EUROPEの出世作「THE FINAL COUNTDOWN」でギターの音量を下げられたことによって脱退を決意、その後ソロアーティストとして、さらにドン・ドッケンのバンドに参加するなど世界的に有名なジョン・ノーラム、ゲイリー・ムーア直系のギタリストとして日本でも人気があった。

 

彼には妹がいた。80年代から90年代にかけてポップシンガーとして母国スウェーデンではチャートを賑わすほどのポピュラーな存在であった。

 

 

TONE NORUM

 

 

86年のデビューアルバムはEUROPEの全面協力によって制作され、ジョーイ・テンペストによる作曲&プロデュース、全編においてジョーイ、ジョン、イアン・ホーグランド、ミック・ミカエリがバックを担当。

長らく廃盤だったこのアルバムが2017年に再発された。

 

ONE OF A KIND

 

 

当時のレビューでこのアルバムのことは知っていた、でもあんまり評価が良くなかったから買わなかった。いやあんまりどころかボロクソの酷評もええとこ、誰がレビューしたか。酒◯だ。やつは自分の守備範囲以外の物を叩きまくる傾向があったから。

だからレビュー自体信用してなかったのももちろん、それ以前にあまりメタルに関係ない感じで、ハナからこれを買おうとは思わなかった。EUROPEは好きだったから多少気になってはいたけど。

 

アルバムは買わなかったが、たまたま見つけた7インチのシングルを買った。同じジャケだから目を惹いたのかな。

 

BUILT ON DREAMS

 

 

両面ともアルバム収録曲。

 

で、改めてその再発アルバムを聴いてみたところ。。

ポップロックの傑作。BURRNのレビューがいかに当てにならないか分かる。ゴリゴリなメタルしか聴かないならダメだろうけどどんなジャンルでも良いメロディを求める者なら、雑音より音楽を聴きたければお勧めできる。

80年代のTOP40によくいたような女性VoがHRですらないソフトでおおらかなAORを歌ってる感じ、バラードも多め、普通なら退屈してしまうところだがそこにさりげない北欧感があってBGMにならないのがいい。各曲で聴けるギターソロもそう、短いながらも曲に締まりを持たせてる、"This Is Love" みたいな軽い曲でもさすが兄者(ジョン)、弾きまくってそこだけHR感が出てる。

バックがEUROPEだと思えばそんな軽薄でもない(ジョーイも作曲プロデュースのみならずギターソロやバックVoでも大活躍)"Stranded" とか "Secrets Of A Herat"、"Playing With Fire" なんかはジョーイが歌えばEUROPE(3rd以降の)になるだろってほど。実際「PRISONER IN PARADISE」時代にデモとして "Stranded" をレコーディングしている。

80年代のゴージャスな女性Vo、HEARTやFIONA、パット・ベネターなんかも聴く人は十分楽しめる。

 

 

ただし改めて言うがメタルではない。

 

88年の2nd。

 

THIS TIME...

 

 

1st同様AORなポップロックであるが、オープニング “Point Of No Return” でいきなりイングヴェイが強烈なギターソロを披露、短いながらも王者感のあるソロに背筋が伸びる、曲終わりのソロも圧巻、それだけで軽く1stを越えてくる。彼女のVoも1stの時より深みが出たような気がする。

もちろんメタルではない、全体的には80年代主流の穏やかなAOR風ソフトロック、それでもEUROPE色が強すぎた前作よりもトーン・ノーラムとしての作品になったと思う。悪く言えば北欧感は薄まってアメリカン、あるいは無国籍になってきたような。

 

 

ロックの熱さやメタルなスリルはないが、メロディアスという意味では非常に優れたアルバム。メロディ派にはどの曲もいい、個人的に “Point Of No Return” はもちろん "In A Crazy World Like This" や "This Time" が良かった、逆にスウェーデン有名シンガーとデュエットした "My Summer With You" が一番つまらん。

"Love Me" と "Somebody To Love" に再びジョンがギターソロで参加。"Somebody To Love" はグレイス・スリック/JEFFERSON AIRPLANEのカヴァー、HR/HM系アーティストもよくやるあの有名曲。

 

90年3rd「RED」、そして92年の4枚目のアルバム。

 

DON’T TURN AROUND!

 

 

2ndまでしか知らなかったのになぜか持ってる。

もはやメタルどころかロックですらない印象。ジャケ見てもジャネット・ジャクソンみたいな。しかもタイトル曲の “Don’t Turn Around” はティナ・ターナーのカヴァー。

スリルや緊張感のかけらもない何の変哲もないポップスで、北欧感は完全になくなった。1st、2ndにあったHR/HMでなくとも好きになれる要素もほぼない。アコースティックでのどかなカントリーっぽさすらある。

そう思って聴けば曲自体は悪くない。オープニング "Who Needs A Broken Heart?" なんてとても良い曲だと思う。ハードロックやメタルではないだけで。

ま、このジャケ見てそれを期待する方が間違い。正直すんげえ退屈。

 

 

96年にもう一枚アルバム「STEPPING OUT」発表後、調べたら2007年にデュエット曲でシングルを、2011年にスウェーデン歌手のトリビュートアルバムに参加、以降どうしているのか不明だったが、tube探してたらEUROPEのライブで歌ってる映像があったから何らかの活動はしているよう。

 

 

"Stranded"

 

"Secrets Of A Heart"

 

"Playing With Fire"

 

“Point Of No Return”

 

"In A Crazy World Like This"

 

"Who Needs A Broken Heart?"