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ひとりでできるもん!2015富士登山その9・いざ、ほんとうの戦いへ~下山



戦が、はじまる

山頂についたぜゴール!とならないのが富士山。
当たり前ですが、2日間かけて登った分だけ、4時間ほどで一気に下らなければなりません。
ここからが本当にきついというのを、前回登った時に嫌というほど思い知っています。

ゲイターをつけ、日よけ兼マスクを首にかけ(苦しくないのでオススメ)、
防寒具を全部ザックにしまい込んで、いざ下山道へ。


…ここから先がですね、本当に書くことないんですよ…
前回もざーっと流して書いたような記憶がありますが、
もうずーっと同じような道幅(ブル道なので当然)、
ずーっと同じような景色(ジグザグ下るだけなので)。


単調で本ッ当につまらない道です。うえっうえっ。
個人的に、もう二度と使いたくない登山道ベスト3に入りますね。間違いなく。


それでも、下らねばならぬ…下らねば帰れぬ。
下界へ帰ろう…帰ろう…(目が虚ろ


この下りルートは確かに「下りやすいよう整備されている」のですが、
意外と滑りやすく、かかとに重心をかけて歩いても
ズザッズザッと滑って歩きにくいんですよねぇ…。
多少歩行距離が長くなっても、道幅を使ってジグザグと歩くほうが
膝への負担は少ないので、時間がかかっても地道に下りるしかない。
しかも、ピーカン晴れで暑い!下界が近づくにつれて暑さが増す!

本8合目へのバイパス。本当は今朝ここから下山するはずだった…

「苦行」に近いです。最初は滑りやすいことにイライラするのですが、
ある程度イライラの時間を過ぎると「無心」になります。
「コケずに帰ろう」ただそれだけ。
ツアーバスだと集合時間が決められているので、
それに間に合うように帰らなければ…!という焦りが出てきます。
今回は私自分で帰りのバス取ってるし、午後便だからヨユーだもんね!

…だもんね、とか言ってますが、顔ほとんどゾンビです。
知り合いに誰にも合わないからいいんだけどね。


そしてガス。おおう…


ザックのリュック全開で荷物をばらまきながら猛スピードで下る外人さん、
相手がいい年した女だと知ってか知らずかナンパしてくるおじさん、
高山病でうずくまる女子に引きずられて具合悪くなる男子、
親に引っ張られながら歩く子ども…


いろんな人がいました。
登山者の数だけドラマがあっ…たかどうだかわかりません(笑)。
少なくとも、私にとっては単なる「修行」か「苦行」でしかなかった!
膝とかかとがだんだん痛くなってきて、
ああ私こんな思いしたくて山来たんじゃない…なんて思いながら。

じわじわ登りも、段差の下りも、石畳も、すべてがキツい

6合目付近になると傾斜がゆるくなり、少しだけ歩くのが楽になってきました。
ただ、行ったことがある人ならわかると思いますが、傾斜面にあるシェルター内の
地味な段差が、もうすでにきつい。堪える。。。


6合目ではこれから登る人たちとすれ違う。
みんな元気そうだけど、登りきって下山を始めた時が本当の戦いだよ…
と冷めた目で見送りながら、とぼとぼと歩みを進めます。
ここから佐藤小屋方面に下りればこの先の面倒な石畳をパスできるんだけど、
行ける気がしないよママン…




最後のじわっと登り返し。
一見平らに見え、登山時には「あれっ下ってる?」のところも、地味に体力を消耗しました。
馬糞のにおいすらももう気にならない(鼻が慣れる)。
とにかく暑い、日差しが…しぬ…(こまめな水分補給は忘れずに)


到着!

