ただでさえ信用が地に落ちた旦那が
クリップシタラリまで罹っている




それは
信じられる要素など旦那には
何一つないという現実を
改めて私に示していた



そして、自分自身も
このタイミングで
サレラリに完全に侵され
心と脳を支配されてしまえば
偽りの世界から
永遠に抜け出せなくなる要素を
私が持っている気がしてならなかった



気を引き締め
自分の心と旦那の心
……何がホンモノで何がマヤカシなのか
心してかからなければ
判断を見誤るかもしれない



だが、
(そんなことは決して許されない)
と、私の心の核となる部分が
大きな声で言っていた


失敗できない……
しくじれない……
プレッシャーがのしかかる



押しつぶされそうな責任から
完璧な人間はいない
失敗から学べばいい
失敗はつきもの
など、
生きていれば1度は耳にする言葉も
思い浮かんだ


けれどもすぐに




(それは、やり直しがきくこと、
被害者が出ないこと、
許されることであればこそでしょ?

この件に関しては
見誤ることも
逃げることも許されないよ)

と、先程より心の声が大きく聞こえた



(人間は完璧ではないからこそ
模索しながらも
リスクに備えたり
対策を講じたり
細心の注意を払いながら
生きているんでしょ?)


鳴り止まない声と重なり
のことが蘇り
頭がズドンッと重かった


そういえば
なんで、私はあの夜
大キライになった旦那の事が
気になったんだろう……


深追いしてみたが


家族愛=気になる
夫婦=気になる
情=気になる
となるのか?
その全てか
答えは断定出来なかった



ただ、あの瞬間
もう、これ以上
裏切られたくない
傷つきたくない
嘘の世界はウンザリ
また旦那が嘘をついたなら
終わりにするだけだから
真実を知りたい
とは思っていた



……得体の知れない不安と思っていたが
正体が何か
露になった


そして、何故気になったのかも
わかった


自分を守るためだひらめき電球ひらめき電球


愛も情も関係なかった
偽りによるダメージを重ね過ぎて
これでもかと容赦なく
傷が広がり続けることへの
不安を解消したくて
事実を確かめたかっただけなんだひらめき電球ひらめき電球ひらめき電球



自分の心が見えてよかった……
と、安堵した



が、それも束の間
次の問題が頭をよぎる



旦那の嘘を暴くのであれば
今この瞬間の旦那の動向を詮索するよりも
確認しなければ気がすまないと
これまで思いついていた
いくつもの過去の履歴を調べる方が
得策だったのでは?


……正常な判断ができていたら
きっとそちらを優先したはずだ


やはり、私は正常ではない
異常な行動……



=サレラリだ



私はサレラリに罹っている


その間
旦那のことが大キライから
異性としての
スキや愛してるに変化することは
なかったのは確かだった


それ故に
まだ、大丈夫
サレラリには罹っていないと
心のどこかで思っていたが
違った



それもあの夜は
かなり重度のサレラリ



一体いつからだろうか……



自分の言動、行動、思考
思い返してみると
旦那が不倫の自白をしたその瞬間からだ



これまで不倫者達を
見聞きしてきて
ある程度
自分は免疫がついていると
思っていたが
早々にサレラリに罹患していたことに
落胆した



そして、この先また
どのタイミングで
サレラリが襲ってくるか
進行するか
わからない


その時、歯止めをかけ
立ち止まり
見誤らないよう
考える必要がある



それが出来る唯一の方法は
私が旦那を許せない理由


発覚時からずっとブレない
私の心の核


それを思い出すんだと
心に誓った


そう……
見誤ることは
許されないのだから