された栃木戦は象徴的でした)。

おおよそこういった流れが悪いときに見られるものです。

 

 

それが、最近4試合になってやや流れが変わりつつあります。

相手の布陣にかかわらずスタートは4−4−2で固定し、ボランチに重廣、センターバックに牟田が定着しました。

また、小屋松の状態が良くなり、こちらも右サイドハーフでスタメンを掴んでいます。

 

牟田は京都に加入してからこれまでなかなか状態が上がらず、今治への期限付き移籍もあったなど苦しんでいました。

しかし増川が出場停止となった第26節東京V戦から、主に3バック選択時のセンターバックの一角として、高さもありながら染谷・増川よりも機動性のある積極的な守備を見せるようになっていました。

そのプレーぶりが評価され、石櫃が出場停止となった第22節延期分の福岡戦で4バック時でもスタメンに。

この試合では染谷を右サイドバックに出しての起用でしたが、増川が負傷してしまったこともあってその後も継続してスタメンになっていますね。

巡り合わせをついにうまく掴んだという印象です。

 

牟田が入ったことによって、ズルズルとラインを下げることがなくなりました。

牟田は前に出て潰せますし、競り合いにも強い。

また、相方を務めることの多い染谷にとっても、牟田のカバーリングに集中できることでいいように回っている印象もあります。

加えて、小屋松を軸にスピード豊かなサイドハーフが積極的に前から追うことによって、相手のビルドアップを阻害することも多くなりました。ボランチに定着した重廣も同様に前から潰しに行けますし。

 

昨季もそうでしたが、単発であっても小屋松や岩崎のスピードで追われると相手としては脅威で、慌ててミスをすることも多いです。

さすがに首位を争う大分は京都の前線を引きつけてから重廣の裏を取る形で何度もチャンスを作ってきましたが、J2リーグの平均的技量から行くと(上位チームであっても)嵌め込めるチャンスは多いです。

そこからのショートカウンターで先手さえ奪えれば、しっかりと守備を固めつつ、今度は岩崎や小屋松のスピードが攻撃面で活きてくるという流れですね。

闘莉王やカイオがいる分、セットプレーを奪うだけでも相手にとっては怖いですし。

相手が終盤にパワープレーに出てきても、闘莉王を下げて対処することができますし、個々のコンディションが上がってきたところでうまく流れに乗れた感があります。

前線の守備と牟田の充実が重なって、うまく回っているというところでしょうか。

 

 

そう思うと、福岡戦で染谷を右サイドに出すとともに牟田を起用した選択は大きかったですね。

栃木戦でマッチアップをハッキリさせた結果、フィジカル勝負でボロボロにやられる酷い負け方をしたことが影響したかもしれません。

4−4−2の福岡に対して、守備をしっかりしたいという意識も働いていたでしょうし、石櫃がいない中では3バックに近い感覚で牟田、増川、染谷と並べることにしたのでしょう。

一方で攻撃にも枚数を割きたい中で、引きこもっても守れないという現実から、積極的に前に出ていくことにした面もあったかもしれません。もちろん、闘莉王とカイオのツートップが高さで競り勝ったり、キープできるようになってきたりというところで、前に出やすくなっているところも関係しているはずです。

もう一度改めて球際をしっかり戦おうという確認もできましたし、福岡戦で言えば増川の負傷で入った宮城もよくやってくれました。
これまでも時折前線からの守備に傾けようというところはありつつも、結局ズルズル下がることが多かったです。
それだけに、シーズン終盤で遅すぎる感ももちろんありますが、なんとか降格を回避できそうなところまで持ってこれたのはホッとするところです。
 
 
シーズンも残り5試合になりました。
早めに残留を確定させ、安心して来季のことを考えたいですね。
それくらい今季は厳しいシーズンになっていますし。
とは言え、「来季のことをクラブ上層部がどこまでちゃんと考えているのか」というところに考えを持っていくと、頭が痛くなってくるのが辛いところです。
結局の所、一番の弱みはこういうところなんでしょうけど。

 

 

第31節
9月1日(土)18:03@ニッパツ 天候:晴

横浜C 3−1 京都
試合記録:
http://www.sanga-fc.jp/game/2018090104/data.php

【京都出場メンバー(4-2-3-1)】

GK若原。DF右から石櫃、染谷、増川、本多(77分:→黒木)。MF底に金久保(HT:→ロペス)、庄司、前に右から仙頭、重廣、ジュニーニョ(72分:→小屋松)。FWカイオ。

【得点】

横浜C:イバ(14分)、北爪(69分、71分)
京都:重廣(67分)

【警告】

横浜C:なし

京都:ジュニーニョ(69分)

 

 

第32節
9月8日(土)19:03@西京極 天候:曇のち雨

京都 0−0 金沢
試合記録:
http://www.sanga-fc.jp/game/2018090804/data.php

【京都出場メンバー(4-4-2)】

GK清水。DF右から石櫃、染谷、増川、本多。MF右から金久保(85分:→闘莉王)、庄司、重廣、仙頭(60分:→ジュニーニョ)。FWカイオ、ロペス(69分:→岩崎)。

