性数一致がなくなったら…? | くまさんのフランス語日記

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ここ最近私の周りで1番話題になっているのは…

ベルギー国内で、もしかしたら
「目的語が助動詞 avoir を取る動詞の過去分詞より前に来たとき、過去分詞が性数一致する」
という規則がなくなるかもしれない、ということです😱😱

例 ) Les photos que j’ai prises 

フランス語を学ぶ外国人だけでなく、現地人をも惑わすこの規則… こんなに頑張って覚えたのに、無くなるの?!?

と悲鳴も聞こえてきそうですが、今回はその件について、私の意見を述べてみたいと思います👍


まず、本当に偶然なんですが、この訴えをしている2人のベルギー人、Arnaud Hoedt Jérôme Piron の講演会に、私はたまたま参加していたんです。
そう、3ヶ月前に記事にした La convivialité です。

そちらの講演会では、なぜ目的語が前に来た時のみ過去分詞が一致するのか、という謎について、フランス語の歴史からこう説明をしていました。


昔、暗闇や劣悪な環境の中、少しの灯りを頼りに修道士が書物を作成していた。
その時、目的語が後ろに来る場合、動詞との距離が離れてしまうことがあり、修道士は頻繁に性数一致を忘れた

Les pieds que Jésus a lavés 

Jésus a lavé, avant la fête de Pâques, sachant que son heure était venue.... les pieds 
※過去分詞と目的語がより離れている

それがいつしか、目的語が前に来る時しか一致しないという規則にすり替わってしまった。

そこから2人は、この規則にはそもそもあまり意味がないことを説明していました。
また、彼らはテレビでこう主張していました。

「難しいから、複雑だからという理由だけで提案しているわけじゃない。例えば  manger と mangé は音が同じなだけに頻繁に混同されるが、意味が違う。だが、mangé と mangée では意味が同じだし、発音も変わらない」

「この規則を教えるだけで、平均80時間も費やしている。もしこの規則を学校で教えなければ、その分語彙を増やすなど別のところでフランス語を鍛えられる」



では、実際にこの提案が承認された場合、私たちはどんな影響を受けるのでしょうか???
せっかく覚えた規則なのに、全て水の泡になってしまうのでしょうか😭😭😭


… いいえ、私は、現在とほとんどなにも変わらないと思います。

フランス語の規則はこれまでにも大幅に改変がなされて来ました。
数年おきに行われる綴り変更などが代表例です。
その度、新しい規則は物議を醸し出し、新しい綴りはすんなり受け入れられてはきませんでした。

Oignon の綴りを Ognon に変更したのは、なんと1990年のことだそうですが、2018年現在、未だに近所のスーパーの玉ねぎの表記は Oignon です。

ある日を境に、今まで正解だったものを不正解とすることはできませんし、混乱を招くことになるので、当面はどちらも正解、というスタンスが続くでしょう。
お年寄りやフランス語を専門にしている人の中には、あえて昔の規則をら守り抜く人もいると思います。

つまり、性数一致がなくなったとしても、それが実際に世間に浸透するのは、性数一致を学校で習わなかった世代が社会に出てくる頃です。

また、今回ベルギー限定ということで、なおさら私たちには関係ないと思います。
フランスがベルギーに倣って規則を変更するとは考えにくいですし、むしろベルギーが先に変更したというだけで、フランスはよほどのことがない限り変更しようとは思わないでしょう。
フランス人はフランス語はフランスのものだ、と考えているので、ベルギーなんかが考えた規則に倣うなんて、プライドが許しません😅

それに、フランス人はフランス語の合理化にも興味がなく、ベルギーやスイスで使われている septante や nonante も頑なに拒否しています。

よって、もしベルギーでこの規則がなくなったとしても、フランスの言葉であるフランス語を外国語として学ぶ私たちは、性数一致の呪縛からは逃れられないのです😭😭😭😭


個人的にはとても理にかなっていると思うので、ベルギー人の2人を応援しています😃✨
今後の進展が楽しみですね☺️💕

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