懐旧の酒場逍遙「名古屋 中村日赤の善ちゃん」 | CroquettePunchの “ 呑んでたまるか!”

懐旧の酒場逍遙「名古屋 中村日赤の善ちゃん」

 

 

 

 

かつては中村遊郭の賑わいをみせた古い通り.

 

その暗闇にぽつねんと灯る赤提灯があります.

 

 

古色厳然たるたたずまい.

 

威風四辺をはらうの概あり.

 

 

店先の錆びたトタン看板.

 

辛うじて「中華」と読めます.

 

左側のは「ワン(タン)」でしょうか.

 

 

 

 

創業から60年余.

 

店内にはそれこそ絶世の風情があります.

 

 

渋すぎます,渋すぎる.

 

時代と燻蒸に燻されつくした壁,お品書き.

 

 

 

カウンターに並ぶのは大皿に盛られた惣菜.

 

酒場だけでなく食堂も兼ねておられるらしい.

 

私の大好きな酒場食堂の原点がここにはあります.

 

 

まずは燗酒,寒い夜なのでしみじみと旨い.

 

善ちゃんのロゴ入り大徳利がかっこいいなあ.

 

 

店内を温めるのはおでん鍋がのった石油ストーブ.

 

 

女将さんが持ってきてくれた手火鉢だけ.

 

凍えた足の指が生き返る思いがする,じーん.

 

 

 

石油ストーブの上からちくわとソーセージ,厚揚げ.

 

ソーセージはもちろんのこと魚ニソです.

 

 

カウンターの大皿からは筑前煮をいただく.

 

 

寒い夜なので沁み入るように旨い.

 

これだけですっかりと満ち足りるような味わひです.

 

 

 

 

壁に新聞の切り抜きが貼ってある.

 

森繁久弥やミヤコ蝶々も常連だったらしい.

 

 

両手に杖をついた常連の方が来店された.

 

 

うどんを食べながら,界隈の古い話を聞かせてくださった.

 

 

 

 

一昨年の暮れ,仕事で名古屋に行った時.

 

善ちゃんのあった場所はすっかりと更地になっていた.

 

 

「善ちゃん」の街灯看板だけが残っていた.