そして13:30頃、ようやく出発地であるスバルライン5合目に帰ってまいりました。


目安のコースタイムを余裕でオーバーする、まさかの超スローペース(苦笑)。
私の2015富士登山、やっと終わった…終わったよパトラッシュ…

ツアー登山ならこの後バスに拾われて日帰り温泉へ~となるわけですが、
私は帰りのバスまで時間があったので、スバルライン5合目の売店を駆けずり回りました。

…Lightningケーブルを探すために。


結論。
5合目の売店で、Lightningケーブルは売ってません!
なぜかDockコネクターは売っていました。ただしべらぼうに高いけど。
ケーブルとバッテリー、絶対に忘れるべからず。
この夏の、富士登山の、大きな思い出のひとつです…。

ひとりでできるもん!2015富士登山その8・ひとりでできた!山頂二度目まして


果たして山頂にたどり着けるのか?


「お天気いいから登っちゃおう!」のノリで歩き始めた登り道。
8合目を過ぎると岩場は少なくなるものの、標高は3400mを超え、
やはり酸素が薄いので気を抜くとすぐに息が上がってしまいます。
息が上がると精神的に焦ってしまうので、呼吸が早くならないように
ゆっくりと、ポレポレ~。ポレポレ~。
(「ポレポレ」はスワヒリ語で「ゆっくり」という意味。キリマンジャロ登山の合言葉)


前回泊まった8.5合目の御来光館を通過。


日が高くなってきて、気温もじわじわと上がり始めます。
寒い寒いと思ってたのが、いつの間にか暑いかも…暑い!に変わる。


とりあえず、体調急変したら迷わず下山しよう。
連れがいないので無理して誰かに合わせる必要もないし、
山頂行こうが下山しようが自由。そう思えばいくらか気が楽になるはず。

ただ、登山道を使って下山することは禁止されていないのですが、
基本的に登山道は登りやすいよう整備してあるので、
登ってくる人には十分配慮して、邪魔にならないように下山しなければなりません。
(同様に、下山道は下りやすいよう作ってあるので、登りには適さない)
具合が悪くなったら岩場の通行は危ないし、
いざという時に正確な判断ができるだろうか…
というようなことを考えながら、鬼のように深呼吸を繰り返しました。


そうこうしている間に9合目


この鳥居の先が長いんですよね…あはは…(白目


でも、だんだんと確信に変わってきました。「これ、山頂行ける」と。
前回は軽い高山病の兆候が出ていたけど、今回は高山病こわいこわい病。
こんなものはマイペースを守って登れば、気合いで吹き飛ばせる!


なんたって、天候が味方してくれている!
最高の味方に恵まれた今、私にできないことなどない…!(※過大評価しすぎです)


とにかく、アドレナリンが出始めていたことは間違いありません。
運動不足で肥え気味の身体、疲れていないといえば嘘になるけども、
お盆の富士山といえば混雑している印象しかなかったので、
こんなにも空いている富士山を歩けるなんて…!という地味な感動もありました。
私、まだまだ歩ける!行けるぞー!!

…が、しかし。身体は正直なもので、段差にはやはり弱い。
ちょっと高めの段差があると、急にぜーはーと息があがります。
年だな…これが老いか…おそろしい…(違
あってよかったトレッキングポール。
金剛杖に焼印集めるのもいいなーと思うけれど、私は実用性重視なので
やはりトレポ一択。長さ調節はできないけど、モンベルの折れるトレポ便利です。

いよいよ山頂へ

だんだんと山頂が近づいてきました。


平地ならすぐそこの200mの距離を、じわじわと詰めていく。
前回はきついなーって思ったのに、今回はなんて心地良い登山なのだろう!


いやー、これ山頂でご来光狙いにしなくてよかったな、とつくづく思いました。
夜間に登って夜明け前に山頂に着く行程だと、
ヘッドランプや山小屋の明かりぐらいしかないので、
あとどのくらいで着くとか、感覚が掴みづらいんですよ。
でも、明るいうちに登れば、今どのへんまで登ってきてて、残りがこれくらい、
距離もこれだけ近づいた、っていうのがずっと目視ではっきりわかるので、
ものすごく励みになりました。
日帰り弾丸は健脚以外は難しいので、8合目宿泊→日が出てから登頂、のコース、
まじで楽です。本当にオススメです。


