「中島みゆき『世情』に思うこと~中島みゆき作品解説~」S3577

 

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◇更新履歴
V
1.0:2013.2.21 初稿 

V1.1:2024.2.02 歌詞の追加及び是正

V1.2:2024.2.08 オフシャル動画・音源へのリンク

V1.3:2024.4.30 中島みゆき展での画像を掲載


■「世情」編曲者:福井峻・吉野金次


19878年4月10日発売の4枚目のオリジナルアルバム『愛していると云ってくれ』の9曲目(全9曲)

 

 

◆ミュージシャン(アルバム全体でのクレジット)
01. ドラムス:
つのだひろ
02. ギター:増田俊郎
03. べース:後藤次利
04. ピアノ:坂本龍一
05. パーカッション:斉藤ノブ

 

◆演奏実績

01.1979年 コンサートツアー春

02.1979年 コンサートツアー秋

03.1985年 コンサートツアー1985「のぅさんきゅう」 

04.2012年 「中島みゆきコンサートツアー2012~13」

 

◆2013.2.21 夢野旅人 2024.2.2追記及び修正

ガラスのジェーネレーション 

さよならレーボリューション 

つまらない大人には なりたくない 

So one more kiss

 to one more kiss 

to one more kiss to me

 

佐野元春の「ガラスのジェネレーション」1980年10月21日リリースのセカンドシングル。

 

少年のころ。

つまらない大人にはなりたくないと思っていた。

と、2013年、この記事に書いてありましたがホントかな。

 

中学の頃、初めて聴いたとき。

古くさい歌謡曲のエッセンスが微塵も感じさせない佐野元春の楽曲に衝撃を受けたのは確か。

 

けど、「つまらない大人」の意味など、高々10代がわかるはずもない。ただの狭い世界でのイメージしか他ならない。

 

で今。

大人になって、「つまらな・くな・い大人」になれたかというと、大概の人が「ごめんなさい」でしょう。

 

中島みゆきの「世情」。

(去年から今年にかけて行われた)「中島みゆきコンサートツアー2012~13」。

 

(残す公演は、追加公演である5月のフェスティバルホールだけなので書きますが)スポーツ紙でご存知のとおり27年ぶりに、

「世情」がステージで歌われました。

 

1978年4月10日のアルバム『愛していると云ってくれ』の収録曲。

 

1981年3月20日に、TBS系テレビドラマ『3年B組金八先生』第2シリーズで放送された第24話「卒業式前の暴力(2)」。加藤優(直江喜一)と松浦悟(沖田浩之)逮捕・連行されるシーンの挿入歌となり、広く世間に知られるようになった。

 

あのシーンは明らかに、善と悪、正と邪が明確で疑問や矛盾など抱かない作りになっている。

 

腐った蜜柑を扱うように生徒に接していた体罰、刑事処罰も厭わなかった学校側と、心無い刑事たちを悪と邪。それに対し子供を守ろうとする桜中学の教師、大人たちを正と善としているのだから。

 

自ら正義を勝ち取るためには、闘わなければならない。

ただやり方を間違えてはいけない。 

愚かな大人ばかりではなく、未来ある子供の行く末を応援している大人は沢山いる。 

 

自分は当時も現在でも、話題となった『3年B組金八先生』第2シリーズ第24話「卒業式前の暴力(2)」は、ちっとも琴線にふれない。

 

結局、強行手段に訴えかけるのもルールを守らず、権利を主張するのは如何なものか。

それじゃ汚い大人と一緒だろう。

ドラマにも、現実の学生生活にも思っていた。

 

浜田省吾の「独立記念日」。

 

♪教室じゃ俺 いつも窓の外を見てるだけ 

いかれたクラスの奴等の話など上の空 

単車 ディスコ 喧嘩 煙草 街頭(まち)の女達 

退屈で死にそうな授業 

 

奴等 単車連ねて走る からっぽの頭で 

独りじゃ何も出来ず 何処へ行くのかもわからずに

 

そう思っていたし、松山千春の前向きな歌と、中島みゆきの哀しいほどの現実的な歌を聴いていたので、

 

何を、こいつら、そんなことで暴れるのだろう?

