思い出したくない過去の映像がふとした時に出てくる。
二人の子供を抱きかかえ、ある場所に駆け込んだ記憶。
必死に相談をした。
子供の写真。無理矢理撮られるのを「ごめんね。」しか言えない私達。
これで地獄が終わると思っていたあの瞬間。
子供と夫の診断書。今まで書き溜めた真っ黒のなった日記。
怒鳴り声が入ってる携帯のボイスレコーダー。
一生懸命話をした。最後の望みを託した正義のヒーロー。
綺麗な満月。本当にきれいな満月だった。
気が付けば夫の嘔吐物がカーペットを汚している。
何故か連れていかれる夫。
朝から晩まで同じ質問。疑いの目を向ける正義のヒーロー。
玄関で泣き崩れる夫の顔。ただ抱きしめることしかできない私。
奥の部屋から出てきたあいつらが高笑ってる。
正反対の報告書。正反対の質問の嵐。
刃物を自分に突き立ててみる。思い浮かぶのは子供の笑顔。
自宅にやってきた正義のヒーロー。証拠があったのに何にも言わない。
皆、皆私達を笑ってる。
痩せた夫。「死にたい。」そう言っている。
他言厳禁。それでも「助けて」そう叫んだ。
皆、皆・・・・あいつらの見方だった。
また夫が連れていかれる。子供の顔を見て「待っててね」
夫は、夫は、何にもしてない!!!!!
証拠だってこんなにあるのに!!
証拠なんてどうだって・・・・
なにしたって親が悪いんだ・・・。
でも・・・それでも・・・・夫と私は言い続けた1か月。
ある曇り一つない晴れの日。ある方が「被害者に追及しすぎでは」と言ってくれた。
立場は似ているが正義のヒーローより偉い方。その一言で私達は救われた。
「ありがとうございます。信じてくれて」と何回も何回も床に頭をこすりつける夫と私。
電車に乗ると我が子の無邪気な笑顔。
「逃げなきゃ。」そう思った。
車の中。
子供と夫の愛おしい寝顔。静かな暗い道。
一つの小さな光。
忘れたくても忘れられない私達家族の過去。
写真のように出てくる光景。