研究者は人生をかけてどこかに眠る大発見という金脈を探し続ける。
精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫)/立花 隆

今回読んだのは15年も前に書かれた本で、立花隆利根川進にインタビュー形式で、大半が利根川氏の生い立ちからノーベル生理学医学賞までの道程を示し、最後に精神世界は科学によって紐解かれてしまうのかについて展開される。高校で生物をやっていない人でも、もちろん文系でも利根川進独特のあどけない話し方と図解で楽しくわかりやすい構成となっている。どちらかというと1人の偉大な科学者の人生論にフォーカスしたものではと個人的に思うた。

<利根川氏から学べるもの>
・DNA>遺伝子。実は遺伝子以外に進化の過程で不要になったものなどが蓄積されている。
・失敗には2つある。仮説の立て方で間違うか、検証の方法で間違うかだ。
・迷ったら行く<利根川氏は海外の大学院に入学しちゃった
・常にその分野での世界の中心にいる。そうすれば最新の情報とトレンド、人脈が得られる。
・今まで学んだ全てをリンクさせて問題に立ち向かう。
・生命の発生と進化は物質的偶然の積み重ねが生んだもの<この世の中に必然なんてねぇ
・自分が本気でconvinceしていることならいつかみんなをconvinceさせられる。
・出発地点、ゴールでの解釈、立場の違いによって答えは変わる。
・重要なのはテクニカルなアイディアではなく、コンセプチュアルなアイディア。
・あと深く悩まず、だけど四六時中そればっかりを考える<じゃないと偉業は成せねぇ
そして最後に一番おもろーな学びを紹介すると(以下イタリック体は引用)
「抗体遺伝子の研究からいえることは、遺伝子が生命現象の大枠を決めているが、あるていど偶然性が働く余地を残しており、環境は、この偶然性に基づく多様性の範囲内で選択することができる、ということです」

理系だからか、分野は違っても、その生き方に激しく共感してしもうた。
ただ自分は改めて科学者には向かないのかもと思うた<高学歴ワーキングプアになりそうw
でもでも脳科学や遺伝学…つまり人間の本質-我々はどこから来て、どこに向かうのか-てのが僕の中でとても興味があるので、もうちょっとだけこの分野を勉強したいと思う今日この頃。