現在の中に未来の予兆を見るとは? | .. .. .. ... . ........ ... ...運命の超意識
※この記事は、2011年8月23日に書いた内容を、
加筆して公開したものです。






未来の情報は、現在の中にすでに存在してます。


あとは

「過去の視点から現在を眺める」

か、もしくは

未来の視点から現在を眺める

かの違いだけです。



 
自分の視点をテレビカメラだと考えてみてください。


そのカメラは、ディレクターである脳の指示によって、
この世界を切り取ります。


そこに「過去の認識」というディレクターしかいなければ、
カメラは過去の認識と関わるものしか映しません。




過去の認識とは、過去の自分が経験したこと、親や学校の先生、
会社の上司の言葉などによって形成された情報です。



また、今の日本人は烏合の衆になってしまっているので、
有名な経済評論家が

「未来はこうなる」

といえばそっちにカメラを向け、


政治家が

「こんな法案を作る」

といえばそっちにカメラを向ける。


自分ではどちらの方向にカメラを向けていいのかまったく判断ができず、
ほかの人がいった言葉に従ってカメラを動かしているだけです。




しかし、ほかの人の

「未来はこうなる」

という発言も、結局は

「過去の認識」

の一部なんです。



過去の認識からのぞいたカメラでは、
未来を予見するために必要な情報を現在の中に見ることはできません。


このことは一般の方に限ったことではありません。
ほとんどの経営者も政治家もみんな烏合の衆。


国民全員が烏合の衆化しているのが、今の日本なのです。
経団連の社長たちも、政権のトップも、烏合の衆です。



そんな人に限って

「未来は予測不可能」

「先行きは不透明」

なんて言葉で誤魔化しています。


誤魔化さなければいけない理由もハッキリと分かっています
が、その話は回を改めるとして、



未来からの視点、つまり「予見力」を持てば、
今この瞬間に存在している未来の兆しを正しく認識することができます。



具体的な例をお話ししましょう。



やがて人類が資本主義を捨てて、経済競争が消えてなくなる未来
が見えています。


資本主義が矛盾を抱えたシステムであることは、
19世紀の段階ですでにカール・マルクスが『資本論』によって看破しています。


しかし、人々はその後も資本主義のルールに則って活動を続け、
その結果として資本主義の矛盾は飽和状態に達し、貧富の差や環境問題など
さまざまな深刻な問題が発生しています。


人類がこの地球上で生き残っていくためには、資本主義を捨て、
新たなシステムを確立する必要があるのです。




どんなシステムを新たに確立するかについてはひとまず脇に置くとして、

「資本主義は限界に達し、やがて崩壊する」

という未来の視点から、常々目の前で出来事を分析してきました。
だからこそ、ここ数年の状況も、ある意味納得できるのです。



たとえばサブプライム・ローンの破綻も、すでに数年前からその予兆はありました。

予兆のひとつは、2007年4月にトヨタ自動車が四半期決算で
世界最大手だった米ゼネラル・モーターズ(GM)の販売台数を抜いて世界一
になったと発表したことです。


GMの業績が急激に落ち込んだ1997年ごろ、各ディーラーは自動車ローン
を使った販売に拍車をかけました。


この自動車ローンは、住所氏名、生年月日、社会保険番号、職業の5項目を
記入さえすれば、誰でもお金が借りられるというものでした。

収入や支払い能力は、一切問われません。
そのような杜撰なローンを成立させたのが、GMの金融部門を受け持つ子会社のGMAC
(General Motors Acceptance Corporation)という会社です。

GMACは、自動車ローンによる債権をもとに投資家向けの金融派生商品を作って、
ウォール街などにバラまきました。


その結果、GMは大量販売を実現させ、GMACはローンの貸し出し分と手数料まで
稼ぐことができました。



非常に洗練された巧妙な錬金術ですが、
こうした金儲けの手法が長くは通じないことが

「トヨタ自動車がGMを抜いて世界一になった日」

に決定的になったのです。


GMが金融工学によって生み出されたバーチャルなお金で儲けていたのに比べて、
トヨタ自動車はリアルなお金で儲けていたということです。

バーチャルな金融経済は、リアルな実体経済に敗れたのです。




不動産を利用したサブプライム・ローンも、GMの自動車ローンと同じような
手法で作られたものです。

従って、トヨタ自動車がGMを抜いて世界一の売り上を達成した2007年4月の時点で、
サブプライム・ローンがそう遠くはない未来に破綻することも見えていたというわけです。



問題になったサブプライム・ローンも、担保性や評価が必要なプライム・ローン
より多額の金を儲けるため、高度な金融工学を駆使して彼らが生み出したものに過ぎません。
サブプライム・ローンは担保も評価も必要ありません。


従って、貸したらすぐに潰れそうな貧困層にも平気で貸し付けることができたのです。
債権化した商品は高い手数料は取れるし、潰れても赤字になったぶん税金を払わずにすみます。


要するに、
売り手にとって損を出せば出すほど得するのがサブプライム・ローンの仕組みだったのです。
そういう意味で、貸し倒れの続出はシナリオどおりでした。




そんな金儲けの手法は永遠に続けらるわけはなく、
いずれ破綻することは誰の目にも明らかだったはすです。

サブプライム・ローン債権で莫大な損益を計上した日本の三菱UFJ銀行や農林中金をはじめ、
まともな判断ができる金融マンは、私が知る限りひとりくらいでした。



彼らは資本主義の論理に従って洗脳された奴隷で、

「もっと稼げ」

「もっと稼げ」

ということしか頭になかったのです。


そんな状況を見て、

「ヤバイな」

と危機感を募らせていました。そして、結果はみなさん周知の通りです。





「現在の中に未来の情報を見出す」

ということでいえば、人間以外の動物たちの中には予見力に似た力を持っているものもいます。



たとえば、ネズミ。船の中に住んでいるネズミは、その船が沈没することを
察知して、出航前に逃げ出すといわれています。


また、ナマズは古くから地震が起こる前に大暴れする性質を持っているため、
日本では戦国時代から江戸時代にかけて

「地底の大ナマズが地震を起こしている」という俗説まであったくらいです。

現在の動物行動科学では、ナマズは人間には感じられない低周波の電流、あるいは電磁波、
微電道などを感じることができ、

その結果、人間よりも先に地震の到来を知覚することができる、と考えられています。




人間にとっては「船の沈没」も「地震」も予期しない出来事です。


しかし、仮にネズミやナマズのような感性で現在の状況を認識することができれば、
現在の中に未来の兆しを発見することができます。


「自分の命を守るために、船には乗らない」

「みんなの命を守るため、出航をやめるように船舶会社を説得する」

「地震が起こらない地域に移動する」


など未来の出来事に介入することができます。



つまり、予見力を持つことができれば、現在の中に未来を見出すだけでなく、
その未来に介入して、未来を変えていくことができるのです。




現在・過去・未来がこの一瞬に凝縮されている一念三千の世界観は、
この世界に存在するすべてのことに当てはまります。


抽象度を高めて、この世界や宇宙の出来事を俯瞰的に見ることができるようになり、
より多くの情報にアクセスできるようになれば、おのずと未来の情報も見えるようになります。


つまり予見力と抽象度の高さには密接な関わりがあるのです。



(参考文献)
とてつもない未来を引き寄せる予見力/徳間書店