そうはいっても、身体にはだんだん疲れがたまってきます。
山頂手前の階段がきついのなんの!
一段上がって、ひーふー。もう一段上がって、ひーふー。

このあたりまで登ってくると、数歩歩いては休み、歩いては休み、の人が多くなります。
わかるわー、きついよねこの階段。わかる!と内心ツッコミながら。


8時半、無事山頂に到着でーす!おつかれさまでした!!
結局コースタイムの倍ぐらいかけて登ったことに…どんだけビビリなのか。
いや、いいんだ、具合悪くならなかったからこれでいいんだー…。
山頂恒例、久須志神社でご朱印をいただきました。3年ぶり2回目。


そうそう、一応親にも電話。
前日、8合目で電話した時に「明日は下山するだけだし大丈夫~」と話していたので、
電話かけたら「あれ、もう下山したの!?」って言われて(苦笑)。
「いやーその逆なんだわ、山頂来ちゃったわ…」って言ったら
「はあ~!?」って呆れられましたがね。
自分の娘が一人で富士山登ってくるなんて思いもしなかったのでしょう。
私だって2時間前くらいまでは思ってなかったよ。

ついでに何か記念に…と思って、山口屋へ。
ここで下界へのお手紙を書きました。


富士山山頂で夏季のみ開設される山頂郵便局があるのですが、
静岡側の登山道を上がった付近にあるため、お鉢のほぼ真反対になってしまいます。
お鉢めぐりする体力が残っていればいいけど、
実はこの先こそが体力を奪う難所だとわかっていた私は
無理せずお鉢めぐりをやめました。

この売店では、木でできたはがき(スバルライン5合目郵便局でも取り扱いあり)を
預けるとスタッフさんが山頂郵便局へ運んでくれるサービスがあり、
もちろん郵便局の消印つきのお便りを出せるのです。
はがき本体と切手代、山頂郵便局への代理投函が全部コミコミで1000円。
高いと思うか安いと思うか、無難と思うか、自分次第…。
楽してごめん、でも託せるのありがたい!

富士山の山頂といえば、お鉢めぐり以外にも日本最高所「剣ヶ峰」があります。
こっちなら時間的に行けるかも、と思ったのですが…


写真ではわからないと思うのですが、突風が吹き荒れておりました。
火口を覗いて写真を撮っている間にも、何度も煽られてよろめきます。
こりゃダメだ…あっさりと退散。
剣ヶ峰に向かう「馬の背」は強風の日は行くなかれ、と言われている場所ですからね。
私なんて煽られたらひとたまりもないので…。


ちょうど向かいのあたりに剣ヶ峰。と、遠い。。。


垂涎の地層を拝みつつ、そろそろ下山しなければなりません。
本当はもっとじっくり眺めたかったけどね…。

挑戦しないというのは負け戦のような気がしないでもないですが、
勇気ある撤退(こういう時に使う言葉じゃない)も時には必要です。
何より、山では「誰かに助けてもらおう」なんて考えは持っちゃいけません。
転んで足折っても自己責任。(救護が必要な人はともかく)
危険だと思ったら引き返す、余裕を持っていける時には決行する。
そのくらいの感覚でいいのかなぁと思う万年初心者ハイカーです。
いつか剣ヶ峰行ってやるからな!

つづく。

ひとりでできるもん!2015富士登山その7・衝動のまま、前へ


ご来光は拝めるのか?