何かを訴えたいのなら、もっと他にあるだろうと共感など出来なかった。

 

あのシーンで使われてしまってから「世情」は、自ら正義を勝ち取るための抗議、戦う歌になってしまった。

 

世の中、変わることを夢見ている人の歌だけの歌のように捉われてしまっている。

 

変わることを夢見る人もいれば、変わらないことを切に祈る人もいる。

 

変わることに意味があるように、変わらないことにも意味がある。

 

変わっていいもの、変わらなくていいもの。

世の中、また人間、人間社会は、『3年B組金八先生』の第24話のように話は単純ではない。

 

「世情」。

正直、27年前、1985年のライブで聴いたとき、よくわからなかった。でも、この27年間で自分なりに解釈はできた。

 

大人として変わらない、変われない理由も、理解できるからでだ。

 

社会や時代の流れに抗議する体をとっているが結局自分、聴き手自身への、シュプレヒコールに思えてならない。

 

つまらない大人にはなりたくない。

と、佐野元春と一緒に東京厚生年金会館や、横浜スタジアム、日本武道館で歌っていた自分の現在はどうだろう。

 

なぜ、つまらない大人にはなりたくないと思ったのか。

そして、なぜ、つまらな・くな・い大人になれなかったのか。

 

今、変わり行く世の中よりも、自分の理想な暮らしやすい変わらない世の中だけを求めていないか。

 

いつしか時代の頑固者となって、変わることを望む若い世代に、老害と揶揄されてはいないか?

 

世の中や時代の流れ、政治、大勢に抗議する理由は、実は己の欲望を満たすためのものだけではないのか。

 

変わることを、望んでいた自分たちは、いつしか変わらないことを望み、下の世代も同様に繰り返す。

 

いつの時代も、一番、変えていかなくてはいけないのは、自分の欲望のみを満たそうとする自身の心ではないだろうか。

 

そう聴こえてくる。

 

松山千春がよくいう「みんなの心が変われば、世の中、一気に変わる」。中島みゆきの「世情」も、結局はそんな意味に思えてくる。

 

対外的なシュプレヒコールでははなく、内へのシュプレヒコール。

 

コンサートで中島みゆきが言っていたことと重複するが、

この曲を書いた時代と現代では、システムや環境は大きく変わったけど、人の心は何にも変わっていない。

 

戦争も悲惨な出来事が繰り返されるのも、すべて人の心が原因。この歌は70年安保闘争だけではなく、変わり行く時代、今をも歌っている。

 

中島みゆきにジャンルなど必要ないのだけど、この歌をステージで歌う彼女は、死語となったフォークソングのクイーンに見えました。

 

余談だけど、中島みゆきは3年連続で書き下ろしオリジナルアルバムをリリースしている。

 

沈黙もメッセージではあるが、こんな時代だからこそ松山千春はもちろん、アメリカに憧れを抱いていた浜田省吾も新作を、早く世の中に届けてくれなきゃと思う。

 

◆歌詞及びオフィシャル動画・音源

世の中はいつも 変わっているから 

頑固者だけが 悲しい思いをする 

変わらないものを 何かにたとえて 

その度崩れちゃ そいつのせいにする 

 

シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく 

変わらない夢を 流れに求めて 

時の流れを止めて 変わらない夢を 

見たがる者たちと 戦うため 

 

世の中はとても 臆病な猫だから 

他愛のない嘘を いつもついている 

包帯のような嘘を 見破ることで 

学者は世間を 見たような気になる

 

シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく 

変わらない夢を 流れに求めて 

時の流れを止めて 変わらない夢を 

見たがる者たちと 戦うため 

 

シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく 

変わらない夢を 流れに求めて 

時の流れを止めて 変わらない夢を 

見たがる者たちと 戦うため 

 

シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく 

変わらない夢を 流れに求めて 

時の流れを止めて 変わらない夢を 

見たがる者たちと 戦うため 

 

 

◆最新コンサート

・2024.1.19 東京国際フォーラム トップページ

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・2024.1.19 中島みゆきコンサート『歌会VOL.1』 東京国際フォーラム セトリ

 

 

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