「中島みゆき『傾斜』に思うこと~中島みゆき作品解説【2024-01】~」S11854

 

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◇更新履歴
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1.0:2024.02.05 初稿 

V1.1:2024.04.30 中島みゆき展の画像を掲載

 

■ 「傾斜」編曲者:後藤次利

1982年3月21日発売の9枚目のアルバム『寒水魚』のアナログレコードA面2曲目(全9曲目)

 

 
 

◆ミュージシャン

01.Drums:渡嘉敷祐一 

02.Bass:後藤次利 

03.E.Guitar:今剛 

04.A.Guitar:吉川忠英 

05.Keyboards:渋井博 

06.Percussions:浜口茂外也

 

◆演奏実績

01.浮汰姫(ツアー1982)

02.MIYUKI NAKAJIMA CONCERT '84「明日を撃て!」

03.歌暦 Page 85 

04.夜会vol.3「KAN-TAN(邯鄲)」 

05.中島みゆきCONCERT TOUR '98

 

◆2024.2.5 夢野旅人

1982年まだアナログレコードの時代。

当時、中島みゆきのオリジナルアルバムの中でベストセラーとなった『寒水魚』。

1曲目、後藤次利によりロック色が濃くアレンジされた「悪女」に続いて流れてくるのが「傾斜」。

 

『寒水魚』自体がとても好きなアルバムであるが、アルバムヴァージョンの「悪女」からの「傾斜」の流れがとても印象的であり、傾斜10度の坂道をのぼる老婆を通して、人生の険しさを比喩したこの「傾斜」が中高生の頃から好きでした。

 

若い頃から自分にとって何を失うのが一番恐れていることは「記憶」。

 

可笑しな話ではあるが、まだ老いも物忘れも知らぬ中高生だった自分が、歌詞の

 

♪としをとるのはステキなことです そうじゃないですか 

忘れっぽいのはステキなことです そうじゃないですか

悲しい記憶の数ばかり 飽和の量より増えたなら 

忘れるよりほかないじゃありませんか 

 

に分かる、分かると安堵していた。

そして今では、自慢だった記憶力は低下し、ひとの名前などすぐに出てこなくなったり、過去の出来事も事実が上書きされ、詳細に語れなくなってきた。

 

それは自分にとっては相当なストレスではあるが、昨日2024年2月4日。腰痛で歩くことがままならぬくなり、普段の3倍近くの時間を要して約束の場所へ行った。

 

 

一歩足をだすごとに激痛が走る。座って動かないければ痛みはないが、姿勢を動かすと激痛が生じたりする。

 

「傾斜」の歌詞が過った。

傾斜のない通路でさえもまともに歩けなくなるとは・・・

 

地下鉄の列車に、やっとのことで乗りこみ座席に座った。

周囲には、教員かな?引率された女子高生たち。

振動で腰に痛みが走らぬよう、身構えながら、健康には一抹の不安が無さそうな彼女たちを見ていて思った。

 

彼女たちにも、将来の不安だとか憂いなどあるだろうけど、この腰痛、まともに歩けないことに比べたら、君たち、かすり傷、擦り傷みたいなもの。動けるうちにやりたいこと、好きなだけやってね、と。

 

これまでは、記憶を失うことだけを恐れていたが、坂道はおろか平坦な道さえ歩けなくなる不安。

 

♪としをとるのはステキなことです そうじゃないですか 

忘れっぽいのはステキなことです そうじゃないですか

悲しい記憶の数ばかり 飽和の量より増えたなら 

忘れるよりほかないじゃありませんか 

 

「傾斜」で忘れぽい、記憶力の低下の対処法は学んだが、この老いに対する痛みの対処法は教えてくれない。

 

そっか、病院へ行けということか。

そんなことを思った初老が思う「傾斜」です。

 

◆歌詞

傾斜10度の坂道を 腰の曲がった老婆が 少しずつのぼってゆく 

紫色の風呂敷包みは また少しまた少し 重くなったようだ 

彼女の自慢だった足は うすい草履の上で 横すべり横すべり 

のぼれども のぼれども どこへも着きはしない そんな気がしてくるようだ 

 

冬から春へと坂を降り 夏から夜へと坂を降り 

愛から冬へと人づたい のぼりの傾斜は けわしくなるばかり 

 

としをとるのはステキなことです そうじゃないですか 

忘れっぽいのはステキなことです そうじゃないですか 

 

悲しい記憶の数ばかり 飽和の量より増えたなら 

忘れるよりほかないじゃありませんか 

 

息が苦しいのは きっと彼女が 出がけにしめた帯がきつすぎたのだろう 

息子が彼女に邪険にするのは きっと彼女が女房に似ているからだろう 

 

あの子にどれだけやさしくしたかと 思い出すほど あの子は他人でもない 

みせつけがましいと言われて 抜きすぎた白髪の残りはあと少し 

 

誰かの娘が坂を降り 誰かの女が坂を降り 

愛から夜へと人づたい 

のぼりの傾斜は けわしくなるばかり 

 

としをとるのはステキなことです 

そうじゃないですか 忘れっぽいのはステキなことです そうじゃないですか 

 

悲しい記憶の数ばかり 飽和の量より増えたなら 忘れるよりほかないじゃありませんか 

 

冬から春へと坂を降り 夏から夜へと坂を降り 

愛から冬へと人づたい のぼりの傾斜は けわしくなるばかり 

 

としをとるのはステキなことです そうじゃないですか 

忘れっぽいのはステキなことです そうじゃないですか 

悲しい記憶の数ばかり 飽和の量より増えたなら 

忘れるよりほかないじゃありませんか

 


◆最新コンサート

・2024.1.19 東京国際フォーラム トップページ

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・2024.1.19 中島みゆきコンサート『歌会VOL.1』 東京国際フォーラム セトリ

 

 

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