すっかり週末定期便と化している更新ですが、いつもお付き合い下さる皆様、ありがとうございます。
本当は10日の蓮の誕生日に合わせてUPしたかったんですが、まったくもってかなわず。
仕方ないので翌日には、と思ったら邪魔が入りあえなく撃沈。
(自分の仕事を 『邪魔』 と言うあたりが、いかに現実逃避してるかを物語る…)
とまぁ、そんなわけで。手直ししてたらあ~らもうこんな時間。
いつものパターンか…。
で、随分長くなってますが、マリモ様からのリク作品も終盤。
今回と次で終わりますので、今日・明日でUPしたいと思います。
では、以下からど~ぞ~
※注)時間的にはスクープ3からの続きとなります。お忘れになられてしまわれた方は、ぜひ、そこへお立ち寄りいただいてからお読みくださると分かりやすいかと…。
ブログ内リンクすらはれない私…。
不親切ですみません…。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
熱・愛??スクープ!7
「私…そういえば…熱」
蓮の言葉にキョーコは自分の熱がすっかり下がり、体がずいぶん軽く感じられるようになっていることに気がついた。
その様子に回想に浸っていた蓮の思考が戻る。
「ははは、本当に覚えてないんだね…」
「ですから、さっきからそう言ってるじゃないですか…」
心底困ったように上目づかいに蓮を見つめるキョーコ。
一瞬無表情になった蓮が何を思ったかを、キョーコは読み取ることはできない。
それゆえ、余計にじっと蓮を見つめ、その思いを知ろうとする。
が、次の瞬間。蓮は口元に手をあててふいっと視線を反らした。
「え…私、何かまた気に障ることでもしたでしょうか?」
「いや…そうじゃなくて…」
「そうじゃなくて?」
「…さっき、『謝るのは俺の方』 って言ったろう?」
反らしたままの視線をちらりと戻した蓮が見たのは、かわいらしく首を傾けて蓮の言葉の続きを待つキョーコの姿。
蓮はまた視線を外して小さくため息をついた。
「君はまた…そうやって無意識に俺を煽るんだね…」
「えっ?えっ?なんですか、煽るって?? 何を言って…」
「君の胸元、見てごらん…」
「へっ?」
キョーコは蓮の言葉の意味を測りかねたが、ぶかぶかパジャマの襟元をおそるおそる持ち上げて覗き込む。
「…間違ってもこんな季節に 『蚊がいます』 とか言わないでね」
「ど…、どういったらいいんですかぁぁぁぁ~~~っっ!!」
予想通りの大声で涙ながらに訴えてきたキョーコに苦笑する蓮。
「見ての通り、だよ。俺の思いをそこに刻んだ。
『消えそうになるたびに、つけてあげる。これが夢でない証に。
目覚めても俺の思いが嘘でないことを証明するために』
そう言っただろう?」
キョーコの目が驚愕に見開かれる。
「う…そ。だって…あれは、夢で…」
「夢にしてしまわないで…。俺の思いは本当だよ。嘘じゃない。君のそこに残る跡がその証だから」
その言葉に、キョーコの頬が赤く染まる。
「俺からも聞いていい?あの言葉は真実だよね」
「あの…言葉?」
どの言葉を指すのかと聞き返すキョーコに、蓮は真剣な表情でキョーコの目を見つめる。
キョーコの心の動きを逃すまいとするかのように。
「君が 『嘘をつかなくても、隠さなくてもいい』 そう言った言葉」
「え…?あ、あのっ、それはっ」
「言ってほしい。もう一度。君が、これを現実と受け止めた今、ここで」
「でも、あの…ご迷惑じゃ…」
「言って。そうでないと、俺がこの幸せが現実だとわからなくなる。ただの俺の願望なのかと…また暗闇で君を求めてもがくことになる」
苦しげに、切ない思いを伝える蓮に、キョーコは胸が苦しくなるのを感じていた。
だが、同時に困惑していた。
蓮のこの苦しげな表情は、キョーコには見覚えがある。
それは、キョーコとしてではなく、着ぐるみを着た 『坊』 として垣間見た蓮の苦悩の表情。
あの時も、着ぐるみの中で同じ苦しさを感じていた。
この人には、好きな人がいる…。
その時は蓮に対する思いを自覚する前だった。だからなぜ自分があんなに胸が苦しいのかわからなかったが、今はそれが何故かわかる。自分以外に向けられるその感情が胸を苦しくさせていたのだから。
だが、なぜその表情を今ここで真正面から自分が見ているのだろうか。
押さえなくてはいけない思いとして言っていた時の、あの表情をなぜここで見せるのか。
ありえない、と思いながらも夢だと思っていた時の蓮の言葉がよみがえる。
だが、いまいちまだそれが現実だったと思うには自分に都合がよすぎて、キョーコには信じがたいものがあった。
「一つ、教えて下さい」
「なに?」
「敦賀さんがずっと…好きだった人、って誰ですか?」
不安に揺れるキョーコの瞳に、蓮はその意図を察したらしい。
苦しげな表情を崩し、柔らかい笑みに変えてキョーコを見つめる。
「後にも、先にも…最上キョーコ、その名を持つ君だけだよ。それにね…」
「それに…?」
「過去形じゃなくて、現在進行形。それに、好きというより…」
最上級の破顔をしながら蓮が紡いだ言葉は…。
「好きというより、愛してる」
「////っっ!いきなり何を!」
「いきなりじゃないよ…。眠る前にもちゃんと好きだよ、って伝えたし…」
言葉を切った蓮は、とまどい、赤面しているキョーコをそっと抱きしめた。
ぴきょっ!と固まったキョーコに苦笑しつつ、さらに心の内を伝える。
「本当は、さっきも胸だけじゃなくて全身にその印を残したかったんだけどね。信じてくれないなら今からでも続き、しようか?」
耳元で囁かれる甘やかな誘いの言葉にキョーコは全身を一気にゆでだこのように赤くしてしまった。
その様子に蓮はやれやれ、と思いつつも心は不思議なほど凪いでいた。
少なくともキョーコの気持ちはその反応にしっかり現れていたから。
今までなら「勘違いするじゃないですか~!」と返ってくる拒否反応がなく、誘いの言葉がキョーコに対しての言葉だと認識してくれている。
今までを考えるとありえないくらい大きな変化だ。
「信じて、くれた?」
「本当に…夢じゃないんですね」
「もちろん」
「……私、敦賀さんのことが…」
「……うん」
「好き、です」
蓮の耳元で、小さな小さな声であったがしっかり聞こえた言葉に、蓮はより一層抱きしめる腕に力を込めた。
「俺も…最上さんを愛してるよ」
つづく
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ここで終わってもキリがいいので、話としては終わりでよかったんですけど、このまんまだとオチがね。
(オチつけられるんかい!と自分に突っ込み)
ってなわけで、この次が最終話になります。
お時間ある方は、また覗いてみてやってくださいね~