熱・愛??スクープ!8
「何だか…本当に、夢みたい、です」
「…そうだね。でも、きっと信じるしかなくなるよ」
「どうして、ですか?」
キョーコが蓮の言葉の意味を追求しようとするやいなや。
ベッドサイドテーブルの上に置いてあった蓮の携帯が鳴りだした。
「…はい。おはようございます、社さん」
『おはよう、蓮。その声の感じからすると、何か進展はあったのか?』
「ははは。ご想像にお任せしますよ。それより…」
『あぁ。用件はな…あ、お前TVつけてるか?』
「まだ、ですが。なるほど、社長が動きましたね」
『ビンゴ。まぁ、そんな訳だからそっちに行ってから打ち合わせな。あ、キョーコちゃんに無理させるなよ!』
「…なんですか、それは」
『言葉の通りだよ。じゃ、後でな』
蓮は通話を終えると、軽くため息をついた。
「あの…お仕事、大丈夫なんですか?」
蓮のため息を違う意味に捉えたキョーコは、心配げに蓮の顔をうかがい見る。
それに気づいた蓮が、ふ、と苦笑して見せた。
「うん、電話は社さんからだけどね。今からこっちに来るって。で、仕事の打合せはこっちでするってさ」
「…?でも、社長さんが動いたとかなんとか…って、すみませんっ!聞くつもりなかったんですけどっ」
「はは、この距離だから聞こえてあたりまえだよ。気にしないで。それより、ちょっとリビングへ行こうか」
「え?あ、はい」
そのままベッドから出ようとするキョーコに、蓮が慌ててそれを制止して自分が先にベッドを出ると、自分とキョーコの分の着替えを手にして戻った。
「ベッドから出る前にこれ着てね」
蓮に服を渡され、今更ながら自分たちの格好を認識するキョーコ。
「!!きゃ、す、すみません!お目汚しを」
「………いや、反対だから」
「え?」
キョーコが聞き返すと同時くらいにそそくさと部屋を出た蓮の後ろ姿は、耳がしっかり赤くなっていたことは言うまでもない。
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「あの、お待たせしました」
リビングに来たキョーコは、蓮が出したシャツとセーターに、自分のスカートを着用した状態であるが、蓮の服はさすがに大きいため、遠慮がちにゆるく袖を巻き上げ、裾はスカートの半分以上を隠しており、ワンピースを着ているかのようだった。そろそろと遠慮がちに入ってくるその姿を認めた蓮は思わず苦笑してしまった。
「あ、着れた?…はは、さすがにぶかぶかだね」
「すみません寝間着どころか服までお借りしてしまって。ところで私の他の服は…?」
「うん、ごめん。勝手に洗濯機に入れちゃったから…洗濯したらまずかったかな?」
「そ、そうですか。気遣いいただいてすみません。それが乾くまでこれ、お借りしますね?」
「あぁ、うん。どうぞ」
気恥ずかしい思いでいっぱいで赤くなっているキョーコを見て、蓮もつられて赤くなる。
なんとなく照れくさくて、ぎくしゃくした会話になっていることにもお互い気付く余地がないのは、恋愛初心者だからして仕方ないことかもしれない。
だが、そんなほのぼのした、まるで新婚さんのような空気は、この後一気に吹っ飛ぶことになる。
「最上さん、こっちに来てちょっとこれを見てもらえる?」
「あ、はい。えと、TV見てらしたんですか?」
「うん。…これがね、社さんの電話の理由と、社長が動いた結果」
「え?」
キョーコが蓮の示す先を見て、ようやく蓮が見ていた番組が報道番組だと知る。
同時に思考がフリーズした。
「つ…敦賀、さん」
「ん?」
「ここここここ、これっっっ!!」
「あ~うん。多分、社さんのこの後の俺の仕事の打ち合わせ、記者会見についてだね」
「って、なにをのんきに構えてるんですかぁぁ!!」
キョーコが蓮ののんきな反応におろおろする中、蓮の反応のようにのんきに聞こえるインターフォンの音が部屋に響いた。
ぴーんぽーん
TVを見て固まっているキョーコをその場に残し蓮がそれに対応すると、そこに映っていたのはにっしゃ~と笑う社であった。
そうして、キョーコは社が部屋に入って来るなり、TVの報道に対して 「どうしましょう~~っ!」 と泣きついてみた。
しかし、キョーコが怒られることを覚悟していたことに対して、社は 「よかったねぇ~」 と人気俳優の担当マネージャーとしてありえない反応を示し、キョーコは途方に暮れる。
あちこちの番組が緊急報道をするなかで、まったくもってその内容を問題視しないどころか、さて、この後の記者会見でいかに社長に仕切らせないようにするか、と相談しあう蓮と社にキョーコは真っ白になっていた。
『スクープ !! 敦賀蓮、熱愛発覚 !! 相手の急病に秘密を暴露か !? 』
でかでかとテロップ表示された画面の中では、相手が誰かということを探るコメンテーターの話でもりあがっている。
それが蓮のキョーコに対する熱愛ぶりを語る緊急記者会見の内容にすり替わり、挙句の果てには交際会見だったはずが、婚約会見に変化してしまっていたのは数時間後の話であった。
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『では、敦賀さん。京子さんとのお付き合いについてどのように考えていらっしゃいますか?』
「どのようにも何も。彼女が倒れた時に彼女を失ったら生きていけない。そう思いましたから」
『敦賀さん、まるで、プロポーズされたかのようなお言葉ですが』
「?もちろん、そのつもりなんですが。彼女も応えてくれましたしね」
『……え?では、交際、ではなく婚約?』
「ええ。そうとっていただいて結構ですよ。今後キョーコは俺の婚約者として認識していただきたい」
『な、何だかどなたかを牽制されているようにも聞こえますが』
「その通りですよ。何しろ彼女は自分がどれだけ魅力があるか無自覚で、俺は今日のこの場で公言できるまで気が気じゃなかったですから」
一斉にたかれるフラッシュの渦の中、いつも以上の神々スマイルを振りまく蓮の姿に、さすがの社も胃を押さえ、TV中継を見ていたキョーコは灰になり、唯一愛の伝道師を名乗る社長だけがほくそ笑んでいた。
おわり
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いやはや。ようやく終えることができました。
マリモさ~ん。こんなオチになっちゃいました~
許してもらえるかしら??
書き逃げしたいところですが、ここで一応リク内容を。
『熱で挙動不審な行動を取るキョーコちゃんに蓮様が振り回される』
…て、アレ?全然内容変わってんじゃん←今頃
いや、やっぱりうちのキョコたんで、蓮サマを振り回そうと思っても、蓮サマが何枚か上手だったようです。
蓮サマがキョコたんを振り回してますね…。や、このぐらいの行動起こして欲しいという願望がつい…
こんな内容ズレまくりのロングになっちゃったのでもよければ、もらってやってください~。←普通に嫌だろ
納得いかなかったら(いや、納得していただけたとしても)またリクください。
リベンジします!
あ、このリク作品に関しては一応フリーとさせていただいております。
皆様お気に召していただけましたらどうぞ~