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あるとき、フォード本社から仕事で日本に来ていた方(以下A様)がご来店くださいました。
日本語はまったく話せない、アメリカ人。
私のお客様がお連れくださったのですが、私は英語は話せません。
ナンでウチに連れて来たのー!?と尋ねると、
「えっ?お前、喋れないの!?」
とお客様もビックリ
この誤解が起きた理由は、
もともとバンドで洋楽を歌っていた
このお客様も洋楽好きでしょっちゅう歌わされていた
歌だけは英語の発音がいい(歌い慣れてるだけ)
結果、
「これだけ歌えるなら、話せるだろう」
と思い込んでいたそうです。
迷惑
とはいえ、もうお通ししてしまったし、英語が話せないという理由でお帰りいただくわけにはいかず。
手振り身振りで対応することになりました。
お客様であるA様はとても優しく、私の言っていることを理解しようと努めてくださいました。
私が会話に困ると、次々に褒めてくださるんです。
「美しい髪ですね」
「ステキな靴ですね」
「そのドレスはあなたにとてもよく似合ってますね」
好みじゃないらしく、顔は褒めてくれないアメリカ人
このままじゃ会話がもたないな、どうしよう・・・と焦った矢先、
「カラオケは日本で生まれたアミューズメントなので、楽しみしていた」
ということが分かり、「ミセス・ロビンソン」を人が変わったように大喜びして歌ってらっしゃいました。
そこから急激に距離が縮まって、言葉自体はまったく通じないものの、かなり盛り上がってほっとしました
洋楽やっててよかった
そこで思ったんです。
「私、普段こんなに一生懸命お客様と意思疎通しようと努めてるかな」
「言葉が通じないから必死だったけど、言葉が通じる人には無意識に『伝わってあたりまえ』と思ってないかな」
と。
生半可に言葉が通じると、手を抜いたり、伝わらないことにイライラしたり、相手のせいにしたりしますよね。
「分かってもらえない」
「この人とは合わない」
「言わなくても分かるだろう」
と、伝わること・理解してくれることが大前提で、伝える努力をしないのは甘えですよね。
初めてお客様の前に出たとき、みんな必死にがんばったはずなんです。
でも、仕事に慣れていくと同時に、どんどん「あたりまえ」が増えていって、怠慢になっていく。
あたりまえなんか、ないのに。
セッションでも多くのホステスさんが、
「返事をくれない」
「来店してくれない」
「電話に出てくれない」
など、さも『してくれることが大前提』で傷つき、自らお客様を切ってしまっています。
そういう子に限って、そのお客様に対してまだ何の努力もしてない。
会話をリードしたのもお客様、ノリ良く話してくださったのもお客様、楽しませてくださったのもお客様。
それを『気に入ってくれた』と勘違いして「LINEしたけど返事をくれない」と傷ついて捨てていく。
なぜ「返事をくれることが大前提」で考えるの?と思います。
傲慢ですよね。
言葉が通じても、伝わらないのが大前提です。
同じ国で生まれ育っても、分かり合えないのが大前提。
だから人には、言葉や文字、ジェスチャー、イラスト、写真、音など、様々な『伝える手段』がある。
伝わらないことが大前提だからこそ、こんなにも伝える手段が増えて、分かってくれる人の存在が嬉しい。
あなたも、黙っていても誰かが察して分かってくれることを求めず、伝える努力をしましょう。
全員が分かってくれることなんかないけど、必ず受け取ってくれる人はいます。
その人を大切にしてくださいね。
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