重い腰を上げ
まるで邪気でも払うかのように
髪と体を洗い
シャワーを浴びた


魂が抜け落ちた様な自分の顔を見ながら
髪を乾かし、一通りのスキンケアを
淡々と終える


全ての行動は体が記憶しているのだろう
魂が抜け落ちていようとも機械的に
ルーティンとして
終えることができた


こんな状況でも
そんな事ができる自分の神経がおかしかったが
鏡に映る私は
ひきつった笑いすら浮かべることはできなかった


無表情な顔を見ながら漠然と


いつか旦那の不倫相手と対面する日が来るのだろうか?
だとしたら私、最初に何て言うんだろ?……と思った



「お久しぶりですね」?




旦那の部下の殆どは
顔や背格好を記憶しているが
旦那の不倫相手の〇〇〇〇さんは……
朧気ではっきりしない



〇〇〇〇さんの*タイムラインには
娘さんの写真しか載せてなかったし
娘さんの顔を見ても母親に似てるのかさえも
わからなかった
*タイムラインの話はクリップコチラクリップコチラに記載してます




私の中にある〇〇〇〇さんの記憶
それは、
第1印象で感じ取った
身にまとう雰囲気だけだ



だから、〇〇〇〇さんが来て顔を見ても
本当に当人だとは確信できない



それなのに
お久しぶりって
挨拶は変でしょ……




「主人がお世話になっております」?



こちらからお世話をしてあげてくださいと
頼んでもないのに
不倫にいそしむ相手に対して
お世話になっております?



その言葉は
不倫などせずに
真剣に仕事をしてくれていた
他の部下や従業員にだけ捧げたい



不倫相手に対して言うのは
私にはムリだわ



はぁ〜(-_-)💨



最初の挨拶だけでも
何て切り出すのか頭を悩ます……


旦那と不倫相手がこの先水面下に潜るのか
私と旦那が離婚するのかわからないのに
今、考えてもムダだわ
止めた止めたっ!



そんな事より他のことを考えよう!
と、切り替えた


旦那が仕事でいない間に
調べなければいけないこと


次の休みが取れたら
データベースを片っ端から
調べなければいけないこと


自分の今後やるべき事を
イメージしながら
眠くなるのを待った


ウトウトする事もあるが
前夜同様、1時間ですら
ぐっすりなんて眠れはしない


受験生の時なら
よかったのにと思う位
20〜40分間隔で目が覚め
朝を迎えた



体は正直だから、既に
SOSのサインは至る所に現れていたのだが
自分の体の事など二の次だった私は
労ってあげられなかった



これから長期化する
最悪なこの睡眠サイクルと拒食
そして、心労が蓄積され
時限爆弾のように
爆発する日まで


カウントダウンが
始まっているとも知らずに
過ごしていく