おはようございます。現在、8月15日、朝の4時半です。
ただいま富士山の8合目、富士山ホテルに来ています…

という脳内レポートを空しくつぶやきながら、ごそごそと外出準備をしました。
起きてみると、おお…頭痛くないぞ。いいね!高山病になってない!
前回はたいして眠れなかったけど、隣の人が出発したのもあまり気にならなかったし、
今回はわりとぐっすり眠れたようです。よかったー。

山頂でのご来光を目指す人たちはすでに出発しているので、
就寝スペースは半分も人がいないくらい。
体調不良かただのスケジュールの都合かわかりませんが、
8合目でご来光を見る人がやっぱりいるものですね…。

とりあえず防寒対策を完璧にし、カメラを持って建物の外に出ました。


……あはは、めっちゃ曇ってるぅー…

いや、昨晩の曇り具合からすれば、これだけ雲が切れているだけでも上等と思うべきか。
いずれにせよ、雲の上にご来光出る!みたいな場面には出会えなそうです。
いいんですよ…ハナから期待してないし…(つよがり


この時間になると、小屋でのんびりご来光を見る人ばかりなので
登山道はかなりガラガラです。
今年の夏も荒天に見舞われる日が多かった富士山の天気を思えば、
これだけ晴れればまあ御の字でしょう。いいでしょう、許しましょう!
どうせ数時間後には下山するしー…

日の出の予定時刻は4時52分でしたが、下の方に雲がかかっていたので、
ご来光を拝めたのは5時過ぎでした。


うむ…これはこれでキレイよ…?
なけなしの電池を振り絞ってiPhoneで写真を撮っていたら、突然のアップルマーク。
南無三!!

もちろん、コンデジは持っていたので、その後も写真は撮りましたが、
せっかくなら「なう!」とつぶやきたかったので、残念無念。
全部ケーブル忘れたおれが悪いんや…おれが…。


そして太陽は再び雲の中に入っていきました。。。

一通り夜明けの空を楽しんで、小屋の食堂に戻ります。
前日に宿泊受付をした時に受け取ったお弁当を持って食堂へ。
ここ、食堂が好きな時間に使えるのが本当にありがたい。


これが朝食?…と言われそうですが、富士山の山小屋の朝食といえばだいたいこんなもの。
御来光館は鮭弁当だったけど、富士山ホテルはなんちゃって牛丼ですね。

前回は軽く高山病っぽい症状が出ていたのもあって朝食はほとんど食べられず、
ウィダーインゼリーしか口に入れられなかったのですが、
今回はもそもそと2/3くらいは食べたでしょうか。
全部は食べられなかったけど、これだけ食欲があることに驚きです。
調子も上々、今日は良い登山ができそう!


時計の針が6時を回りました。
帰りのバスは遅い時間にしているのでそこまで急がなくてもいいし、余裕余裕。
さくっとパッキングして、いざ出発です!


予定と書いて「みてい」と読む

予定通りの行程で進むつもりで小屋を出発。
富士山ホテルは下山道との分岐に近いので、荷物をデポして山頂に登り、
下山時にデポった荷物をピックアップしても良いのですが、
実際に置いて行っている人はほとんどいなかったように見えました。


下山道との分岐は、富士山ホテルから少し山頂方面に登ったところにあります。

本8合目、胸突江戸屋(上江戸屋)がその分岐点にあたるところ。


この名前見るだけでなんかこう、疲れというか、そこまでキツいの…
という印象を与える気がする。
で、ここで左手のバイパスを通り、下山道へ入るはずだったんですが…


なんか天気いいし。時間もまだ余裕あるし、行っちゃう?
みたいなノリで…再び登山道へ(苦笑)。

この上江戸屋の前に来るまでは、下山する気満々で登ってきていたんですよ。本当です。
信じてもらえないかもしれませんけど、ヘタレなので本当です。


でも、お天気いいんだもん。なにこの晴れっぷり!

昨晩の曇り空といい、夜明け頃の雲といい…なんだったのか…
と疑いたくなるほどの晴天。もうね、飛蚊症が気になるよね、ここまで青空だと(涙)。



ここからは、普通に歩けば約1時間で山頂。
まあ…たいていコースタイムより遅いので、2時間みとけば大丈夫でしょう。
お鉢めぐりはおろか、山頂でゆっくりする時間はないかもしれないけど、
とりあえず山頂行っとこうよ。天気いいしさ。

若干の心細さと不安と、もしかしたら行けるかもしれないというドキドキワクワクを抱え、
山頂をめざして歩きだしました。

つづく。