【得点】

京都:なし
金沢:なし

【警告】

京都:なし

金沢:垣田(78分)

 

 

第33節
9月15日(土)19:03@Cスタ 天候:曇

岡山 2−2 京都
試合記録:
http://www.sanga-fc.jp/game/2018091506/data.php

【京都出場メンバー(3-4-2-1)】

GK清水。DF右から染谷、増川(59分:→ロペス)、牟田。MF右から石櫃、庄司、重廣、本多、前にジュニーニョ(75分:→闘莉王)、岩崎(64分:→仙頭)。FWカイオ。

【得点】

岡山:イ・ヨンジェ(8分)、仲間(54分)
京都:カイオ(21分:←石櫃)、ロペス(91分)

【警告】

岡山:塚川(68分)、久保(83分)、齊藤(85分)

京都:なし

 

 

第34節
9月22日(土)17:03@西京極 天候:晴

京都 0−2 栃木
試合記録:
http://www.sanga-fc.jp/game/2018092204/data.php

【京都出場メンバー(3-3-2-2)】

GK清水。DF右から染谷、増川、牟田(72分:→仙頭)。MF右から石櫃、庄司、本多、前に金久保、小屋松(59分:→ロペス)。FWカイオ、ジュニーニョ(HT:→闘莉王)。

【得点】

京都:なし
栃木:福岡(18分)、アレックス(27分)

【警告】

京都:石櫃(56分)、染谷(59分)

栃木:なし

 

 

第22節延期分
9月26日(水)19:03@西京極 天候:雨

京都 1−0 福岡
試合記録:
http://www.sanga-fc.jp/game/2018092603/data.php

【京都出場メンバー(4-4-2)】

GK清水。DF右から染谷、牟田、増川(26分:→宮城)、本多。MF右から小屋松(93分:→金久保)、重廣、庄司、仙頭(75分:→ジュニーニョ)。FWカイオ、闘莉王。

【得点】

京都:小屋松(34分)
福岡:なし

【警告】

京都:カイオ(10分)、庄司(58分)、闘莉王(62分)、ジュニーニョ(83分)

福岡:なし

 

 

第35節
9月30日(日)16:00@えがおS 天候:曇

熊本 0−4 京都
試合記録:
http://www.sanga-fc.jp/game/2018093007/data.php

【京都出場メンバー(4-4-2)】

GK清水。DF右から石櫃、染谷、牟田、本多。MF右から小屋松(77分:→金久保)、重廣(84分:→黒木)、庄司、仙頭。FWカイオ、闘莉王(83分:→ロペス)。

【得点】

熊本:なし
京都:本多(17分:←石櫃)、闘莉王(20分:←カイオ、81分:←石櫃)、小屋松(74分:←仙頭)

【警告】

熊本:なし

京都:仙頭(55分)

 

 

第36節
10月7日(日)14:03@大銀ド 天候:晴

大分 2−1 京都
試合記録:
http://www.sanga-fc.jp/game/2018100706/data.php

【京都出場メンバー(4-4-2)】

GK清水。DF右から石櫃、染谷、牟田、本多。MF右から小屋松(78分:→ロペス)、重廣、庄司(80分:→岩崎)、仙頭(60分:→ジュニーニョ)。FWカイオ、闘莉王。

【得点】

大分:小手川(13分、66分)

京都:カイオ(6分)
【警告】

大分:福森(53分)

京都:染谷(43分)、ジュニーニョ(93分)

 

 

第37節
10月13日(土)17:03@西京極 天候:晴

京都−0 徳島
試合記録:
http://www.sanga-fc.jp/game/2018101304/data.php

【京都出場メンバー(4-4-2)】

GK清水。DF右から石櫃、染谷、牟田、本多。MF右から小屋松(68分:→仙頭)、重廣(78分:→金久保)、庄司、岩崎(84分:→ロペス)。FWカイオ、闘莉王。

【得点】

京都:闘莉王(3分:←石櫃)

徳島:なし
【警告】

京都:牟田(11分)、重廣(38分)、仙頭(80分)

徳島:杉本(3分)、バラル(45+3分)




−2018シーズン通算記録−
10勝7分20敗 勝ち点37
36得点 51失点
今節終了時点の順位:19位

 

【ゴール】
10得点:ロペス

5得点:小屋松

4得点:闘莉王

3得点:重廣、カイオ
2得点:大野
1得点:染谷、岩崎、仙頭、石櫃、福岡、庄司、ジュニーニョ、増川、本多

【アシスト】
6アシスト:仙頭、石櫃

2アシスト:エスクデロ、染谷、カイオ
1アシスト:闘莉王、岩崎、本多、金久保

【累積警告】

4枚:重廣、仙頭
3枚:エスクデロ、本多、ジュニーニョ

2枚:闘莉王、染谷
1枚:小屋松、宮城、大野、岩崎、福岡、ロペス、増川、カイオ、庄司、牟田

 

*染谷、ロペス、増川、石櫃、重廣、仙頭は累積警告4枚での出場停止が1度アリ
*闘莉王は一発退場による出場停止が1度アリ
*宮城は天皇杯での退場処分によりリーグ戦1試合出場停止(第18節)