先日、うちの近所を歩いていたら、

こんな格言を書いた車が止まっていました。


時は金なりの車


「時は金なり」。


スピード違反で捕まっても、言い訳は完璧です。

どうも、こんにちは。時間も金もない男、ちだいです。


先日、誕生日を迎え、免許の更新に行ってきた僕。

しかし、僕はその免許センターで恋に落ちました。


相手の女のコは、免許の更新を受け付ける窓口で

働いていたお姉さん。推定ルックス偏差値70以上。

安めぐみに似た超和風美人の女のコでした。


僕は手続きしてもらうべく列に並んでいる間、

そのお姉さんが働く姿を一瞬たりとも逃さないように

ガン見しながら、書類を握り締め、ドキドキしながら

待っていたんですが、その時、ふと重大なことに

気づいてしまいました。


列は1列、窓口2つ。


そうです。このまま並んでいても、あの安めぐみ似の

ものすごくカワイイ和風美人の女のコが僕の書類を

受け付けてくれる可能性は、およそ50%。


このロシアンルーレットにハズれた場合には、

その窓口の隣にいる、マツコ・デラックス みたいな顔した

女の人が僕のお相手となって、書類を処理するのです。


この状況を車に例えるのなら、僕が恋をしたお姉さんは

メルセデス・ベンツやBMWといった、誰もが憧れる

高級ブランドカー。そして、その隣の窓口にいる女の人は、

タンクローリーかコンクリートミキサー車です。


大型免許を持っていない僕には、

マツコ・デラックスは運転できません!


僕は並んでいる間、ひたすら神様にお願いしていました。

念ずれば、開けるかもしれない恋の道。僕が描いた

この道路は、どこまでも和風美人に一直線です。


どんどん近づいてくる2つの窓口。

ついに、僕の番が次に迫った時、僕の目の前では、

マツコ・デラックスに処理されているジジィと、

超和風美人に処理されているババァがいました。


ちなみに、このババァにいたっては、おそらく40代後半で、

既に20歳前後のお子さんがいてもおかしくないビジュアルを

しているにもかかわらず、デニムのスカートの上は

アルバローザのお花柄という、免許は更新されても

ファッションの時代性が10年前から更新されていない、

「時間が止まってしまった症候群」の女の人でした。


さあ、どっちなんだ! どっちなんだぃ!?

と、次の瞬間です。僕が送り続けた熱視線を察して

空気を読んだのか、ジジィが手続きにもたついている間に、

「時間が止まってしまった症候群」の女の人の手続きが完了!

千載一遇の大チャンスが、僕のところに転がり込んだのです。


「チェックメイト!」。


僕の心臓は、高鳴りました。あぁ、どうやって告白しよう。

この手続きというわずかな時間に、この想いを伝えるのは

とても難しいことだとです。


「列に並んでいる間、ずっとあなたが好きでした」。


いや、これではダメです。あまりにも突然すぎる告白ですし、

僕にとっては、この列に並んでいる間が3年にも4年にも

感じられましたが、実際には3分か4分ぐらいがいいところ、

想いの時間が短すぎます。


「彼氏いる その赤信号 止まらない」。


交通標語ならぬ、恋愛標語で攻めてみる。

この恋に、スピード制限なんてありません。

これだ、これしかない。車は赤信号を無視できないけど、

恋の赤信号は、情熱があれば青にだってできるんです。


それに、もし彼女の信号が今は赤だったとしても、

青にならない信号はない。そう信じて待ち続けます。


「これから二人で、地球の果てまで続いている、

このラブ・ハイウェイをドライブしてみませんか?」。


僕の脳内では、彼女が助手席に乗っていて、

うっかり「今夜は帰りたくない」と言われ、

海辺のラブホテルに入るところまで妄想していました。

この一歩は、僕が超和風美人の女のコと付き合うための

偉大なる第一歩である。さあ、行くんだ、俺!


と、次の瞬間。とても信じがたい悪夢が僕を襲いました。

超和風美人の窓口の目の前に立とうとしたその時、

突然、時間が止まってしまった症候群の女の人が踵を返し、

「あのー、さっき言い忘れたんですけどー」と言い出して、

超和風美人の女のコがいる窓口に戻ってきたんです。


すると、このタイミングを見計らっていたかのように、

隣のジジィの手続きが終了。化粧の厚さといい、

グラマラスな体格といい、マツコ・デラックス以外の

表現が見当たらない女の人が・・・。


「次の方、こちらへどうぞ」。


一瞬、僕に言ったんじゃないと思いました。

僕は既に半分、超和風美人の窓口に行きかけてますし、

ここで言う「次の方」っていうのは、僕の後ろの人に違いない。


しかし、僕の後ろにいた若い青年は、僕と同じように

和風美人かマツコ・デラックスのロシアンルーレットに

挑戦していたのでしょう。「マツコ・デラックスが呼ぶのは

オマエのことだろ?」と言うかのごとく、断固拒否!


僕が涙目になり始めている間に、

窓口のマツコ・デラックスが、もう一度言いました。


「次の方、こちらへどうぞ」。


僕の免許は、最大でも8トンの車しか運転できないんです。

申し訳ないんですが、僕はマツコ・デラックスさんの窓口に

行くわけにはいか・・・・・・、


イィィィヤアァァーーッ!


僕がもう一度、彼女に会えるのは、3年後の誕生日。

その時は、その時こそは、3年分の想いを伝えようと思います。

ありったけの彼女への想いを車に積んだら、過積載になって

しまうかもしれませんけどね。


P.S.

マツコ・デラックス似のお姉さんも優しかったです。

次は大型免許を取ってみるのも、悪くないな。